ある日、両親が突然無くなった。

それは航空機事故だった。

ぼくの両親は、二人とも早くに親を亡くしていたので僕は天涯孤独の身と為るはずだったのだが、

とても遠い遠い親戚筋に当たる叔父さんが僕を引き取ってくれることになった。

どれくらい遠いかっていうと、ひーひー祖父さんの兄弟の娘の息子の息子らしい。

だから、ほとんど赤の他人のような物だ。

僕の名前は、愛川 翔 11歳 小学5年生 夏の出来事だった。

叔父さんの名は、愛川 顕一 42歳。

薬に関する研究をしている医者で、特に遺伝子治療に関する研究をしていていろいろ特許を持っている。

その為、結構裕福で敷地の中に個人の研究施設まであった。

それから2年の月日がたち、僕は中学一年の夏休みを迎えていた。


VIRUS

作:佐樹


僕は、夏休みに入ってからも部活の活動で忙しい日々を過ごしていた。

陸上部に入っていて、長距離のランナーだ。

タイムは良い方で地区大会にも良く出ていた。

将来マラソン選手になるかはわからないと思うが、僕は今という時間を精一杯楽しんでいる。

その夜・・・

 

「どうだい翔!体の調子は・・・毎日のクラブ活動大変じゃないのか?」

「ううん!そんなことはないよ!毎日が楽しくて楽しくてたまらないよ!

 それに今タイムが良くなってきているからね!このままでいくと今度の県大会で優勝できるかも。」

「そうかい、それならいいが・・・あんまり無理をするなよ!」

「大丈夫だよ!まだまだこれからさ!」

「でも、調子が悪くなったら私に言うんだよ!診察してあげるから。」

「うん、わかってるって!

 ところで、仕事の方はどうなの?」

「あぁー、そちらの方も一段落ついているよ!」

「そうなんだ〜、叔父さんの方こそ無理しないでよ年なんだから!」

「こいつ!ナマ言って!」

「ところで、今はどんな研究をしているの?」

「それはだね、

 いまはね、人類の進化についての研究をしているんだが、

 とくに、細胞の中にある遺伝情報、すなわち遺伝子の決定についての研究行っている。

 遺伝子・・・これによって人は形取られ作られているのは知ってるだろ。」

「うん、それくらいは知ってるよ!」

「だから、この遺伝子さえコントロールできればと・・・

 そして私は、細胞核内にあるミトコンドリアに目をつけたんだ。

 ミトコンドリアとは、細胞のエネルギー産生や呼吸代謝の役目を持つ特殊な小器官でね、

 そして、その中にも小さなDNAが存在し、これをミトコンドリアDNAと呼んでいる。

 私は、このミトコンドリアに指令を与えて細胞の遺伝子に進化を与えるための研究をしてるんだよ!」

「へえ〜、それってどうやるの?」

「それはね、特定の遺伝子を持たせたウィルスを感染させて変化を促すんだよ。」

「ふぅ〜ん〜・・・」

「難しいんだがね・・・」

 

そのあと、私と翔はいつもの他愛ない日常会話をしながら夕食を終わった。

「叔父さん、今日の練習はハードで疲れたから先に休むよ。」

「そうかい、それならこのビタミン剤でも飲んでおきなさい。」

僕は、叔父さんからもらった錠剤を飲んで部屋へと戻った。

疲れている所為もあったが、部屋に戻って暫くすると睡魔が襲ってきたのでいつもより早めにベットへ入ることにした。

 

「翔も大きくなった物だ。それも今夜で終わりかと思うと・・・」

私は、研究室から完成させた薬のアンプルと注射器を持つと寝ている翔の部屋へと向かった。

「ぐっすり寝ているようだな!先ほど渡したビタミン剤に混ぜておいた薬が効いているな・・・」

私は、アンプルの蓋を開け中身の液体を注射器で吸い上げた。

そして、寝ている翔のおしりを出して注射した。

「すぐに変化は出ないだろう、これからの半年間が・・・楽しみだな!」

私は、満足げに寝ている翔の頬にキスをすると部屋を後にして研究室へと戻ったのだった。

 

