チョボへの手紙

思いがけないくらい突然に 虹の橋を渡ってしまったチョボへ。
少し落ち着いて話す事が出来るようになったから
君に手紙を書くことにしました。



2005年2月24日午前4時過ぎに チョボは旅立ったよね。
生きようとするチョボの力を信じて祈ったけど それは届かなかった。
突然自分が抜け殻になったような気がしました。
目の前から居なくなる事が とても信じられなかったんだよね。



病気になってから4ヶ月目だったけど 毎日介護する中で きっといつかは元に戻ってくれるだろうって考えてた。
でも それも実現させる事は出来なかったね。
今になって ようやくチョボの可愛いお喋りや 楽しい仕草を 思い出せるようになってきたんだけど ここ数日は何をどうしていいのかわからなかった。



思い出してるつもりなんだけど ぼんやりしちゃって もっと色々あった筈なのにって。ただ真っ先に浮かんでくるのは 病院で最後に見たチョボの必死な姿だった。未だにそれは受け入れがたい情景で 時折ふっと浮かん来ては 凄く苦しい気持ちになります。

早くそっちに行って謝りたいって そればっかりが頭に浮かんでた。
あのまま病院に残って朝まで付き添っていれば 最期を看取ってあげられたのにって その事もとてもすまない気持ちで一杯です。

そんな気持ちが続いて 毎日が暗くて 重くて チョボを応援してくれた人達からのお悔やみを読んでは泣いて・・・って 知ってるよね、チョボもそれはさ。



お葬式の日は 曇りだったよね。時間が迫ってくるのが怖くて ずっとチョボの体を触ってた。それもきっと感じてくれてたと思います。
そのうち雪が降ってきて・・・。途中で車がちょっとトラブった時には チョボは行きたくないのかな・・・って思った。私もこのまま引き返したいと思ったよ。

でも時間はやってきた。最後にキスしたの、わかったよね?頭突きを返してきてくれそうな気がしてた。きっとチョボはそのつもりでいてくれたんじゃないかな?って 今になって思います。



待ってる間 皆で何を話してたか知ってる?
チョボがどれだけいろんな人に愛されたか どれだけ可愛かったか どれだけ面白い子だったかって言ってたんだよ。
幸せな一生が終わった・・・何をしても面白い子だった・・・って。

あんな子には2度と出会えないだろうって。
チョボは本当に稀有な猫だってね。
泣きながら話してました。
とっても存在の大きな子だったよね。チョボ。



そうそう。ネオママさんがこんな事言ってよ。
昔ハムスターを飼ってたんだけど 突然天国に行かれちゃって とっても悲しかったんだって。だから動物と暮らすのはやめようって。でもね。うちに来てチョボと出会って そして一番先に懐いてくれた事と チョボのやる事なす事面白くて楽しくて こんなんだったら猫がいる生活もいいかな・・・って思ったんだって。ネオ君やメイちゃんが居るのは 言ってみればチョボのお陰だね。



それとね。チョボは「生まれ直したんだね」って。ずっとずっと昔。子供の頃 よく盗み食いしたり こそこそ逃げ回ったりして全然可愛くなかったでしょ?でも あの猫風邪で死にかけて 助かってから まるで魂が入れ替わったみたいに良い子になった。だから「生まれ変わった」というより「生まれ直した」んだって。あれは本当にびっくりしたよ。だって退院してきても 絶対家の中で面倒は見られないって思ってたから。それが突然素直で人懐こい子になっちゃって。
でも 病院に見舞いに行った時 見えなくなってる目で私を探して ろくに歩けないのにケージの奥からにじり寄ってきた時は 涙が出た。いい子なんだって。だってそれまで全然触らせてもくれなかったもんね。



それがこれだもん。ちゃんと解ってくれてたんだよね。助けて貰ったって。それからはべったり離れなくなって。本当に一番の甘えん坊になっちゃった。不安もあったのかも知れないよね、チョボ。怖くて辛い思いをしたからさ。ジャンプして飛びついてきたり 人が寝てるのを見ると我先に駆け寄って べったりくっついてさ。必ず手を伸ばしてきたでしょ?爪が顔に当たって痛かったよ。Tシャツも穴だらけで。畳もボロボロ 襖もボロボロ 戸の桟もボロボロ。無邪気なチョボのお陰で家中ボロボロです。綺麗に取り替える予定だったんだけどね。こんなにあっけなく逝ってしまったから 取り替えたらチョボの痕跡を消すような気がして 出来なくなっちゃった。暫くはまだこのままで生活だよ。
でも チョボはその方がいいよね。これは全部チョボの歴史だもん。だからボロボロでも大事にします。また時々爪を研ぎにおいでね。待ってるから。

 チョボ。本当に10年間ありがとうね。チョボ語録は一杯溜まってるよ。
あちこちでお喋りして 病院の先生や看護婦さん達にも笑われたよね。
待合室でリードを付けて歩いてたら 知らない人に寄って行ったり
ラブラドールに寄って行ったり。向こうが目を点にしてたね。
年を重ねるごとに 全てを受け入れる器を持つようになったね。
来るもの拒まず 去るもの追わず。
何か達観した感じがしてた。
本当に素晴らしい猫だよ。

これからまた頑張るからさ。
これまでと変わらず よろしく頼むね。

ありがとうね。チョボ。