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春爛漫

第九話

作:HIKU

タクシーで家まで帰ることになった僕たち。だが、なんか風景がいつものと違っていた。

「おふくろ、道が違うんじゃないか?」

「そうね、美津子には言ってなかったわね・・・引っ越ししたのよ!」

「引っ越し?、いつの間に・・・そしたら俺の物は?」

「ほとんど処分しましたよ!・・・だって男の物はいらないでしょ?」

「そんな勝手なことを・・・」

「それに、女の子になったのに、そのままあそこで暮らすのは・・・っと、思ってね。」

「ずっと住んできたあの家・・・売ったのか?」

「もちろんよ、新しい家は、前よりも広くて大きいわよ!

 ほら、見えてきたわよ、隣町だから通学には支障ないはずだから・・・」

見えてきた、町並みは凄い物だった。

ほとんどの家がお屋敷といえるくらい広かったのだ。確かに前に住んでいた家も狭くはなかったが・・・

暫くするとタクシーが止まった。

「美津子!着いたわよ!」

俺はあたりの家並みに気をとられてタクシーが止まったことに気づいていなかった。

タクシーを降りて、門をくぐり抜けると前よりも広い庭が飛び込んできた。

「おふくろ!ここが新しい家かよ!」

「そうよ、これが私たちの新しい家!」

ざっと見渡すとテニスが出来るくらいの広い庭だった。

やがて玄関が開くと、一人の女性が出てきて挨拶をしたのにまた驚いてしまった。

「お帰りなさいませ!奥様、美津子様、良美様。」

「ただいま、志野さん!この子をお願いね!」

「はい、奥様! 初めまして!美津子様ですね。

 私、志野と申しますよろしくお願いします。」

そういうと、僕を先導するように玄関の中へと入っていった。

「そうそう、美津子!」

「何?・・・」

「志野さんには、あなたのこと話してあるからね!

 しっかりと女性としての躾をしてもらうようにお願いしてますからね!」

「げっ!・・・」

そして、僕は仕方なく彼女の後をついて2階の自室へと案内された。

「さあ、美津子さん、ここがあなたのお部屋ですよ。」

そういって案内された部屋の戸を開け中に入って僕は「くらっ」ときた。

部屋の広さは20畳程あって、その部屋が何とも乙女チックな部屋であったからだ。

ほとんどのものが淡い色を使っていた。カーテンから壁紙に至るまで・・・

「美津子様、全てのことは奥様から聞いており、全て奥様の指示通りに用意しておりますので、何かあればお呼び下さいませ。」

そういって彼女は下がっていった。

僕は何とか気を取り直すと、部屋の点検を始めた。

まずタンスの引き出しを開けてみた。

そこには、カラフルなレースの可愛いショーツやブラ・キャミソール・ソックスにストッキングなど下着類が山ほど入っていた。

そして、タンスの扉を開けると制服が飛び込んできた。もちろん自分の学校の女子用である。

そして、スカートとかワンピースばかり・・・ズボンなどは一本もなかった。

「くそっ、お袋の奴徹底的だな!」

別のタンスの引き出しを開けると、スクール水着にレオタードにブルマー・アンダースコートなど学校の体育やクラブ活動用のものが入っていた。

「こんなもの着られるもんか!」

そう思いながら、次々と引き出しや戸を開けて中の衣料品を点検した。

「参ったね、こりゃ!」

そのままボーっとしていたら、妹が急に入ってきた。

「やっぱり!

 お姉ちゃんたら、着替えもせずにそんな格好で、ダメよ!

 さあ!着替えましょ!私が選んであげるから!

 ここにある物は、だいたい私が選んだんだからね!お・姉・ち・ゃ・ん・のためを思って!」

そういうと、良美の奴は鼻歌交じりに洋服を選び出した。

暫く、あれこれと選んでいたのだが・・・

「さぁ、これでいいわよ!」

と、用意された物を見て、俺はため息をついた。

(やっぱり、こんな展開か・・・・)

「さあ、お姉ちゃん着替えましょ〜♪」

そう言うと、俺の服を脱がしに掛かった。

俺は抵抗しようしたのだが・・・・

「一人じゃ無理でしょ!」

と言われて仕方が無く手伝って貰うことになった。

そして、着ていたワンピースとキャミソールを脱いだ。

すると良美の奴は俺のお腹にある物を巻き付けると、付いている紐をグイグイと引っ張ったのだった。

「おい!苦しいよ、!なんだよこれは!」

「知らないの?、これわねコルセット!お姉ちゃんウエストのくびれがないから・・・」

(ほっとけと・・・)

「おい、締めすぎじゃないか!息もしにくいぞ!」

「これくらいでいいの!うん!ウエストのくびれ・・・多少は出来たわね!」

確かに鏡で見ていると、ウエストがだいぶ細くなっていたのだった。

「これからは毎日それをつけるのよ!手伝ってあげるからね!」

そう言った良美の目には、めらめらと炎のオーラが走っていたのだった。

そしてスリップを着せられた。その後、

極めつけがフリフリのエプロンドレスだった。

お人形じゃ有るまいしと思ったが良美の尋常ならぬ目を見ると着られずにはいられないのだった。

こうして、新しい家での女性としての一歩が始まったのだった。

 


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