次の日の朝、

「おはよう、叔父さん!」

「翔、おはよう!今日の気分はどうだい?」

「昨日の薬の所為かな、とてもすっきりしてる。それにものすごくお腹が空いたよ!」

そう言うと翔は食事を始めた。

食べるは食べるは、いつもの倍の朝食を食べていった。

それから一週間、翔の食欲は増加の一歩をたどっていた。

「今日も、ほんとによく食べるね!」

「なんでかな?」

「成長期だから、これからもっと大きくなるさ!」と私は答えていた。

「でも、体重が増えてきてタイムが上がらないんだよ!」

「心配ない、ある程度成長が進むと止まるから。」

「そんな物なのかな?」

一応、翔は納得したようで、食事を終えると学校へクラブ活動へと行った。

(どうやら、施した処置が正常に働いているようだな。細胞を変化させるためにはかなりのエネルギーがいるからな!)

そして、彼の食事の増加は数週間続いたのだった。

その所為で、彼の体重は一時的にだが10kgも加していた。

しかし、細胞の変質が終わったのか翔の食事の量が元の状態に戻りつつあった。

(さあ、これからだ!彼の体が組み替えられるのは・・・)

 

そして、夕食の時・・・

「叔父さん、最近体のあちこちが痛くなるんだ、どこか悪いのかな〜?」

「大丈夫さ、成長過程では、よくあることさ骨の成長に体が追いつけないだけだから。」

「そんなもんなの?身長なんか最近伸びていないけど、それに食べられる量も戻ったし・・・

 持久力は上がっているんだけど、なんか走りにくいんだよ!」

「気にすることないさ、心配だったら診察してあげるけど?」

暫く考え込んでいたようだったが、

「いいよ、叔父さんの言うことだったら間違いないもん!」

そういって翔は食事を続けた。

しかし、その後も体の痛みが続いた翔は、私に言った。

「叔父さん、一度診察してくれるかな〜」

「それなら、今から研究室へおいで・・・」

私は、翔を念入りに調べ上げた。

 

翔の細胞はすべて変質が終わっており、染色体はXXとなっていた。

ここのところ続いていた痛みは骨格の変化をもたらしており、ちょうど同い年の少女の骨格へとほぼ変わっていた。

もちろん内臓の類にも変化が現れていた。

腸の一部が長くなりつつあり、生殖器官にも変化が現れていた。

お腹には、小さいながらも卵巣ができており、子宮も出来始めていた。まだ外性器への変化はなかったが睾丸が小さくなりつつあった。

診察を終えて・・・

「叔父さんどうだった?」

その結果に満足していた私は・・・

「検査の結果どこにも異常はないよ。至って普通の健康体だよ!」

(ただし、少女としてなんだがね・・・)

「そっか、叔父さんありがと!」

そして、翔は自室へと戻っていった。

 

それから一週間もすると骨格の変化が終わり、体の痛みも訴えることが無くなった。

「翔、どうだい調子は?」

「うん、もう体も痛くないし体重も元に戻ってきたよ!

 それに関節なんか柔らかくなってさ体が良く曲がるようになった!」

しかし、その後一瞬翔の表情が曇ったことを私は気づいたのだった。

それから数週間が過ぎ夏休みが終わり2学期が始まり猛練習の続いたクラブ活動も平常に戻った。

 

時折、翔とは風呂に入っていたのが、最近翔が私を見つめることが多くなっていた。

気づいて私が目をやると、目をそらし顔を真っ赤にしてた。

(どうやら、脳にも変化が現れたようだな・・・)

私は、翔の体を洗ってやることにした。

「翔、上がっておいで体を洗ってあげるから・・・」

そういうと、翔はますます赤くなったが、湯船からでると私の前に腰を下ろした。

翔の体を優しく洗ってやりながら体のチェックを行った。

肌はかなり日焼けしていたが、同年代の少年と比べると白かった。そしてきめ細やかなものに変わっており弾力を帯びていた。

ウエストは位置が変わり、かなり引き締まっていた。

おしりは、骨格の変化に伴い少し大きくなっていた。もっともそれは脂肪によるものだったが・・・

胸にも僅かながら変化が現れていた。少し乳首の周囲が膨らんできていた。

ここに来て、翔の外性器にも変化が確実に現れていた。

ペニスと睾丸が小学生程度の物へとなっていた。

そして湯船につかる際に見えたのだが、睾丸の付け根には窪みが出来始めていた。

 

