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祟り 第一部

作:HIKU


第一部

 

「カンカンカンカン!」「カンカンカンカン!」

村の中心にある。見張り台の鐘が鳴り響いた。

「また出たか!」

一人の青年が壁に掛けてあった弓と矢を携えると表へ飛び出し見張り台の方へ駆けていった。

「今日こそ仕留めてやる!」

「これ以上の村の人たちを殺られてたまるか!」

見張り台へつくとあっと言う間に青年は上まで登っていった。

「どこだ!」

「今回は南のはずれだ!」

村の境界のはずれにある森の木が妙な動きをしていた。

「村のものたちは!」

「ほとんど避難させてある。」

「そうか!」

「後は頼んだぞ!」

そうして青年は意を決して村のはずれに向かった

 

そのころ村のはずれの森から一体の獣が這い出てきた。

体長の長さは70尺あまりある大蛇であった。

しかし頭の方は人の姿をしていた。が、それは般若のような女の姿をしていた

胸には二つの膨らみがあり胴の一部がイノシシか何かを飲み込んだように異様に膨らんでいた。

 

そして青年が村のはずれにたどり着いた頃、

その大蛇は”するする”と村の垣根までやってきて乗り越えようとしていた。

そして大蛇を見極めると持っていた弓矢を狙いを付けて満身の力で矢を引き絞り放った。

一本、二本と立て続けに矢を放った。しかし鱗でほとんどの矢が弾かれてしまっていた。

大蛇は矢を射られていたが青年のことを気にもかけていないようだった。

「くそ!このままでは駄目だ、もっと近づかないと!」

そして弓矢を引き絞ったまま歩み寄っていった。

そして頭に狙いを付け祈りながら矢を放った。

矢は大蛇の目に刺さった。しかし大蛇はそれをものともしていなかった。が

さすがの大蛇も無視できず青年の方へ向かってきていた。

青年は少しあわてたがもう一度矢を引き絞り放った。

その矢は見事に大蛇の頭部に刺さり突き抜けていた。

さすがの大蛇でも頭部を射抜かれてはどうしようもなかった。

のたうち回りとぐろを巻いていたが暫くすると動かなくなってしまった。

そして青年は手に短剣を握りしめ恐る恐る大蛇へと近づいていった。

そろりそろりと用心しながら3尺近くまで来たときだった、大蛇は最後の力でか青年に飛びかかり

咬みつき巻き付いていった。

「この恨みはらさでおくべきか、祟ってやる!」

そう言って大蛇は息絶えていった。

青年は大蛇に噛みつかれ巻かれたまま気を失っていた。

暫くして

村人が集まってきて青年を助け出した。

青年は体中に大蛇に巻き付かれた部分が赤く晴れ上がり噛みつかれた部分が紫色に変わってきていた。

そして村人たちの手で祈祷師の家へと運ばれていった。

残った村人たちは村長の命で倒された大蛇を葬るべく準備をしていた。

すると大蛇の膨らんでいた胴体から声が響いてきた。

「この恨みはらさでおくべきか!

       この恨みはらさでおくべきか!

             この恨みはらさでおくべきか!」

が、やがて声が消えるとともに膨らみが萎んでいった。

それを聞いた村長は祈祷師にどうすればよいかを尋ねた。

「これは、社を建てて祈り祀るしかない!」

村長は祈祷師に後のことを任せて青年の元へと向かった。

 

青年は祈祷師の家で巫女により手当を受けていた。

青年は村長の孫であった。

やがて祈祷師の家にたどり着いた村長は巫女に孫の様態を尋ねた。

「傷の方は大丈夫です。ただ・・・」

「ただ、どうしたんだ!」長は訪ねた。

巫女は青年の腹部を指さし言った。

異様に腹部が膨らみもぞもぞと蠢いていた。

「これはどうしたのだ!」

長が問いただした、すると巫女が

「暫く前から声がしたと思ったら急におなかが膨らみだしたんです。」

「大蛇の呪い祟りか」

「多分そうでしょう、大蛇の魂を祀って怨念を残らぬようしてあげなければいけないでしょう。」

そうして村長は祀るための準備にとりかかるため祈祷師のとこへ向かった。

そしてその夜、

大蛇の躯を焼き村人全員で一晩中祀るべくお祭りを行った。

それから幾日かが過ぎた。

青年の膨らんだおなかは元どうりになっていった。

が、体はほっそりとし、色白になってしまっていた。心なしか顔や手足も小さくなっているようだった。

やがて青年は元気を取り戻したが体は元に戻ることはなかった。

そしていつしか青年の姿が村から消えていた。

やがて一人の娘が長老の家に住むようになっていた。

その後、大蛇の倒された後には社が建てられ毎年その日にお祭りが行われるようになった。

 

第一部 完


何とか第一部を書き上げましたが思うようには書けませんでした。頭の中の

半分が仕事のことを考えているため筆が思うように進みませんでした。

そのような作品は発表するな!とのお叱りを受けそうですが許してやって下さい。

そんなわけで第一部はふつうの昔話になっています。一応最後で♂→♀らしき

ところは作りました勘弁してやってください。第2部は現代でのお話を書く予定に

しています。

余談ですが

みなさんも風邪には注意して下さい。HIKUは直るのにとりあえず3週間かかり

ました。でもまだ、本調子ではありません。ほんとみなさんも気をつけて下さいね。


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