天守閣は傾いて見えるんですが、本当でしょうか

天守閣は右に傾いて見えるでしょうか。傾いて見えるはずです。
そのことが、伝説を作りました。『姫路城が8年の歳月をかけて1616年に完成したと
き、大工の総棟梁の「桜井源兵衛」が妻を天守閣に案内した時、城が傾いているよう
に思うと指摘されたことにより、鑿(のみ)をくわえて飛び降り自殺した。』

もちろん、新築の天守閣は傾いていません。妻を天守閣に案内するなんて、とても
とても出来ることではありません。城は要塞であり秘密の塊だからです。
本当は長年の地盤沈下により、少しずつ傾いていったようです。巽の方向に傾きのあ
ることは昭和の大修理(解体、修復に昭和32年(1957年)から圧倒的な機械力を持
ってしても8年の歳月)でも確認されています。(44センチも傾いていました)

昭和の大修理では地盤を岩盤まで掘り下げコンクリートで固めていますので、現在は
全く傾いていません。ではなぜ傾いてみえるんでしょう。それは天守閣前の三の丸広
場の地盤と姫山のせり出しや櫓や渡り櫓の関係や同じく左側に西天守閣、乾天守閣
と見る目の重心が左にあり、右側は空があるだけとか、いくつかの条件が整ってしまっ
たからのようです。