Windows 95

登場年


1995年11月に日本語版が発売された。名前からも分かるとおり95年に登場した事を意味する「95」の数字が反映されている。
製品名発表時「Windows 95」の名前は発表されたものの、その発売が95年内に出来るかどうか危ぶまれていた。11月に発売というぎりぎり年内の発売であった。
発売時のパッケージは「FD(フロッピーディスク)」と「CD」の両方が存在する。
Windows バージョンは 4.00.950 となる。

特徴


「Windows 95」「Windows 3.1」「MS-DOS」の各世代のOSに対するアプリケーションを全て動作させる事を目標とし、「Windows 3.1」のバージョンアップ版として開発されたのが「Windows 95」である。OSとしての「MS-DOS」を内包する形になっているが、「Windows 3.1」違い、OS起動時における「MS-DOS」での設定に殆ど依存しなくなり、その起動プロセスが大幅に変更され、特別に「MS-DOS」の知識を必要としなくなった。OS内部は 32bit 化されているが、「MS-DOS」を内包していることにより、16bit アプリケーションも動作させる事が出来る。
最大の特徴は「Plug & Play」(プラグアンドプレイ)と呼ばれるOSによるハードウェアの自動認識であり、認識されたハードウェアはそれに最適なドライバの組み込みと設定をOSが自動的に行う。
操作方法も「Windows 3.1」から見直され、見た目のデザインと共に洗練されたものとなった。
それまでのファイル名の文字数の制限(ファイル名8文字、拡張子3文字)を大幅に拡張し、ファイル名で255文字、拡張子を4文字までとし、ファイル名に空白を用いる事も可能となっている。ネットワークの構築が非常にし易くなり、個人ベースでもLANを組むのが容易になった。
マルチタスクでの動作が「Windows 3.1」に比べて飛躍的に安定し、複数のアプリケーションを同時に実行するという「Windows」本来の特徴が実用になった最初のOSである。
動画や音楽を扱う事が容易になり、「Windows 95」の登場で周辺機器やアプリケーションがより高機能化した。
「Windows 95」の登場がPC業界に革命をもたらした、と言っても過言ではない。

感触


「Windows 3.1」から操作方法やデザインが変更された事や、新たに設けられた「スタートメニュー」のおかげで比較的初心者にも分かり易いものになっている。
右クリックで出るプルダウンメニューでの「プロパティ」は各ファイルやデバイスの詳細を知る上で非常に便利なものだ。デバイスドライバは「デバイスマネージャー」に全て集約され、一括管理されている事により各ハードウェアの設定の把握が容易になっている。
ファイルの関連づけや、ハードウェアデバイスの設定はOSやアプリケーション側で殆ど自動的に設定されるため、ユーザーが特に意識する必要もなく、初めてパソコンを触る者にとっても特別な知識を必要としない画期的なものだと言える。
ファイル名に関する制限が実用上無くなった(255文字まで)おかげで、ファイル管理も非常に楽なものとなった。
しかし、「Windows 95」を快適に使うには95年当時のマシンパワーではあまりに非力であり、「Windows 95」の登場と同時に、主にCPUを中心としてハードウェアの処理速度の向上が求められた。高機能化に伴いOSとしての処理が「Windows 3.1」に比べ、非常に重いものになっていた。

世間の反応


マイクロソフトの大々的な宣伝効果もあり、「Windows」が大幅に機能アップする、ということで前評判や注目度は非常に高いものとなった。
実際に発売当日は各拠点で「発売記念イベント」などが行われ、マスコミ関係もこれらを大きく取り上げ、世界的にも注目度の高いものとなった。
「パソコンの事は分からなくても、Windows 95 の名前は知っている。」というほど世間一般にその名を轟かせ、日本では職場へのPCの普及率が一気に向上し、書籍類でもPC関連のものが大幅に増加した。
パソコンを触れるのが一つのステータスになり始め、それまでのパソコンの暗いイメージを一気に逆転させた程である。
処理速度が非常に重いものとなった「Windows 95」を快適にするためにハードウェア面での処理速度の向上が緊急に求められ、CPUを中心としてその動作周波数が飛躍的に向上した。
当時60MHzだったIntel製のCPU「Pentium」は「Windows 98」が登場するまでの3年の間に233MHzまで、その処理速度を向上させた。
「Windows 95」の登場はハードウェア面でも革命をもたらしたと言える。

落とし穴


「Windows 95」「Windows 3.1」「MS-DOS」の各世代のアプリケーションを全て動作させる事を目標としているが、その代償にOSとしての安定度が損なわれてしまっている。
32bit OSとして華々しくデビューした 「Windows 95」だが、「MS-DOS」を内包していることや、16bit アプリケーションの動作保証のために、その内部では多くの 16bit コードが存在している。OS内部で 16bit と 32bit が混在しているにも関わらず、製品レベルまでの完成度を考慮すると、ある意味「奇跡のOS」と言っても過言ではなく、非常に良く出来たOSとも言える。
「マルチタスク」となっているが、「完全マルチタスク」ではなく、いわゆる「疑似マルチタスク」であり、実際には「シングルタスク」である。シングルタスクを、起動されているアプリケーション毎に高速に切り替える事により、見かけ上は「マルチタスク」に見えるのである。
最大の特徴である「Plug & Play」(プラグアンドプレイ)は非常に便利な機能だが、万能ではなく自動認識出来ない事があったり、間違ったドライバを組み込んでしまう等、実用には耐えるがその認識精度は完成度が低いと言わざる負えない。