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宇  宙  人  2

作・よしおか


  最近、俺の周りの連中がおかしく成り出した。狂犬と言われ、目が合っただけで喧嘩を吹っかけていた真が妙に大人しくなり、真面目になっている。それに、女といえば見境なく犯っていたのに、急に優しく接するようになったのだ。それに、体格も変わってきたような気がする。
 奴ばかりではなくほかの連中も、奴のように変わってきていた。最近は付き合いが悪く、昔はよく暴れまくっていたのに、まったく暴れる事はおろか、走ることさえしなくなった。それに奴らの顔つきも優しく、温和になってきていた。
 あの狂わんばかりのパワフルな連中はどこに行ったのだろうか。俺は一人取り残されてしまった。
 そんなある日、俺は、町を一人歩いている真を見つけ、こっそりと後をつけることにした。奴は俺に気づかずにある店の中に入っていった。その店は最近、有名になってきたエステサロンで、会員制で一般の客は入れないところだった。ということは、奴はこんなところの会員になっていたのか。待てよ、ひょっとすると、奴と同じようになってしまったほかの奴らもここの会員になっているのかも知れない。こんなところの会員になるために俺は一人残されたのか。そんなことを思うと俺は無性に腹が立ってきた。
 奴が出てきたら締め上げてやろうと、待っていたが、なかなか奴は出てこなかった。その間、何人かの男の客が入っていくが、誰一人としてでてこずに、向かいの女性専用の店からは何人もの客が出てきた。みな若くキレイだった。だが、俺がここで見張っている間にはだれも女は入っていかなかったはずなのだが、おかしなこともあるものだ。
 俺が見張っているのにあきてきた頃、一人の少女がその店から出てきて、俺に近づいてきた。その子は、前○愛に瓜二つのぽっちゃりとした子で、真好みの子だった。
 「あの、俊之さんではありませんか。」
 そいつは突然俺の名前を呼んだ。
 「お前は誰だ。初めて会うはずだぞ。」
 「え、ええ、そうですね。え〜と、真さんによくお話はお聞きしていたもので。つい。」
 こいつは、真の彼女か。俺は無性に腹が立ってきて、真への復讐を考えついた。
 「そうかい、真からね。それならば、ちょっと付き合ってもらおうか。」
 「え、あ、あの。いったいどこへ。」
 少女は戸惑いながらも俺について来た。俺は車の助手席に連れ込むと、すっ飛ばした。少女は、最初は戸惑っていたが、移り変わっていく景色に気を取られていった。
 人気のない山の中に車を止めると、俺は助手席のシートを倒して、覆い被さった。その時になって俺の目に気づいたようだった。俺は獣のように、少女の服を引き裂き、暴れる彼女の顔を何度も殴りつけて大人しくさせると、そのふくらみかけていた胸を吸った。
 感じるのか、彼女は声をあげた。こいつに気に入られるために、あのエステに通いだしたに違いない。俺や仲間(といってもその仲間も今はいないが。)を捨てたのだと思うと、なおさら、こいつをめちゃくちゃに壊したくなった。
俺は、叫びながらあらぬ限りの性行為をした。
「お前は、真の彼女だろう。」
「お前のおかげで、俺と奴との仲は・・・」
「お前なんか。お前なんか。」
それは、俺を裏切った真への復讐と真を裏切らせた女への処罰の意味がこもっていた。やり終えて、気が落ち着いてくると、俺の精液と唾液で身体中べとべとになった彼女の怯えた姿が目に入ってきた。彼女には何の罪もないのだ。ただ、俺の言い知れぬ不満の捌け口にされただけなのだ。俺に怯え、振るえる彼女を一瞥すると、車を走らせた。町に近くなったところで、俺は、彼女にできるだけ優しく言った。
 「今日はゴメン。どうかしていたのだ。送っていくよ。」
 その言葉に彼女はただ一言答えた。
 「オードリ−に行ってください。」
 そこは、彼女がでて来たエステサロンの名前だった。
 「家まで送るよ。」
 「オードリーに行ってください。」
 俺は、しつこくエステサロンに行くようにだけ言う彼女に、いいかげんにするように怒鳴りつけようとしたが、彼女の目を見て、その言葉を飲み込んだ。彼女の目は真剣だった。
