足の指の間が痒くなる心意気

2002年12月12日(木)「カップルの別れ際」

 混雑した深夜の電車。酒の匂いがほんのり鼻を突く。そこへ駆け込んでくる中年のサラリーマン風のおじさん。ドアの脇に立ってホームに向かって「チュッ!」と投げキッス。おお、お連れさんはきっと不倫の相手か、スナックのねぇちゃんだ。どぉれどれ、と本から目を上げてホームの方をのぞき込む。…げっ。男やんけ。

 ホームに両足をそろえて立っていたのはその投げキッスおじさんの部下、とも見える若手サラリーマン風。その若い男に向かって車内からおじさんはしきりに声をかける。

「もう見送らなくっていいよ」
「早く帰りなさい」
「まっすぐ帰りなさいよ」
「あったかくしてね」

若手の方も何か応えているようだがコチラまでは声が聞こえてこないが、きっと、
「いえ、最後まで見送らせて下さい」
「あなたこそまっすぐ帰ってね」
「あなたのほうこそ風邪引かないでくださいね」
などと言っていたに違いないぞ。そうだそうだ、そうに決まった。

 ぷしゅーっとドアが閉まる間際、おじさんはホームに向かって胸の横で小さく手を、細かく激しく振る。ホームの若手も、同じように手を振りながら会釈をしている。本当に別れを惜しんでいる様子がひしひしと伝わってくる。ああ、きっとこの二人はさっきまで人目もはばからず手をつないだりしてたんだろうなぁ。まあ、ソレも幸せか、と、本に目を戻そうとすると、おじさんは混んでいる車内にもかかわらず、携帯電話でメールを打っている模様。たぶんさっき別れたばかりの若手に宛ててだろう。う〜ん、自分はここまでマメじゃないなぁ。少し怪しいカップルだったが、なぜかほのぼのしたものをもらったような気がした。

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