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彩墨友禅(さいぼくゆうぜん)が作りだしたもの


点による吹きつけ表現




線による流し表現




染料を生地から取り除くところ
生地にのっている状態では黒く見え
取り除くと鮮やかな色がでてくる



完成された彩墨友禅の染絵

宮崎友禅斎が作り出し、以後様々な多彩な色と模様できものの華やかさを表現してきた京友禅、加賀友禅、東京友禅。
沖縄独特の色彩と模様を表現する琉球紅型。
その染技術は全国各地で受け継がれ、それぞれの色、模様、技術を発展させながら現代になっても絶えることなく、美しく
華やかな模様や風景をきものに写し出しています。



しかし、逆に言えば防染された花びらや葉などの全ての形は
白く縁取りされ、けして自然な表現ではありません。
身の回りの物や風景、写真、油絵や日本画などの絵画。
それらには”縁取り”という境界線は存在しません。

防染によって仕切らせた花や風景は、目に見えるそれらとは
相反します。
きものに写し出す模様は、個々の美しさを引き出しますが、
全体の自然界の様々なつながりや、無数に散りばめられた
自然な色はなく、平坦な模様としての域を脱しません。



日本画を学び、ローケツ工房で染色に携わっていた辻本雅俊は、その違和感から自ら新しい染料の開発にのりだします。
そして約20年の研究の末、染料自身に防染力を持たせた独自の染料を作り上げました。
濃度、色相の異なった色が混じりにじむことなく生地に定着し、自然界の花々や木々、山などの多種多様な色の集まりを表現できるようになったのです。


結果その風景画の多彩な色を表現する為に作りだされた染料は、黒の中から一転して鮮やかな色を導き出すという、他に類を見ない独特な不思議な染技法になりました。
そして、その染めの過程から、黒=墨 鮮やかな色=彩 とし
彩墨友禅”という名が誕生しました。



特徴的な技術としては、
無数の色を点(粒)で密集させグラデーションに表現する、
吹きつけ技法。
様々な色の線を境目なしに並ばせる、流し技法。
とあります。

この技法は風景画のメインになる”具”としてではなく、あくまで背景の”バック”を表現するものであり、絵画としての”奥行き”と”立体感”を出す為にはかかせません。


彩墨友禅に要する工程
柄により多少工程が変わりますが、基本は以下のとうり。
柄染めや地染め(引き染め)などは
さらに細かく工程がわかれています。





糸目を持たない彩墨友禅技法は、染め上げた作品を模様ではなく一枚の絵画としてまとめ上げ、奥行きのある立体感と存在感を与えます。
その着姿もまた、絵画を鑑賞するように、少し離れて見ていただく事でいっそう引き立ち、他の染め着物にはない躍動感と魅力があります。