 俺は言われるままにエステサロンに車を走らせた。店の前に止めると、彼女は黙って降りた。そして、振り返る事もなく、店のなかえと消えていった。俺は彼女への罪悪感から彼女が出てくるのを待った。ひたすら、今日のことを詫び、許してもらうつもりだった。決して、男として、決してしてはいけないことだからだ。だが、彼女はなかなか出て来なかった。その代わりに、真がその店から出てきた。
 こいつの為に俺は・・・そんな逆恨みな気持ちが、俺の中に溢れてきた。真はまっすぐに俺の所に来ると、車の窓を叩いた。
 俺は飛び出して真を殴りたくなっている自分の気持ちを抑えて、ドアの窓を開けた。
「なんだ。」
「俊之君。彼女が会いたがっているよ。」
真は、自分の彼女を犯した奴にさえも丁寧な言葉を使っていた。それがまた、俺の気持ちを逆なでした。しかし、あのときの彼女の姿を思い出して、俺は、黙って車を降り、真に付いて行った。
 真は、彼女の入った女性専用エステの方には行かずに、男性専用の方に入っていった。俺は真にそのことを言いかけたがやめて、奴の後を付いていった。
真は、サロンの中に入ると、従業員らしい美人の女と何か話しながら、ちらちらと俺のほうを見ていた。そして、話し終わると、俺について来るように言うと、さっきの従業員と一緒にサロンの奥のほうに歩みだした。そして、一つの部屋に入った。
俺も二人の後に続いた。その部屋の中には、大きな姿見とその横に雑多なメーキャップ品が所狭しと台の上に置かれているメイク台(あの、楽屋とかに置いてあるライトで囲まれた鏡が付いていた。)と、大きなクローゼットが壁際にあった。
奇妙な事には、奥にピンクのジェル状の物が入った透明なカプセルが、いろんな色のチューブで繋がったマシーンの上に置いていた。その横にはディスプレーとキーボード、スキャナーらしきものが、置いてあった。カプセルは、大人の男がゆったりと横に慣れるぐらいの大きさがあった。
真は、従業員に何か告げると、着ていた服を全て脱ぎ捨て、全裸になるとカプセルのカバーを開けて、中に入り、ジェルの上に横たわった。奴の身体は、ジェルに飲まれることなく、ジェルの上に浮かんでいた。
従業員が横のマシーンのキーボードを操作しだすと、真が横たわっていたジェルが光だし、真の全身を包んだ。ジェルは、ムニュムニュと蠢きだした。それに伴って、奴の身体にも変化が起こり始めた。薄黒かった奴の肌が白くなり、胸が膨らみ、腹は引き締まり、尻は丸みを帯びだした。変化はそれだけではなかった。奴の痩せて長い顔は、小さくふっくらと丸みを帯び、顔の造詣も変わっていった。喉の突起も消え、腕や足、いや、体全体が縮んでいった。そして、そそり立っていた真のアレが、段々と身体の中に入っていき、最後には袋も身体の中へと消えていった。
その光景は、ミュージックビデオなんかで時々見かけるモーフィングを見ているようだった。30分も立ったのだろうか。ジェルは、引き潮のように、真の身体から離れ、元の姿に戻った。そして、その後にはすっかり姿の変わった真が、カプセルのカバーを開けて、でて来た。その姿は、前○愛にうりふたつだった。
「お、おまえは。」
俺はあまりの事に言葉を失った。
「俊之さんにまたお会いして、お詫びが言いたかったの。」
「お前が、真に化けていたのか。」
「いえ、わたしがこの子になっていたの。ごめんなさい。わたしのせいで、あなたがあんなに苦しんでいたなんて。知らなかったの。」
「それじゃあ、お前は、真なのか?」
その少女は、静かに頷いた。そんな馬鹿な事が。目の前で、真が変身するのを見ていたのに、俺には信じられなかった。あのときの少女は確かに女だった。それに、確かに処女だった。だのに、男だったなんて・・・
「これが、あなたから離れた理由なの。本当の自分を探して貴方たちといろんな事をやったわ。でも、満たされなかった。ここで、この姿になって、わたしは始めて、満たされた気分になったの。でも、ずっとこの姿のままでは、また、満足は得られない。男だからこそ、女になる喜びを感じられるのよ。だから、真の姿に戻ったりしていたの。他のみんなもそうよ。ここで、女になり、女になる喜びを味わっているわ。」
「なぜ、俺を誘わなかったのだ。」
