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流刑星3

作:HIKU


あれから15年の歳月が流れた。

この星に男はいない、一人いた若者も、腎虚で10年前になくなってしまった。

やはりやりすぎは体に毒だと言うことだろう。

あれから子供も沢山産まれた、127名全員が妊娠出産していたからだ。

今やこの星の住民は、254名

10代と30代の女性ばかりであった。

産まれる子供は全員女の子であった。

男の子は一人も産まれては来なかった。

どうやらあのときに蒔かれたナノマシンが関係しているらしかった。

「村長も死んで10年立ったわね」

「そうね、最初は少し恨みもしたけど、子供が出来て女の幸せを知ってからは、そんな気持ちはどこかにいってしまったわねっ」

「そうそう、私なんか良く彼のところへ行ったわ」

と、村のリーダーたちが集まって話をしていた。

「でも、あれから15年たって、娘たちがいっぱい生まれたけれど」

「このままてわねー」

「そうねー、今のうちに対策を考えておかないとねー」

「この先が、不安ですものねー」

「そうですわねー」

そうして、1時間程度話し合いが続いていた。そのときだった。

壊れているはずの通信機から、ノイズ混じりの音声が聞こえてきたのであった。

「・・・われ・・・エンジ・・ラブルの・・・そちらの・・・に・・・りくする」

それっきり、通信機からは、何の音も出てきやしなかった。

「今の通信!」

「・・・・」

「・・・・」

「男」

みんな口々に騒ぎ始めていた。

「男、男が来るのよ」

「そうだわねっ、エンジンの故障みたいだったわねっ」

「どのくらいの男がいるのかしら?」

「一人じゃ困るわよねっ」

「そうね、最低10人くらい欲しいわねっ」

「いいえ、100人は欲しいは!」

そうしているうちに、衝撃音が伝わってきた。

リーダーたちは慌てて外へ出てみると、すでに村人全員が外に出て空を見上げていた。

円盤タイプの宇宙船が降りてきていた。

エンジンがかなり不調らしく、よろよろしながら村はずれの方に着陸していった。

最初は遠目だったので大きさが判らなかったが、いざ着陸した宇宙船を見ると、差し渡し500mほどの大きさがあった。

やがて、タラップが降りてきた。そして一人目のヒューマノイドが降りてきた。

そして次々と降りてきた。その数はなんと、128人になった。

そして全員がヘルメットとスーツを脱ぎ始めた。

出てきたのは、是員屈強な体格をした若者であった。

やがて一人の若者が前に進み出てきた。そして宇宙公用語で話しかけてきた。

「ここのリーダーは誰ですか?相談したいことがあります。」

すると、女たちは彼を取り囲むようにして、集会場へと連れて行った。

残された男たちは、その場で隊列を整えて待っていた。

やがて、集会場に着いた彼と、リーダーの女性たちは中へと入っていった。

やがて1時間ほどたって彼と彼女らは出てきた。

そして彼はリーダーと握手をすると、仲間の元へと帰っていった。

そして、リーダーは女たちを集め要点を話し始めた。

「船の、エネルギーも底をつきかけ、通信装置も、亜空間使用は使用不可能でも通常の物の不安定だそうです。」、

「従って、救助も呼べず、彼らは、ここから出ては行けないそうです。」

「船は、当面の間、残っているエネルギーで食料生産を続けられるそうです。」

「その間に、新たに大地を耕し、食糧を確保することになりました。」

「居住についても、宇宙船を解放状態にして使用するそうです。」

「あと、彼らとの交流は自由にしてもらってけっこうです。」

「何せ、10年ぶりの男ですからねっ。」

「これで、この星も救われることになりそうです。」

そう言って彼女は、リーダーを残して解散させた。

「あなた方たちにだけ話があります。」

「彼らの船は、一人の少女によって重要部分を破壊されたそうです。」

「その少女がどこから来たのか判らないそうですが、一枚の、硬化テクタイトの名詞があったそうです。」

「そこには、カヨ・マシロと在ったそうです。」

「それって、15年前の・・・」

「たぶん、そうでしょう。」

「彼らも、10年近く男だけで、宇宙を旅してきたそうです。」

「男だけで?」

「・・・・・・」

「それで・・・・・」

「さあ、私は、このあと彼を食事に招待しています。」

「皆さんも、彼らを一人ずつ招待するようにして下さい。」

「あとは、お好きにねっ!」

「それでは、解散!」

そうして、女たちはそそくさと各自の家へと戻っていった。

そして夜になり、男たちは一人ずつ、女たちの家に招かれていった。

そしてどの家でも食事が終わり、明かりも消えたが男たちの帰っていく姿は、ただの一人もいなかった。

それから半年、村の女たちは全員お腹が大きくなっていた。

そして次の年になると、次々と子供が産まれていった。

しかし、不幸なことに、生まれてきたのは、やはり女の子ばかりであった。

ただ、一人、16歳の女性だけが男でもあり女の子でもある子供を産んだのだった。

そして、村の女たちはその子に希望を託すことにしたのだった。

やがて女たちは、産褥期間があけると、また男たちと、一晩夜まで男たちと暮らしたのだった。

それからしばらくの事であった。

リーダーの女性の彼氏の体調が最近おもわしくなかった。

『最近、躰が変なんだ』

「どんな風に?」と彼女は聞いた。

『それが、最近手足の力が弱くなってきて、それに小さく細くなってきているんだ。』

『おかげ手、着ている服がダブダブになってきてるんだよ。』

『しかし、胸回りと、お尻はあんまり変わらないんだぜ。』

『それと、一番の問題が、立ってトイレが出来ないんだよ。』

「それって・・・」

「ねえー、私に躰を見せてよ。」

そう言って、彼女は彼の服をはぎ取るように脱がしていった。

そこに現れたのは、すでに女性としかいえないような姿をした彼が立っていた。

「あなた・・・」

『これが、今の俺さ、いや俺だけでない。』

『他の彼らも、すでに似たような状態なんだよ。』

『たぶんこのもう少しで、彼らは、彼女らになってしまうだろう。』

「そうね、そのようね、これもこの星に来た運命ねっ。」

そう言って彼女は、16年前、自分たちの身に起こったことを話していった。

『そうだったのか』

『今は、まだショックだが、希望はあるさ。』

『これから、女性のことを色々教えてくれよなっ。』

そう、寂しげにつぶやく、彼、いやすでに彼女であった。