ス ピ ー チ は 何 の た め に ?
北 島 雅 晴

 2学期が始まり、校舎に子どもたちの元気な姿が戻ってきた。運動会に向けての練習に追われ、しばらくは暑さとの戦いが続く。体育の合間をぬって教室での学習を進めているという状況である。

 1学期に引き続き、朝の時間を利用してスピーチを始めた。
 @3分間スピーチをする(今回のテーマは「私の大切ににしたいこと」である)
 A感想を自由に出し合う
 B先生からのスピーチ
 Cスピーチ者からのお礼の一言
という流れで約15分。学級作りの柱として取り組んできた。

 ところが、スピーチの時間に子どもに活気がないことを感じるようになった。特に、感想を出し合う時、お互いに温かく聞き合おうという姿(聞いてはいるのだが)があまり見られない。
 ・暑い時期で子どもに疲れがある。
 ・テーマが難しくて、上滑りしている。
 ・感想の言い方がはっきり分からない。
といろいろ考えてみたが、どれも違うような気がする。もう一度、振り出しに戻って、「子どもにとってスピーチとは何なのか」というところから考える必要があると感じた。そこで、ストレートではあるが、「スピーチは何のために行っているのか、スピーチで何を望んでいるのか」を話し合ってみることにした。
 C みんなの前で話が上手にできるようにする。
 C 友達の話をしっかりと聞く。
 C 友達のいいところを見つける。
 C 感想の言い方が分からない。
 C スピーチに合った感想が言えたときがうれしい。

 話すこと・聞くことを育てるのがスピーチの大きなねらいではあるが、それ以上に、学級の人間関係づくりに大切だと考えるようになった。まずは友達を知ること、そして友達の考えから学ぶこと、自分自身を素直に出すことがスピーチ活動の一番のねらいである。
 教師と子どもの間にスピーチに関するとらえ方にずれがあるように感じた。やや押し付けの観があるが、もう一度何のためにスピーチをしているかを確認する機会となった。

 このちょっとした話し合い以後、
 C 〇〇さんがこのように考えているとは知りませんでした。
 C 〇〇君は、このように言っていたけど、ぼくはそこまで考えませんでした。
といった感想が出てくるようになった。どのような学習においても「何のために」と振り返ってみることが必要な場合もあると感じるひとこまであった。
(草津市立草津第二小)