余談(27)
始末に困るというか、正直対応に困るのは、つまりはこんなときだ。
例えばやっと二十歳を迎えた彼を祝おうかと、手のかかるオレサマ投手共々飲みに誘った居酒屋で。
欲望と嗜好の赴くままにビールと揚げ物を注文しようとした投手に、注文を却下して水割りと煮物を奨める様子を見たときには、良かったね榛名、と微笑ましい気持ちになったものだ。
でもそのあとに、何も言わずに大根おろしにポン酢をかけて榛名に差し出したのとか、〆のお茶漬けの、ワサビをきれいに取り除いてから渡したのとかを見ていると、どういう対応をしていいかホントに困る。
前者の場合、投手榛名元希の体のこと気遣ってくれてるんだなぁとか、榛名お前昔は神経質なぐらいに自分で食事とかも注意払ってたクセに隆也くんが面倒見てくれるとなると全部丸投げかよカロリー計算ぐらい自分でしろよ、なんて思ったんだけど、後者に対しては、なんていうかもう、ね。
あぁ、榛名って大根おろしには醤油じゃなくてポン酢なんだ、でも隆也くん、普通ポン酢なんてテーブルに備え付けてないでしょ、わざわざ店員さんに言ったんだ、とか、そーいや榛名ってワサビ苦手だっけ、でも子どもじゃないんだから自分で取れば良いのに、とか、色々言いたいことがあったんだけど。
やっぱアレかな、そこって突っ込んじゃいけないところなのかな。
いやそもそもそれ以前に、唐揚げとビールを却下されてからこっち、食べ物も飲み物も全部隆也くんが注文してるんだけど、榛名がそれに対してなんにも言わないんだよね。
何だろコレ。
もしかしてオレって邪魔なんじゃ……
後日、飲み代を奢ってあげたお礼に鍋をおよばれしたんだけど、肉だけじゃなくて野菜も食べなさいよ、って榛名の椀を持って注いであげてる隆也くんを見て、ご祝儀とか祝電とか、いやいやもしかしてオレの場合、司会…?とか、ちょっとアホなことを考えてしまって、秋丸さん?って聞かれたときに笑って誤魔化したんだけど。
まあ、隆也くんが面倒見てくれるなら榛名はほっといても大丈夫だよね、と、ひとつ肩の荷がおりた気分の、ちょっと言葉にはし難い感慨を抱いた、そんな冬の日の夜の話。
例えばやっと二十歳を迎えた彼を祝おうかと、手のかかるオレサマ投手共々飲みに誘った居酒屋で。
欲望と嗜好の赴くままにビールと揚げ物を注文しようとした投手に、注文を却下して水割りと煮物を奨める様子を見たときには、良かったね榛名、と微笑ましい気持ちになったものだ。
でもそのあとに、何も言わずに大根おろしにポン酢をかけて榛名に差し出したのとか、〆のお茶漬けの、ワサビをきれいに取り除いてから渡したのとかを見ていると、どういう対応をしていいかホントに困る。
前者の場合、投手榛名元希の体のこと気遣ってくれてるんだなぁとか、榛名お前昔は神経質なぐらいに自分で食事とかも注意払ってたクセに隆也くんが面倒見てくれるとなると全部丸投げかよカロリー計算ぐらい自分でしろよ、なんて思ったんだけど、後者に対しては、なんていうかもう、ね。
あぁ、榛名って大根おろしには醤油じゃなくてポン酢なんだ、でも隆也くん、普通ポン酢なんてテーブルに備え付けてないでしょ、わざわざ店員さんに言ったんだ、とか、そーいや榛名ってワサビ苦手だっけ、でも子どもじゃないんだから自分で取れば良いのに、とか、色々言いたいことがあったんだけど。
やっぱアレかな、そこって突っ込んじゃいけないところなのかな。
いやそもそもそれ以前に、唐揚げとビールを却下されてからこっち、食べ物も飲み物も全部隆也くんが注文してるんだけど、榛名がそれに対してなんにも言わないんだよね。
何だろコレ。
もしかしてオレって邪魔なんじゃ……
後日、飲み代を奢ってあげたお礼に鍋をおよばれしたんだけど、肉だけじゃなくて野菜も食べなさいよ、って榛名の椀を持って注いであげてる隆也くんを見て、ご祝儀とか祝電とか、いやいやもしかしてオレの場合、司会…?とか、ちょっとアホなことを考えてしまって、秋丸さん?って聞かれたときに笑って誤魔化したんだけど。
まあ、隆也くんが面倒見てくれるなら榛名はほっといても大丈夫だよね、と、ひとつ肩の荷がおりた気分の、ちょっと言葉にはし難い感慨を抱いた、そんな冬の日の夜の話。