チョー、すごい、ださあ、めっちゃ、さいあく、じゃないですかあ
上 林 周 一
子どもたちの会話の中で気になる言葉や言い回しがある。例えば、次のような言葉である。 チョー〇〇 めっちゃ〇〇 さいあく ださあ すごい テレビや雑誌などのメディアの影響かと思うが、私の担任しているクラスでもよく耳にする。これらの言葉は、使う必要のない時にも多用されている。本来は別の言葉を当てるべきなのに、どんな場合でも、これらの言葉で代用してしまっているように思う。 おそらく流行に乗っているだけのことだろう。しかし、それらの言葉を含んだ会話は、貧しいものが多い。言葉を通して大切な情報を交換したり人の心が行き交ったりしている時、それらの言葉で済まされて会話が終わってしまうことがある。 子どもたちに、それらの言葉の貧弱さに気づき、内容のある情報を交換して人とつながり合おうと話し、文に置き換えて次のような学習をした。 まず〈最悪〉の意味を聞いてみた。「最も、一番悪いこと」とほとんどの子どもが知っていた。そして、何かを言った後に〈最悪〉と付けて幾つもの例を出し合った。笑いが起こった。「一番、最も」だから、滅多にないことだとおさえて、次の例文の〈最悪〉の部分を書き換えさせた。 図工の材料を探しに、運動場や農園に行った。さいあく。 <残念、しかたがない、とてもくやしかった、ショックだった、行った意味がなかった、ちょっとがっかりしたな、今日はついてないな、…> 次の二例も同じ要領で。 友達が一年間に百冊の本を読んだ。すごいと思った。 <よく読んだなあ、おどろいた、よくそんなに多く読んだなあ、よくがんばったね、すばらしい、そんなに読めるの、やるなあ、私だったら読めないな、…> 友達が新しいセーターを着て遊びに来た。チョー似合っている。 <すごく、本当に、とても、よく、いい感じで、とっても、一番、かなり、最高に、…> 「けっこうあるもんやな」と感想に頷いた子どもたちは、それぞれの状態・状況によって言葉が使い分けられることを改めて知ったようだ。 数年ごとに幾つかの言葉や言い回しが流行する。私は好きになれないものが多い。ここ数年、不必要に質問形式で話し、相手に相槌を打たせて話をつなぐ話し方がある。私は敢えて、質問調に頷かない頑固者でいる。 (能登川町立能登川西小)
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