タカヤが、ほっぺたを真っ赤にしてオレを見上げていた。

……なーんて言ったら、ちょっと色っぽい雰囲気になるんだけど、実際には日焼けして顔を真っ赤にしてるだけだったりして。

オレもそうだけど、タカヤも大概色は白い方だ。
でも、オレはちゃんと日焼けして黒くなるし、そしたら肌も日光に慣れて、ちょっとの日焼けじゃヒリヒリしなくなる。
タカヤは、日焼けしたら、赤くなって、そこがヒリヒリ痛くて、でも黒くならないからいつまで経っても慣れないままで、カンカン照りの日に練習なんかしたら、いつもこうやって顔を赤くしている。

一昨年の夏、シニアで合宿があった時に、日焼けしすぎてホッペタに冷えピタ貼って冷やしてたタカヤが、なんでアンタそんなに黒いんですか、なんで皮めくれるんですか、なんて言って、日焼けで剥がれてきたオレの首後ろの皮を不思議そうにめくっていたけど、確かにタカヤは黒くは焼けないから、皮めくれたりはしないんだろーなぁ。
あんときは、オレの首の後ろ側（うなじって言うらしい）に顔を近づけて喋ったり、ちっさい指先で触ったりするもんだから、こいつどうしてやろう、なんて思ったけど。

で、だ。
一昨年はせっかく踏みとどまったのに、今年、日焼けで顔真っ赤にしたタカヤはまたしてもオレの日焼けした皮をめくろうと接近してくる。
腕に触れる時には、他のどんなときよりも丁寧に、優しくなる隆也の指先が、オレの焼けた腕を辿る。


あっ、お前、腕の皮とか目立つところめくんなよ！ マダラになったらカッコわりーだろ!!
じゃあ、うなじならいいんですか？って、どっちにしろ目立つだろーが。
まあ、腕と顔と首しか焼けないんだけどな、野球部って。


そう思っていたら、いつの間にかオレの後ろに回っていたタカヤが、ペトリと背中にくっついて、首の皮をペリペリとはがし始めやがった。

くすぐったいし、もときさん、もときさんって首筋で喋る声は近いし、ホントにもう、こいつ、どうしてやろう。
この状況、食べてもどこからも苦情はでないよな？





振り向いて捕まえて、オレとは違って白い首筋に噛みついてやろう、赤い顔は、もっと赤くなるだろう、なんて思った。