*ギフチョウついて!!
ここは、どうしても「スプリング・エフェメラル」の続きで、ギフチョウに触れておきたい。なぜ、
こだわるかと言えば、この蝶は、日本固有種であり、さらに”絶滅危惧種”に指定されているからである。
絶滅危惧種と言えば、貴重な種とも言える。
最近の葛城山の動向について、触れてみたい。なんといっても「トピックス」は去年11月に、御所市が、
このギフチョウを市の「天然記念物」に指定したことである。当然、ギフチョウの管理の当事者である
ことと、学術的価値の保存の責任を感じたためと思はれるが、それはともかく、このギフチョウは姿,色
ともに綺麗で「春の妖精」とも呼ばれ、マニアも多く、その反面、捕獲も絶ず、年々その個体数が減少
傾向で、隣の金剛山では、殆ど見られず、和歌山地方では絶滅したとの、報告もあり、このような状況
を踏まえ、御所市の決断だった思うが、もっと早くできなかったかとも思うのである。
-----------ギフチョウ--------------
2015年5月11日(葛城山にて)
このギフチョウは貴重種に加え、その生態も謎の部分が多く、それ故、関心が寄せられるのではないかとも思う。 まず、蝶となって飛び回るのも、
2ケ月弱で(4〜5月)で、 初めに、雄が飛び立ち、後発の雌を頂上付近で待つ。受精した雌は直ちに、”ミヤコアオイ”(カンアオイの仲間)の葉っぱ
の裏に、1ミリ程の真珠のような卵を産み付ける。このミヤコアオイが、幼虫の唯一のエサであるが故、群生している中の1つの葉っぱに、産み付け、
決して単独で存在する葉っぱには、産み付け無い。蝶の知恵ともいえる。我々の観察では2〜3週間で羽化する。羽化した幼虫は、何の心配もなく、エサにありつける、巡り合わせとなっている。
しかし、なぜ、これがミヤコアオイと、判別できるかも、はっきり判っていない。たぶん葉っぱから、発散する誘引物質を
感知しているのでは?とも言われている。生き延びた幼虫は、6月には蛹となって"何処"かで、来年の春まで約10ケ月間、
冬眠状態で過ごす。"何処"かでとは、これが、また不思議の一つで、この蛹が自然界(葛城山)では全然見つからない、
と言うよりも、"良く見つけない"といったほうが正しいかもしれない。たしか2006年頃だと思うが葛城山に登っていたら、
たまたま、府立大学の学生が卒論のため「葛城山におけるギフチョウの生息地保全の基礎資料」の調査をしている所に偶然
出くわし、その結果、これを手伝う羽目となり、約3ケ月間、せっせと葛城山に通い、ギフチョウの卵やミヤコアオイの数などの
調査に協力し、かんじんの、蛹の時は総勢40人ほどの体制で調べたが見つけられなかった、いきさつがあり、それが尾を引き
未だに葛城山へ登っては、岩や倒木の下や、根っこなどを探し回る癖がついてしまうほどで、この自然界の不思議さを実感した
しだいである。
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