| 賴 山陽（らい さんよう） 1780－1832 |
| 名は襄（のぼる）、字は子成、号は山陽。安永９年12月大坂江戸堀に生まれた。父春水は安芸藩の儒者。
7歳叔父杏坪について書を読み、18歳江戸に遊学した。21歳京都に走り脱藩の罪により幽閉される。後、各地を遊歴し天保３年９月病のために没す。年53。著書に 「日本外史」「日本政記」「日本楽府」等がある。歴史家。漢詩人。文人。画家。陽明学者・・・・。 鞭声粛々 夜河を過る （べんせいしゅくしゅく よるかわをわたる） 暁に見る 千兵の大牙を擁するを （あかつきにみる せんぺいのたいがをようするを） 遺恨十年 一剣を磨き （いこんじゅうねん いっけんをみがき） 流星光底 長蛇を逸す （りゅうせいこうてい ちょうだをいっす）（便宜上現代文にした） 詩吟で歌われるこの漢詩は余りにも有名です。頼山陽が武田信玄と上杉謙信との戦い「川中島の戦い」を 歌ったものですが、格調高く、勇壮な名調子は、尊厳さえ備えています。 この詩の「頼山陽」は、明らかに上杉謙信の側にありますが、対する武田信玄もまた、「風林火山」の旗を 掲げ、「人は石垣、人は城」と人情味あふれる、戦国の武将の中にあって、ひときわ清冽な男性美（一生不犯）にあふれている。 注）鞭声ー馬に当てる鞭（むち）の音。 粛々ー静かに静かに。大牙ー大将の立てる旗。遺恨ー大変悔しい。流星光底ー流星の飛ぶように剣を抜き放ち一気に切り下げたときの光のようなさま。 長蛇ー大敵、ここでは武田信玄。 【上杉謙信の軍はむちの音もたてないように静かに夜に乗じて川を渡った。明け方、武田方は、上杉の数千の大軍が大将の旗を立てて、突然面前に現れたのを見て驚いた。 しかし、まことに残念なことには、この十年来、一剣を磨きに磨いてきたのに、打ち下ろす刃がキラツと光る一瞬のうちに、あの憎い信玄を打ちもらしてしまった。】 余談：上杉謙信の辞世 「四十九年一睡の夢 一期の栄華一杯の杯」 ４９年の波乱の生涯を「一の字」で表しているが、人生は一瞬の夢のようであり、煌くような栄華も 一杯の杯のようであるという颯爽とした辞世である。
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