まる AGP

「Accelerated Graphics Port」の略で「エージーピー」と読む。 Intel 社が96年7月にリリースした、グラフィックアクセラレータ専用の高速なバス規格である。AGP の機能はチップセットに含まれ、デスクトップ用、ノート用含め、現在出荷されているほとんどのチップセットは AGP に対応している。バス幅は、一般的なPCIバスと同じ 32bit だが、バスクロックは 66MHz をベースに、1×モード、2×モード、4×モード、現在規格途中の8×モードの高速転送モードを持ち、主として3Dグラフィックスやフルモーションビデオに有効な以下の2つのメリットを提供する。


・高速な専用バスの確保

様々なデバイスが使用するPCIバスとは独立した形で、グラフィックスアクセラレータ専用の高速バスを用意することによって、グラフィックスシステムのパフォーマンスを向上させる。最大転送レートは、標準クロックの1×で 266MB/s、倍クロックの2×で533MB/s、4倍クロックの4×で1066MB/sとなる。


・メインメモリの共有

メインメモリの一部をビデオメモリにマッピングする機能をサポートしており、テクスチャマッピング(立体の表面にグラフィックスを貼る事)などに使用する大量のメモリを、ビデオカード上に搭載しておく必要がなくなる。

ただし、現在のグラフィックカードでは、カード上に搭載するメモリーが大容量化する傾向にあり(2000年11月現在、最大で64MB)メインメモリをグラフィックメモリーの一部として共有する方式は殆ど利用されていない。一部のグラフィックコア内蔵タイプのチップセット(i810、i810E、i815、i815E 等)ではメインメモリの一部をグラフィックメモリーの一部として利用している。
逆に3Dゲームなどでもテクスチャマッピングデータが、カード上のグラフィックメモリーの容量で十分に足りていれば、メインメモリを利用する必要もなく、高速でメインメモリにアクセス出来るAGPの2×モードも4×モードも特に意味を成さない。
さらに現在のメインメモリのバスクロック(100MHz、133MHz)では4×モードを用いても、メインメモリ自身の最大転送レートが 100MHz で800MB/s、133MHz で1066MB/sしかないため、殆ど4×の効果を発揮することが出来ない。
(メインメモリにはグラフィックカードだけではなく、チップセットやPCIバスからの要求もあり、その転送レートを全てグラフィックカードに割り振る事が事実上出来ない。)