余談(19)





そんなおっきな目だから、ゴミがはいるんだよ。

こしこし、右目をこすっている、となりのちっこいのは、ほんとにおっきな目をしてる。
顔はちっちゃめなのに、目ばっかおっきいから、なんかこどもみたいな顔。
おれはつり目で、アネキもつり目で、親もつり目で、つり目ばっかのおれの家族とくらべると、こいつはびっくりするくらいたれ目で、なんだかおもしろい。
それで、ひっぱったらもっとたれるかな、って、ほっぺたつまんで引っぱってやったら、なにするんですか! って怒られた。
たれ目の子は気がつよいってだれかが言ってたけど、本当なんだな。

こしこし、こしこし、まだ目をこすってる。
そんなにこすると、目が傷つくぞ。
おれはおまえのそのおっきい目が好きなんだから、傷つくなんていやだな。
ゴミ、まだ取れないのか?ちょっと見せてみ。
……あー、まつげが入ってる。これって、なんか目がごろごろするよな。
鏡があったら取れるのに、って、ないもんはないんだからしかたないだろ。
上むけ、おれが取ってやるよ。
でも、自分ならともかく、人のユビが目にさわるのってこわいよな。
……じゃ、こーすりゃいいじゃん。

ぺろり。

ほら、取れた!
あぁ? なにおまえまっ赤になってんの。
べつにいーじゃん、舌で取っても。いたくなかっただろ。おれもお前の目ん玉傷つける心配ないし。
なみだでちょっとしょっぱかったけどな。


なー、タカヤ、なに怒ってんの?