「だって、あなたは硬派の人。男らしさを追求していたわ。女になることを望むなんて思えなかった。」
確かに俺は男らしさを追い求めていた。この時代、何が男らしいのかわからなくなっていた。それに、女になりたいとも思ってはいなかった。
「あなたに犯され、あなたの心の叫びを聞いて、わたしは、あなたを苦しめていたことを知ったの。だから、今のわたしを知ってもらうために、ここに来てもらったのよ。」
ともに戦い、ともに遊び、語らっていた友が、女になりたがっていたとは、そして、その友を知らなかったとはいえ、自分の言い知れぬ怒りに任せて犯してしまうとは、俺は、どうしたらいいのかわからなくなってきた。
「あなたの心を癒したいの。そして、わたし達の仲間になって。」
彼女と従業員は、俺に近づくと、俺の着ていた服を脱がしだした。抵抗しようとしたがなぜか、身体から力が抜け、俺はされるままに、裸になってしまった。
そして、あのカプセルに入れられた。なぜか、されるままになりながら、心の中ではそれを喜んでいた。
カプセルのカバー越しに見ていると従業員が、さっきのマシーンを操作していた。そして、それと同時に身体の下のジェルが、俺の身体を覆い始めた。すっぽりと覆われても、息苦しくはなかった。それよりも、何か懐かしい温かく安らぐところにいるような気持ちになった。
ジェルがうごめき出すと、その感じはさらに強くなった。身体をマッサージされているうちに、胸が段々と膨らんでいくのがわかった。胸ばかりではなく、腹は引き締まり、尻は優しく摩られて丸くなり、腕や、足が細く小さくなって行くのも不快ではなかった。それに、顔や喉が変わっていく感じも、痛くも苦しくもなく気持ちよかった。優しくマッサージされながら、肌も、すべすべになり、心地よく俺の身体は変わっていった。
最後にアレが、身体の中に入っていくのも、初めての感触だった。アレは、身体の中に入っていくとその感触は消えていった。そして、玉やアレが、身体の中に入り他のものに変わっていくのも感じていた。それは初めて経験する快感だった。その快感が身体中を走り回り、わたしが恍惚になりそうになった時、ジェルは元の形に戻った。
カバーが開き、真が、優しく手を差し伸べた。わたしは、その手を取り、起き上がるとカプセルから静かに出て、姿身の前に立った。そこには、わたし好みの釈○美子の双子の女性が全裸で立っていた。わたしは、両手でほほを抑えて呟いた。
「これが、わたし?」
「そうよ。これがあなた。どう、女の子になった気持ちは?」
わたしは、捜し求めていたものを見つけたような気がした。だが、それは、持ちつづけることはできないのだ。なぜなら、この姿から元の姿に戻ったら、わたしは二度とこの姿を得る事はできないのだから。
「うふ、この姿を失いたくないのでしょう。ここの会員になればいいのよ。」
「でも、どうしたらいいの。」
「それはね。あなたの、男を捨てれば良いのよ。」
「おとこを?この姿のままでいろというの?」
「そうではないわ。あなたの精巣と、凶暴性をあげるのよ。彼らに。そうしたら、あなたもここの会員になれるわ。」
「でも、そうしたら、もう、子供は作れないわ。」
「大丈夫。産むことはできるわよ。その身体は、完璧に女性だから。」
「え、赤ちゃんを産むの?」
わたしは、その言葉に顔を赤らめた。
「そういうこともできるということよ。でも、完全に精巣を無くすのではなくて、1/10くらいになるだけだから、子供は作れるわ。どう、会員にならない。」
わたしはその言葉に迷った。男らしさを求めていたと思っていたが、本当はその裏側を求めていたなんて。それに、姿は自由に変えられるし、元に戻ってもいつでもまた、女の子になれるという。
わたしは、決心した。そして、それで、決して後悔なんかしないわ。わたしは、新しい道を歩き始める事にした。



 業務報告

 今日また、新たな会員が入りました。これで、予定のサンプルまであと4/5にまできました。やはり、彼のアイデアは、かなりの効果をあげています。これまでの計画では、1/100にも満たなかったでしょう。これからもこの計画を推進していくつもりです。

 新会員       13名。(このうち既存会員よりの紹介者 9名)

 (エステサロン オードリー神戸支店 業務報告書より抜粋)