余談(21)
「あ、三橋おにぎり三つ!」
休憩中のエネルギー補給は、言うなれば休み時間にかきこむ早弁のようにうれしい時間帯で、ヘロヘロと疲れきった体も、一瞬にして復活するんじゃないかというくらいに美味しく感じるのが面白い。
腹が減ってりゃなんでもご馳走、とはよく言ったものだ。
シノオカが、最近はきれいに三角に形の揃うようになったおにぎりの皿を持って現れると、なんかもう彼女が女神様に見えそうなぐらいで、もしひとつ多くもらえるとしたら、跪いてもいいと思える。
いや、そんだけ腹が減ってるってことなんだけど。
で、このときに真っ先に駆け寄っていくのが田島と三橋。
あの万年欠食児童め、そんなにじろじろ見比べなくても、どれも同じぐらいの大きさだっての。
あーでも、確かに二つじゃ腹に足りてないよな。あんまり食べるとこの後動けなくなるんだけども。
・・・・・と思ってたら。
「なんで三橋だけおにぎり三つなの!?」
ズリー、オレも食いたい! と大騒ぎする田島。
お前はどこの駄々っ子だ。
・・・にしても、なんで三橋だけおにぎり三つ?
「なんか阿部がね、三橋体重落としてるから米食わすんだ、って言ってたけど」
なるほど、そーいや、桐青戦の後で三キロも減ったんだっけ。
つか、いくらバッテリーが女房旦那だからって、お前そこまで・・・・・・・
件の良妻な捕手に目をやると、おにぎり持った三橋を背後にかばいつつ、田島の手から食料を守っている。
「いいなー、いいなー!」
オレも食べたいと騒ぐ田島。
いやでもな、その捕手様は、なんていうか投手大事の性格だしな、お前のためにはモモカンに掛け合ってくれないかもしれないぞ。
いや、田島には意外と甘いから、掛け合ってくれるのかな。
・・・・と思ってたら。
「もう一個食べたいんなら、練習を1.5倍がんばって動いて、腹減らさないと駄目だからな」
なんて言って。
1.5倍って、田島の運動量、たぶん部内で一番多いのに、それの1.5倍って!
「分かった!オレ頑張るから、おにぎりもう一個な!」
ちょい待て田島。
お前、それっておにぎりも増えるけど、今まで以上に腹減るから、結果は変わらないんじゃないのか?
つか、1.5倍ってキツイと思う。
阿部は、おう、頑張れ! なんて言ってるけどな、ちょっと騙されてる感が否めないっつーか。
いやいや、それ以前に、田島が1.5倍に増えた練習量で、1.5倍も上達しちゃったら、オレってどうすりゃいいの。
「阿部ってやり手だよね」
そう言った水谷の言葉に、かなり深く頷いてしまった。
視線の先では、うまいこと操縦されちゃって張り切る田島と、キラーン、と目を光らせた阿部がいた。
休憩中のエネルギー補給は、言うなれば休み時間にかきこむ早弁のようにうれしい時間帯で、ヘロヘロと疲れきった体も、一瞬にして復活するんじゃないかというくらいに美味しく感じるのが面白い。
腹が減ってりゃなんでもご馳走、とはよく言ったものだ。
シノオカが、最近はきれいに三角に形の揃うようになったおにぎりの皿を持って現れると、なんかもう彼女が女神様に見えそうなぐらいで、もしひとつ多くもらえるとしたら、跪いてもいいと思える。
いや、そんだけ腹が減ってるってことなんだけど。
で、このときに真っ先に駆け寄っていくのが田島と三橋。
あの万年欠食児童め、そんなにじろじろ見比べなくても、どれも同じぐらいの大きさだっての。
あーでも、確かに二つじゃ腹に足りてないよな。あんまり食べるとこの後動けなくなるんだけども。
・・・・・と思ってたら。
「なんで三橋だけおにぎり三つなの!?」
ズリー、オレも食いたい! と大騒ぎする田島。
お前はどこの駄々っ子だ。
・・・にしても、なんで三橋だけおにぎり三つ?
「なんか阿部がね、三橋体重落としてるから米食わすんだ、って言ってたけど」
なるほど、そーいや、桐青戦の後で三キロも減ったんだっけ。
つか、いくらバッテリーが女房旦那だからって、お前そこまで・・・・・・・
件の良妻な捕手に目をやると、おにぎり持った三橋を背後にかばいつつ、田島の手から食料を守っている。
「いいなー、いいなー!」
オレも食べたいと騒ぐ田島。
いやでもな、その捕手様は、なんていうか投手大事の性格だしな、お前のためにはモモカンに掛け合ってくれないかもしれないぞ。
いや、田島には意外と甘いから、掛け合ってくれるのかな。
・・・・と思ってたら。
「もう一個食べたいんなら、練習を1.5倍がんばって動いて、腹減らさないと駄目だからな」
なんて言って。
1.5倍って、田島の運動量、たぶん部内で一番多いのに、それの1.5倍って!
「分かった!オレ頑張るから、おにぎりもう一個な!」
ちょい待て田島。
お前、それっておにぎりも増えるけど、今まで以上に腹減るから、結果は変わらないんじゃないのか?
つか、1.5倍ってキツイと思う。
阿部は、おう、頑張れ! なんて言ってるけどな、ちょっと騙されてる感が否めないっつーか。
いやいや、それ以前に、田島が1.5倍に増えた練習量で、1.5倍も上達しちゃったら、オレってどうすりゃいいの。
「阿部ってやり手だよね」
そう言った水谷の言葉に、かなり深く頷いてしまった。
視線の先では、うまいこと操縦されちゃって張り切る田島と、キラーン、と目を光らせた阿部がいた。