秋が来て、体育祭の日

翔はマラソンランナーとして県大会へ出ていた。

一生懸命に走る姿を見ていたが、骨盤の変化で足の付け根が外側に移動している為、走り方が女性の物になっていた。

それに胸のあたりがかなり膨らんでいて腕も振りにくそうだった。

しかし、それでも3位という成績で走り終えたのだった。

「翔、残念だったな・・・」

「ううん!そんなこと無いよ!精一杯走ったからね!」

でも、悔しそうな表情の翔を観ていると少し胸が痛んだ。

それから一週間、どうやら翔はクラブを辞めたらしい。

それからの翔はいつもより分厚い服を着て通学するようになっていた。

私には、その理由はわかっていたのだが・・・

 

夕食時・・・

「翔、クラブは辞めたのかい?」

「うん、ちょっとね・・・」

暫く食事をしていた翔が切り出した。

「あのね、叔父さん!僕の体・・・

 女の子みたいになってきているんだ・・・

 だから・・・

 クラブ活動もね・・・

 それにもう、立ってトイレも出来なくてね・・・

 観てくれる?・・・」

そして私は翔を連れて研究室で診察をした。

すべての検査を終えて翔に言った。

「翔、おまえの体は完全に女性になっているよ。」

「そっか・・・」

「すまない・・・」

「どうして、謝るの?」

「私が、おまえをこんな風にした・・・」

「やっぱり・・・そうなんだ・・・

 でも、そんなこと気にしてないから・・・

 それより、嬉しいんだよ!

 叔父さんの役に立てているんでしょ!

 だから・・・」

「翔・・・」

「叔父さん、好き!・・・」

翔が突然私にキスをしてきた。

私は吃驚したがそのまま翔を優しく抱きしめてやったのだった。

「さあ、服を着なさい。

 このカードを渡すから、好きな物を買ってきなさい。いろいろと必要になるだろうから。」

「ありがとう!叔父さん!」

 

次の日、翔は買い物へと出かけていった。

夕方になって、やっと帰ってきたが紙バックを二つしか持っていなかった。

「翔、それだけかい?かってきた物は?」

「もっと、あるんだけど持って帰れないから配送頼んだの!」

「そうかい、楽しかったかい?」

「うん!女の子としての買い物がこんなに楽しい物とは思わなかったよ!」

「そうかい、でも無駄遣いはするなよ!」

「わかってるわよ!パパ!」

「おいおい、パパって・・・」

「いいじゃない!私はもう女の子なんだから、娘としてパパって呼んでも!

 嬉しいでしょ!」

「確かに嬉しいが・・・」

「もう!つべこべ言わないの!」

どうやら、今日一日で翔の意識は完全に女性化したようだ。

「わかったよ!それなら名前も翔子にしないといけないかな?」

「もう!パパの意地悪!

 それでいいわよ!」

アッカンベーをした翔子はとても可愛かった。

「それで何を買ってきたんだい?」

「それわね・・・

 女の子としての必需品よ!

 ブラとショーツにセーターにスカートにコートに・・・もういっぱいあって分かんないくらい!」

「おいおい、そんなに買ったのかい!」

「だって、女の子だもん!」

そして、翔子は紙バックを抱えると、

「着替えてくるねっ!」

やがて部屋から戻ってきた翔子を見て驚いてしまった。

そこにいたのは紛れもない少女だった。

先ほどまでは女の子っぽい少年だったのだが・・・

「どう?パパ!」

「ああぁ、とっても可愛いよ!」

「もう、パパったら、

 可愛いじゃなくて綺麗でしょ!」

「そう、そうだな・・・」

こうして、いきなり娘の父親になってしまったことになるのだが・・・

 

