足の指の間が痒くなる心意気
2003年10月21日(火)「流産で知る母の心」 |
会社の部下、と言ってもボクと同じ年齢の女性が妊娠した。過去に一度彼女は流産しており、待望の再妊娠。人一倍仕事に打ち込むタイプの彼女も、出産と育児に専念すべく、3月で退職する決心を固めていた。 その彼女が突然「体調が悪い」といって、金曜日に控えていた大きな仕事を休んだ。それは一向にかまわないのだが、やっぱり少々嫌な予感がした。 月曜日にいつもどおり出勤してきた彼女の顔を見て、少し安心した。元気で、晴れやかな普段と変わらぬ様子。しかし、昼休みに物陰にこっそり呼び出されて、嫌な予感が再燃した。反面、人妻と物陰にこっそり隠れるのは実にドキドキするなぁ、と不謹慎なことをちょっと思いながら。 「流産だったんです……」 あっさりと言ってのける彼女に、どう言葉をかけて良いかわからない。顔はけろりとしているが、心の中はどんなだろう。 そんなコッチの気持ちを察したのか、彼女の大きな目からボロボロと涙がこぼれる。ガマンしてたんだ……。 「う、うちのオカンもな、ボクの前に3人ほど流してはるねん。それでもボクと弟をばっちり産んでるで。それも当時としては結構な高齢出産やったんや」 汗をにじませながら一生懸命喋るボクに、彼女はこくこく肯きながら、なおも涙をボロボロ流す。 「……で、仕事はどうする? 続ける?」 「いえ。やっぱりこのへんで一度辞めておこうか、と」 「そうやな……。残念やけど、それがええかもな」 彼女は少し吹っ切れたのか、やっと少し笑ってくれた。 もしボクの妻・わんこがそうなってしまったら……。そう考えるだけで胸が締め付けられる。女性にとって妊娠とは、男の想像するそれよりも何十倍何百倍も意味の深く大きなモノなのだ。図らずもそれを知ることが出来た。今日からはさらにもう少し、妻に優しくできる。そんな気がした。 |