た こ た こ あ が れ
中 嶋 芳 弘

 二週間、研修で学級を空けられるH教諭にかわって、三年*組臨時担任になる。わくわくではあるが、他のクラスの授業もあり、自分が担当するこのクラスの授業は国語と書写だけといったところ。

 さて、その国語の時間である。「たこたこあがれ」に入る。
「まず、先生の読みをテープレコーダーになってまねをしよう。」
 懸命にまねをする子どもたち。音読に抵抗のある子がいるなと感じながら、読み通していく。
「漢字があるから読めないんだと思っている人いるかな。」
 三分の二ばかりの手があがる。
「じゃ。今度は、『リレー読み』。ただし、漢字は読まないこと。漢字は『〇まる』と読みます。」
「ええーっ。」
「本当。読まなくていいの。」
 反応は、様々である。この教材は漢字を『〇まる』と読むことで何かに気がつくというようなものではないが、ちょっと読みが楽になるとともにスリリングになる。
「次は、順番に漢字だけを読んでもらいます。先生が、速読みで全文読み通しますから、漢字の読みを確かめておきたいところで手を挙げましょう。」
 何度か、子どもたちが手を挙げ、読み方や意味を確かめた後、いよいよ「漢字読み」。本文中の漢字だけを順送りに読み通していく。
 その後、担任が用意しておいてくれたワークシート(感想を書き、全文の組み立てのだいたいを読みとらせるためのシート)を配る。いくつか設問があるが、読みとりの出発点として、このシートでは、一行ほど自分なりの初発の感想が書ければよいと思い定めて。

 そして、二時間目。まず、黙読(指読み)を教え、だいたいの時間を計っておいてやる。繰り返せば、読みはだんだん速くなる。速くなることがわかれば、読むことに興味がわく。
 一枚目のワークシートの最後の課題。段落番号をつけた後、各段落の頭の言葉を子どもと共に探して板書しておく。
 用意されている二枚目のワークシート(第一段落、第二段落を読みとるためのもの)の裏に、分類して、全員の感想を印刷しておく。
 板書と感想を意識付けながら、読み進める。
「お友だちの感想です。教科書を読んでもう少し考えてみましょう。」

 「読むことは読むことから」。いろいろな「読み」を取り入れながら、留守番の国語教室が進んでいる。
(彦根市立稲枝東小)