「えんぴつ トーク」から 本物のトークへ
三 上 昌 男

 夏休みの楽しかったことやがんばったことを話題に、「えんぴつトーク」(筆談)を試みた。

  「夏休みの思い出について話しましょう。直君は、家族とどこかへ行きましたか」
  「富山県へ行って来ました」
  「そこで何をしましたか」
  「ケーブルカーや高原バスに乗りました。外のけしきがとてもきれいでした」
  「とてもいい所ね。わたしも行ってみたいわ」
  「ところで、朋美さんは、どこかへ行きましたか」
  「福井県に行きました」
  「どんなことをしましたか」
  「海で泳いだり、もぐったりしました」
  「何かとれましたか」
  「ウニとヒトデがとれました」
  「すごいな」

 4年生の2学期、対話の基本を学習するための段階的指導を展開中である。子どもたちの対話への抵抗や負担を軽くするため、「えんぴつトーク」を取り入れ、本物のトーク(対話)へと導く学習を計画した。
 身近な話題を設定し、2人組と3人組の対話学習を経験させることをねらいとしている。2人組の学習は、話し手と聞き手の役割を交替しながら、相互に理解していく活動である。3人組の学習は、インタビュー形式の対話を成立させるために、相互に協力していく活動である。これらの学習活動を通して、聞き手や話し手の質問・共感・補説・反論などの相互作用に焦点を当てた指導に努めたい。

 学習指導計画(全4時間)は、以下の通りである。
第1時…2人1組の「えんぴつトーク」の要領を理解して、「夏休みの思い出」をテーマにえんぴつトークを体験する。
第2時…えんぴつトークを音声表現化しながら、聞き方や話し方について感想や意見を交流し、ペアを替えてをトーク(対話)を楽しむ。
第3時…3人1組のえんぴつトークの要領を理解して、「今月のお楽しみ会」をテーマにえんぴつトークを体験する。
第4時…えんぴつトークを音声表現化しながら、聞き手のインタビューの仕方や話し手の応答の仕方について感想や意見を交流し、トーク(対話)を楽しむ。

 えんぴつトークも楽しいが、音声化した対話を聞き合うのはもっと楽しい。話題や自分の話したいことがはっきりしていると、本物の対話にも自然と入っていける。 子どもの学びの姿から、そう感じる。コミュニケーション能力を高めるために、対話学習を着実に積み上げていきたい。
(近江八幡市立金田小)