戻る


ロシアン・ティー

HIKU:作


ある朝、目が覚めると何かが違っていた。
いつもの街の騒音が一切聞こえず、鳥の囀りや木の葉が風に揺れる音がしていた。
僕は不思議に思いカーテンを開けるとそこには草原が広がっていた。
そして、その向こうには小さく森が見えていたのだった。

「嘘だろ〜!
   隣にあったアパートは?
   向こうにあった高層マンションは?
     どこへ行ったんだよ〜?」

僕はあわててテレビを付けようとしたが電源が入らなかった。
もちろん、明かりを点けようとしても・・・点かなかった。
携帯のラジオもつけてみたが「ザーザー」と鳴るだけで、どの局も入っては来なかった。
僕は取りあえず顔でも洗おうと思って洗面所に行ったのだが水も出てはこなかった。
仕方なく、お風呂の残り湯で顔だけを洗った。

とにかく、僕は着替えて外を探検することにしたんだ。

「さて何を着たらいいのか・・・
  パジャマ一枚でも寒くないから・・・」

Tシャツとジーパン、そして鞄にもう一枚Tシャツを入れ、そしてペットボトルと家にあった食料品を
持っていくことにした。それと双眼鏡と方位磁石を探してみたら机の奧から出てきた。
見てると、一応「磁場」がきちんとあるようだった。

「これなら、大丈夫だな・・・」

準備が終わった僕は、早速外に出ることにした。
玄関を出てみると、周りには草原が広がるだけで、その中に僕の家が「ポツン」と有るだけだった。
僕は取りあえず、磁石を頼りに南へと向かうことにした。
南には森が見えていたし、双眼鏡で見るとひときわ大きな木が一本有るのが見えたからだ。

かれこれ2時間ほど歩いただろうか、やがて森が目前に迫ってきた。
そして一本の大きな木が迫ってきた。

「なんて大きいんだ!・・・」

高さは、ざっと200メートル、広さも300メートル近くあった。
やがて、その木の所にたどり着いた。幹も太くて直径が50メートルぐらい有った。
ぐるっと回っていくと、テーブルがあった。
そこには、湯気の上がっているポットとティーカップが6人分、そして焼きたてのクッキーのような物が有った。
僕は、その臭いにつられてふらふらとよっていった・・・
ふと、幹を見てみると一枚の扉が見えた・・・
僕は、ドアをノックしてみた・・・すると、

「○☆▽◇×〜?」

出てきたのは、タキシードを着た6匹のウサギだった。
彼たちは、僕を見ると皆驚いたように何かを言っていたが全く理解できなかった。
やがて、一匹のウサギが僕の手を引っ張り席へと案内された。そして僕の分のティーセットが用意された。
そして、お茶会が始まった・・・。

「○△□☆☆〜」

クッキーの入ったバスケットが僕の所に渡されたので何枚かをお皿に取った。
そして・・・

「いただきま〜す!」

そう言って僕は一口クッキーをかじった。

「なんておいしいのだろ〜」

そして、出されたお茶も一口飲んだ、体に清々しさが染み渡るような素晴らしいお茶だった。
すると、彼らの言葉が急に解るようになった。彼らもそれに気が付いたのかしゃべりかけてきた。

「君は、どこから来たんだい?、何でそんなかっこうしているんだい?」

僕は・・・

「北の方の草原から、それとこれは僕たちがいつも着ている服だよ!・・・」

「そうかい!
 さて、それではこの季節恒例のロシアンティーを始めます。」

そう言って、新たなお菓子とお茶が配られた。

「今回は誰が当たるのでしょうか、さて皆さん戴きましょう!」

そうして、皆おのおの配られたお菓子とお茶をたいらげていった。
もちろん、僕も綺麗に戴いた、これも格別においしかった。
暫くすると・・・

「さて、今年のお姫様は誰になるのでしょうか?
 もう少し、すると解ります。皆さん楽しみですね〜」

みんなじっと座っていた、やがて僕は体が熱くなってきて服を着ていられなくなった。
そして僕Tシャツを脱いだのだった。

「お〜ぅ、どうやら今回の花嫁は彼のようですね〜!」
「楽しみですな〜!」

みんな口々に喜びを言っていた。
その頃の僕は、それを聞いている余裕がなかった。
ズボンもパンツも脱いで裸になって、のたうち回っていたからだ。
やがて痛みが引いて来だした。転がっているうちに僕の身体が変化しているようだった。
僕の顔に白い糸のような物がまとわりついてきた、
痛みが引いて余裕の出てきた僕はその白い糸のような物を引っ張ってみた。

「痛い!」

僕の頭に、引っ張られた痛みが走った。
僕の髪は黒かったはずだ、しかしその白い物は紛れもなく僕の髪の毛だった。
ふと、胸を見てみると、二つの膨らみが見えた。それもかなり大きい物だった・・・

「うそだろ〜?」

手をかざして見てみるといつの間にか小さく白くなっていた。
僕はその手で胸の膨らみを触ってみた。いい感じがした柔らかくて弾力があり、触っているとうっとりとして来だした。
次に、体のあちらこちらをペタペタと触ってみた。
肌触りの感触が全く変わっていた、肌はスベスベしていてとても気持ちが良かった。
いつの間にかウエストの位置が変わって「きゅっ」と引き締まっていた。
そしてなだらかなカーブを描いて張りのあるふっくらとしたお尻になっていた。
股間に手を結ってみると、そこにはいつもの膨らみはなく、変わりにクレパスが花開いていた。
足も内股になっていて毛はなくつるつるで筋肉も脂肪に変わっていた。
頭の天辺からつま先まで完全に女性になっていた。

「どうやら終わったようですな!」
「しかし、我々とは違う形態でしたな。」
「これでは、繁殖ができませんな。」
「それなら、これをもう一度飲んでもらいましょうか。」

そう言って、僕に強引にお茶を飲ませていった。
暫くすると、全身がムズムズしてきた、股間からは蜜があふれるように流れて来だした。
僕はもうたまらなくなって、胸を揉みしだき、股間には手を入れてクチャクチャと触っていった。
全身から何かが吹き出したかのように僕の体はぬるぬるになっていた。
しかし、そんなことにはお構いなく僕は快感に打ち震えていた。
やがて、ぬるぬるが消え去ると僕の体には全身真っ白な毛が生えており、可愛い丸い綿毛のようなしっぽがあった。
そして頭には、ピョンと長い耳が生えていました。

「ほう〜、これで我々と同じ形態になりましたな〜」
「それでは、皆さん、これから夜の宴と参りましょう〜」

そうして、僕は彼らに引きづられ木の家へと連れて行かれ長い夜を迎えることになったのだった。

 

 


さてさて、ウサギのお茶会第2弾です。少しメルヘンっぽい作品になりました。
暫くはこの路線を走るかもしれませんが・・・
さて、次回作は・・・お楽しみに!