次の日、私は医者としての診断書を用意した。

もちろん翔から翔子としてへの改名と性別変更のためだ。

翔子とともに役所へ行き届けを行った。

書類はすぐに受理されることが出来、正式に女性としての生活が始まった。

その帰り道、翔子はお腹を押さえることが多かった。

「どうした、痛むのか?」

「うん、パパ・・・ちょっとね・・・」

どうやら生理が始まりかけたとわかった私は、医者として帰りの車の中で女性の生理を簡単にレクチャーした。

そして、さすがに家にはそんな物はないのでドラッグストアーへと寄り生理用品を買って帰った。

その後車の中で使い方を読んでは呟いていた。

「なんか、大変なのね!」

「将来、赤ちゃんを産むための準備なんだから仕方がないさ!」

「赤ちゃんねっ・・・・・・

 ・・・・・・産めるのねっ。・・・・・・」

「もちろんさ!」

「そう・・・・・・それなら私パパとの赤ちゃんが欲しい!」

「おいおい!それは・・・」

「こんなにしたんだから責任取ってよねっ!」

「わかったよ!」

そんなこんなやり取りをしているうちに我が家に着いた。

帰るなり、買った物を持ってトイレに入った翔子はなかなか出てはこなかった。

10分位して出てきた翔子は言った。

「パパ、今夜はお赤飯ね!」

 

それから数日が過ぎ初潮の終わった翔子が夜、私の部屋へとやってきた。

「パパ・・・お願い・・・一緒に寝てもいい?・・・」

「おいで・・・」

「うん・・・」

私は、傍らに翔子を寝かせてやった。

暫くじっとしていたがやがて翔子が動き出して私の背中へしがみついてきた。

「パパ、大好き!」

私は、そのままじっとしていたが、やがて・・・

「パパ、お願い・・・こっちを向いて・・・」

私は、そんな愛しい翔子の願いを拒めず、体の向きを変え仰向けになると、

翔子は私の上に跨り胸へとしがみつき足を絡ませてきた。

そして、私は翔子の胸の膨らみと股間のかげり、ヒップと太腿の柔らかさを感じ取っていた。

やがて翔子の吐息が荒くなってくると同時に、股間を私の太腿に押しつける力が強くなってきた。

どうやら、翔子の肉体が感じ始めているようだった。

「パパ、翔子はもう・・・・・

 ・・・・・・・おねがい・・・・・・」

翔子は私の物を握りしめると自分の股間へとあてがうと腰を前後に動かし始めた。

やがて翔子の秘芯から蜜が流れ始めると益々動きが激しくなり息も絶え絶えになっていった。

そして、クライマックスを迎えたのか体を弓なりに反らし弛緩していたが暫くして私の胸へと崩れ落ちた。

翔子は初めての体験に意識を失っていた・・・

やがて、10分程立って翔子は頭を僅かに持ち上げて私にキスをした。

「パパ・・・

  私・・・

    こんなの初めて・・・

      まだ、躰中が熱くて堪らないの・・・

        ねっ・・・

         今度は・・・

           お願い・・・

              入れて・・・」

そんな翔子の願いを断る術もなく、意のままの欲望に私は従った。

そして、私は翔子の願い通りに・・・

・・・・・・・・・

そして、翔子は少女から女になった・・・

 

この時の私は、重大な異変には気づいてはいなかった。

 

やがて、冬休みが終わり翔子は、女子生徒として学校へと通うことになった。

学校側には事情を話してあったので問題も起きないはずだった・・・

一つを除いて・・・

 

翔子は、常に発情した雌猫と同じであった。

その結果、私は毎晩のように翔子と愛し合った。

それだけではなかった。

学校では、言い寄ってくる男子生徒とすぐに関係を持つのだった。

1月も終わりを迎える頃、翔子の体を検査してみたが・・・

 

翔に与えたウイルスが進化して、尚も活動を続けていたのである。

これが、誤算であった。

そして、そのウイルスは・・・

粘液を媒体としての感染能力を持っていたのだった。

その結果、当然私もキャリアーとなっていた。

大急ぎで対応策の研究を始めたが・・・

時すでに遅く・・・

やがて・・・

私の食欲増加が始まった。

もちろん、関係した男子生徒も同じ運命を歩み始めていた。

違っていたのはウイルスのが活動を始めたら短期間で変化が進むことだった。

このままでは、私も直に雌猫と化すだろう・・・

その時には、私は研究を続けられるのだろうか・・・

せめて、発情状態だけでも押さえられれば・・・

でないと、世界が・・・

 

 

 

 

 


佐樹です。

一応これで完となりました・・・

もう少し書ければ良かったのですが、勘弁してやってください。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。