正 確 に 記 す 、 個 性 的 に 記 す
岡 嶋 大 輔

 8月1、2日と国語教育全国大会に参加した。
 ホールのステージの上での授業、研究発表会、対談など、盛りだくさんの内容であったが、その中で私が印象深かったのは2日目の「記録・説明(作文)」の分科会における提案だった。
 テーマは、「正確に記す、個性的に記す」である。5年生の教室での実践が3つ紹介された。

 一つ目は、三つの説明文と一つの新聞記事を読み、「生命」という言葉につながる言葉を抽出して国語辞典を作るというもの。最後に「発刊に寄せて」と題する自分なりの考えを加えた説明文を書くことが一番の目的となる活動である。
 私がポイントだと思うことは、相互交流の時間を要所要所にたくさん設定していることである。相互交流によって、同じことなのに人によって受け取り方や考え方、視点が違うということに気付くことができる。そして、次の自分の辞書づくりの参考にもできる。ただまねをするというのではなく、交流することによって、より個性的なものができていく。クラスの子どもたちが一つの教室に集まって学習する意義というものをあらためて感じた。

 二つ目は、津軽塗り団地を見学し、「津軽塗り」と題した文章を書くというもの。
 私の目を引いたのは、効果的なメモの書き方について話し合い、メモの形式を各自で決めて、そのメモで取材をしている点である。
 話し合いの中でいろいろとアイデアを出し合い、それをもとに各自でメモの枠を作るのである。正確に書くために全体で話し合い、そこから選択、発展して個性的なものを作り出すという過程は、今後の授業を考えていく上で大いに参考にしていきたい点である。

 三つ目は、三つの説明文を読み、それをもとにして、ALTの先生に「日本語の特徴」について紹介文を送るというもの。
 三つの説明文は、「日本語の特徴」という共通のテーマで書かれているが、筆者の立場や切り口が違っているものを教師が選び出している。同じテーマでも書く人によって全く異なる文章になるということを子どもたちは実感している。どの説明文も正確であるし、それぞれ個性的である。その三つを話し合いながら読み深め、パネルディスカッションをした後に自分の考えを含めた紹介文を書くので、それも個性的なものができる。

 「正確さ」と「個性的」。それを「交流」によってうまく結びつけられた三つの素晴らしい実践であった。
(甲賀町立佐山小)