*「トコロジー」楽しむ!!


 「エコロジー」と言う言葉は、皆さん良くご存知のはずだが、「トコロジー」は初めて聞くと、云う方々も多いので
はないでしょうか?。小生も最近の「天声人語」に出てくるまでは知らなかった。それによると「トコロジー」とは
「ある限られた、公園や森など身の回りの、自然をじっくり観察する、"その場所の専門家"と言うらしい。小生の、これまでの
"葛城山詣"も、まだまだ足元にも及ばないが、その面白さは、少しずつ感じられるようになってきている。今までは、主に草花
に関して「らくがき」では書いてきたが、「トコロジー」の一面を感じてもらうため、草花以外の葛城山の「恵」みについても触れ
てみたい。敢えて山の「恵]みと言ったのは、四季を通じて、山菜など美味しいものが採れるためである。その第一は「湧水」である。
この湧水は1年を通じて恩恵にあずかる代物だ。ここ、20年ほど、この水で暮らしていると言ってもよいぐらいだ。
この山には、いくつかの湧水地があり、小生が採水する場所は、水越峠から葛城山へ登ること、5〜6分程の所である。
よく利用する湧水地
この距離が、まさに、この場所を、聖地として、一般の人から守ってくれていて、ここで採水する人は、ほとんどいないのが
現状である。勿論、湧水で美味しいが、年中水温が一定の15〜6℃で(測ったことは無い)、冬でも温かく、この周りには
雪も積もらない。しかし、この湧水が一時、枯れた時があった。原因は水越峠トンネルが開通(平成9年)した時で、採水でき
なかったが、暫くして徐々に水量も増え、現在の水量となった経緯がある。葛城山で湧水の、最も有名なところは「祈りの滝」
である。ここは、旧道を峠から奈良県側へ下ったところにあり、崖プチで、薄暗く祠があり、その横に小さな滝となって水が流れ
落ちているが、水量は少ない。有名なので、常連が多く、順番待ちが普通である。この「祈りの滝」には妙な伝説があり、その周り
の、暗い雰囲気も手伝ってか、心霊スポットとして昔から有名らしい。滝なので、ある種の霊感を感じ、色々な祈りが行われた
そうだが、その中でも特に悪い霊感が住み着いたと言われている。色々、怖い話もあるらしいが、興味のある方は一見されたし。
小生も、ここを2〜3回利用したが、順番待ちが苦手で、少々歩いてでも、現在のところに落ち着いている。ここも当初は山伏の
修行の場所として存在したらしく、滝を作った形跡が残っていたが、登山者の増加で廃止になったようだ。

「山の恵み」と言えば、やはり山菜であろう。東北などのような「山菜の宝庫」とまではいかないが、それなりに採れるので、
ある。季節を追って触れてみたい。まず3月に入り、雪も溶け出すと、登山道の傍らに「蕗の薹」が芽を出す。中腹から頂上
付近にかけて、かなり広い範囲に存在しているが、これに出会うのは、かなり難しい。小生の1週間、間隔の登山ペースでは、
出ていたり、いなかったり、また、その年の気象条件によって左右されることもある。しかし、やっとの思いで雪の下に「蕗の薹」
を見付けた時は感激である。しかも、これを、"天ぷら" や"フキ味噌" などにして味わえば、"春の季節"が感じられ、格別である。
もともと「フキ」は日本原産で、春になれば葉っぱより、先に花茎を伸ばす。これを「蕗の薹」と呼んでいる。根と種の両方で繁殖
するので、登山道の真ん中まで進出している年もある。また茎も食べられるが、自生種は、年々減少気味で、トコロジーとしては
困ったものである。
---登山道に芽を出したフキノトウ---------------,----------フキノトウの大収穫の様子--------

次に欠かすことのできないものに「ワラビ」がある。シダの仲間で通常は4〜5月頃に芽を出すが、山頂付近では、6月中旬頃
まで、芽を出し、しかも太い茎で、大量に採れる年もある。どこで採れるかは、秘密だが、それでも大勢の人に知れ渡っていて、
旬には"早いもん勝ち"になるときもある。時期外れと思われる6月に入ると、さすがに採る人も少なく、少々太りすぎのワラビとなり、
食べごたえはあるが、苦味は強くなる。ただ、発がん性物質のプタキロサイドが僅かに含まれるので、重曹や木灰で、あく抜きをす
る必要がある。これをすればプタキロサイドはほとんど分解されるので、安全と言われている。今だから発がん性物質云々は判るが
昔からあく抜きして食べていた、古代人の知恵を思うと驚くばかりである。我が家ではシンプルに、かつお節を掛けて食べる
ことが多い。今だから発がん性物質云々は判るが、昔からあく抜きして食べていた、古代人の知恵を思うと驚くばかりである。
時期外れと思われる6月に入ると、さすがに採る人も少なく、少々太りすぎのワラビとなり、食べごたえはあるが、苦味は強
くなる。ただ発がん性物質のプタキロサイドが僅かに含まれるので、重曹や木灰であく抜きをする必要がある。これをすれば
プタキロサイドはほとんど分解されるので、安全と言われている。今だから発がん性物質云々は判るが、昔からあく抜きして
食べていた古代人の知恵を思うと驚くばかりである。我が家ではシンプルにかつお節を掛けて食べることが多い。

--芽を出したワラビ----------大量に取れた時-----

春と言えばやはり「タラの芽」が山菜の王様であろう。タラの木の新芽で、幹には鋭い棘があり、これをかいくぐって、取るには
相当の苦労がいる。芽は先端に複数つける。これを昔の人は「頂芽」だけ採り、周りの芽は採らず、最悪でも必ず1個は残してい
たが、最近では、そんなマナーは全然なく、全て取ってしまう。そのため、木も枯れてしまい最悪の結果となっている。以前は
葛城山でも、かなり採れたが、最近ではさっぱりお目に掛かれていないのが現状である。食べ方としては、この山菜の王様はやはり
"天ぷら"にして食べるのが最良であり、独特の香りが特徴的である。市販のタラの芽もあるが、この香りが、天然と比べて劣り、
味ももう一つである。以前福井県の"荒島岳"に登った際、タラの新しく伸びた葉っぱを持った地元の人に出合って、これも"天ぷら"
にしたら結構美味しいよ、と教えられ、葉っぱも、食べて見たが、棘など全く気にならず美味しく食べることが出来た。タラの芽が採
れない、苦肉の策として時々楽しんでいる。
これに良く似たものに"コシアブラ"がある。あまり知られていないが、新芽が食べられる。独特の香りがして、やはり"天ぷら"で
食べるのがベターである。葛城山でも結構見られるが、もう一つ気の向かない存在である。 またこの時期の山菜として"イタドリ"
も採れる。スカンポとも呼ばれ、生でも食べられるが、酸っぱい。殖力が旺盛で、観賞用にイギリスに持ち込まれたが、今では天敵視
される羽目となっている。皮を剥いて、そのまま食べられるが"シュウ酸"が含まれているため"エグミ"があり、食用としては、"茹で"
水にさらし"あく抜"きをすると、美味しく食べられる。また塩もみをして、炒め味付け をして(砂糖、しょ油、酒、みりん、ごま油)
食べる所もある。結構、昔から食べられていた山菜なので、各地独特の食べ方があり、興味深い。ここまで"春の季節"に限った、山菜などを
トコロジー的にとりあげてみたが、まだまだ他にも"秋の味覚"を抱える、葛城山であり、それについては次回に譲ることにしたい。

「注」「らくがき」は、---------地域の方々の「雑志」しです。

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