*「プリング・エフェメラル」に会おう!!
*「スプリング・エフェメラル」(Spring ephemeral)とは?
長い冬眠から覚めて、春先にその命を一気に目覚めさせ、しかも、短期間に活動する、
「けなげな」動植物のことを言う言葉だが、これらに出会う場を提供してくれる、絶好の場所が
”葛城山”である。また、あまりにも、はかない命のため「春の妖精」とも言われ、カタクリや
ギフチョウなどがこれに該当し、多くのマニアや観察者が毎年押し寄せてくる。その魅力
に付いては色々の解釈がある?。
カタクリは、4月の20日頃を中心に1〜2週間の命で、 ギフチョウもこの蜜を”主な食糧”として、
ほぼ同時期に現れ、命を閉じていく。このあまりにも、はかない、しかし強かに生き続ける命だから、
また魅せられるのかもしれない。その中でも今回はカタクリについての”生態”や、”環境”などに触れて見たい。
冬、ブナなどの落葉広葉樹では木々の葉が、落ち、そのまま春を迎えると、陽光がさんさんと、
地面に降り注ぐ結果、カタクリの地下球根が刺激され、活動を開始、成長する。
---カタクリの蜜を吸う「ギフチョウ」---
(2012年4月21日葛城山にて)
そして木々の葉っぱが繁茂する間の、僅か1〜2カ月の間に開花、結実し地上部は全て消え、また長い冬眠に入る。
しかも発芽して最初の1,2年は、とてもカタクリとは思えない、針の様な葉で、少しずつ成長するが、数年間は
片葉のみの状態で、この間の葉の模様が「鹿の子」模様なので「片葉鹿の子」「カタハカノコ」と呼ばれ後に
「カタクリ」になったとの説もある。その後、両葉に成なった後、花を付け、実も付けて役目を終え、消えることになる。
しかし、ここまで掛けて、成長したカタクリは毎年開花するかと言えば、そうでもなく1年置きに咲く場合もあり、
とにかく不規則な花らしい。しかし、この花は古くから知られ、万葉集にも大伴家持の歌として「堅香子」「カタカゴ」
として詠まれているほどで、こちらは傾いた篭の様な花の様子を見てこのように呼ばれたとの説もあり、いや今の
”カタクリでは無いのでは”との説など、その他の説も多々あり、いずれにしても語源や生態など謎を秘めた花である
ことに間違いない。この花は本土でも広く分布しており、特に東北や北陸など寒い地方は花の色が鮮やかで、観光地の
、目玉の役割を担っている地方もある。また片栗粉として、この花の球根が昔から用いられていた事は良く知られている。
葛城山でも最近ツツジに次ぐ名所となりつつあるが、未だメジャーではなく、知る人ぞ知る程度である。
その一方で、自分のなかでは、”そっとしておいてくれないか?”と願う思いもあり、複雑でもある。それにしても
この花の咲いた様子は何にも譬えがたい姿を呈し、優雅で、気品があり、色、姿など一度見たら、忘れられない花でもある。
最近葛城山では"カタクリ"の保護活動の成果も現れてか、その分布も次第に広がりつつあり、嬉しい事でもある。
しかし本土全体で見た場合、土地開発や温暖化現象のせいもあり、絶滅危惧種に指定されている地方も増えてきており、
残念である。 ところで、葛城山はまた今年もカタクリの季節を迎えるが、せっせと、登って、ギッフチョウと共に
思う存分楽しみたいと思っている。しかし体力が持つか、心配でもある。一方、ギフチョウは、去年11月に御所市の
「天然記念物」に指定され、保護に一歩踏み出した程の貴重な蝶であるが、年々その数が減少気味とも言われている。
それについては又別の機会に触れて見たい。
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