豊かな作文表現ができる言語環境づくり(2年生)
岡 嶋 大 輔

 7月25日、大津市勤労福祉センターで開催された、第六回新しい国語の授業研究会で、研究発表をする機会を得た。以下は、提案の概要とわたしが学んだことである。

 新学期が始まり、クラスの人間関係がどちらかというと固定しがちであるという印象を受けた。
 そこで、作文によって、子どもたちの内面を引き出し、いいところ、または、思っていること、考えていることなどを、クラスのみんなに知ってもらい、そして、認め合い、交流し合うことによって、子どもどうしがそれぞれに対する新たな発見をして、よりよい人間関係が築けたらと考えた。
 一学期間、生活文と一枚文集 「青空」を軸にして、子どもたちが、生き生きと表現できるようにいろいろな取り組みをしてきた。

1、生活文と一枚文集「青空」
 生活文は、作文用紙形式のノートを一人一冊用意し、三日に一回程度家庭学習で書くというオーソドックスな形である。
 一枚文集「青空」は、その生活文の中からいいと思うものを教師が選び、印刷して帰りの会などにわたすという形である。わたしが大事にしているのは、それを配布した後のことで、それを読み、自然な形で語り合えるようにしている。
 研究会では、「学級経営の中でことばが育つ姿が大事。その中で何でも素直に出せるということがさらに大事」ということを教えていただいた。「他の職員にも配ることが大切」「ワープロの字よりも手書きの方が暖かみがある」「教師も子どもと同じ立場で作文を書いて出す」等、いろいろ教えていただいた。

2、「よく見てみよう、心の動きをあらわそう」
 ねらいは、見たことを詳しく書くことと、思ったことを素直に書くことである。
 言葉というものは自分の心にかかわるものだから、外の世界をありのままに見つめて言葉にしていくことと、それにかかわった自分の内なる世界を率直に言葉にしていくことを、うまくつなげられることが大切であると考えた。
 内容は、教師がスライムを作っていく様子を、一つ一つ立ち止まって、見たことと感じたことを書いていくというものである。
 例えば、教師が紙袋からスライムを作るための材料を教卓の上に並べ、そこで子どもたちは、見たことや感じたことを書く、という具合である。その時その時に、どのように書いたのかを二、三人が発表するようにする。
 子どもたちは、ちょっとした自分の心の動きに気づいたり、普段よりもたくさん書いたりできたが今後、「スライムを作る」という特別な状況の下でなくても書けるように意識して取り組んでいくことが大切である。
スライム以外にも、ホットケーキを焼く過程を書くなど、ちょっと五感に刺激があって、ちょっと心が動きそうなことを題材にして書くというようにいろいろ応用できると考えている。

 その他、「豊かな作文表現」のために、言葉に親しんだり語彙を広げたりすることが、大切な耕しとなると考え、クラスで取り組んできた言葉遊びをいくつか紹介した。
 参加していただいた先生方にとっては、ありきたりで陳腐な実践であったかもしれないと反省しているが、「作文」ということをクラスのテーマに決め、理論立てて計画をし、学期末に実践結果をまとめていくという過程の中で行き着いたところがこの提案であるので、わたし自身にとって、とても新鮮であった。
(甲賀町立佐山小)