西田総務工房・シャトminiレジンキットの作り方補足

シャトminiのキットは、パーツ数を少なめに抑え、手軽にシャトの立体物を手にしていただく事を目指しました。が、やっぱり引っかかる所もあります。ここでは「あれ?何だかうまくいかない…」となりがちな箇所(本当はそんな所ない方がいいんですけど…(^人^) ) をピックアップして解説致します。

また、レジンキット製作では基礎的なことですが、薄いパーツの反りなどは、熱いお湯につけて軟化し、反りを戻すことが出来ます。薄いパーツがぴったり沿わない場合などにお試し下さい。
また、下記の解説には持ち手の都合から、ケガの恐れのある工程もあります。特にご注意ください。

製作前に、パーツを洗浄し、離型剤を取り除いた状態で製作におとりかかり下さい。

基本的な工具類はご愛用の物をお使い頂くとして、「本キットに特にあったらいいな」と言う特殊な工具&材料類は次の通りです。

●針ヤスリ(BUNSEIDO Y408 針ヤスリ <0.8mm>)
●精密ノミ(ハセガワトライツールTT9)
●皮ポンチ8ミリ径と4ミリ径(マスキング用)
●ピンバイス2ミリ径と3ミリ径
●WAVE 黒い瞬間接着剤と硬化スプレー

まず、胴体の継目消しです。写真の黒い線はWAVEの黒い瞬間接着剤で、パテとして使用しています。一体成型なので、「盛らなくても出っ張りだけ削り落とせばいいんじゃないの?」と思われがちですが、一度このように、瞬着を盛って、硬化後、これをこぞぎ取るようにヤスってください。
理由は複数あり、説明するのが難しいのですが、削り終った時に、「ああ、そういう事ね」とお分かりいただけるかと思います。
工具の使用順は使い慣れた金属ヤスリ→紙やすり#400→紙やすり#800で、充分だと思います。

継目成形しにくい個所として、尻尾のラインの溝(塗装後黒になる部分)があります。
塗装済み完成品では、径が1mmくらいの針ヤスリ(BUNSEIDO Y408 針ヤスリ <0.8mm>)を使いました。断面形状が円なので、平らになるべきこの部位には向いてない様に思われますが、後にこの部分にはフラットブラックをぽってり厚く塗装しますので、あまり気にしなくてよいでしょう。
溝の断面形状を気にする以上に、後の白部分、ピンク部分との分割線部分が気持ちよく直線になる事の方を重視しましょう。

継目が消し終われば、後の塗装の為に尻尾の帯用のマスキングテープを作っておきます。
もう少し先の工程になりますが、尻尾のラインの塗装の手順としては、ラッカーで胴体色塗装後、胴体色が汚れない程度にざっくりしたマスキングでピンク部分をラッカー塗装(のちに黒ラインになる部分にはみ出すぐらい)、黒ラインをエナメル筆塗装で境界線を整える…という計画です。
写真のように境目をボールペンでなぞり、一度剥がして、ハサミで切りました。この辺りは好き好きですが、ボクの場合は、このような方法を採りました。
出来上がったマスキングテープは後の作業のために残しておきます。

さて、このキットで、一番手のかかる部分は、大シャトさんでもそうでしたが、やはり、お腹部分になります。
お腹パーツのゲート部分(型に流すための余分な柱)を削り取ります。ニッパーで切る際は、余分を残して切除し、精密ノミ(ハセガワトライツールTT9)やヤスリで慎重に削ってください。また、写真のように、親やダーリンに「危ないから見てらんない」と言われそうな場面がどうしても発生します。刃先が滑ってケガをされないよう慎重に作業を行ってください。
ゲートをキレイに削いだあと、表面にひびかない程度に、胴体の脇に接するあたりの厚みを少し削ぐ…つまり、写真のピンクの部分をデザインナイフなどで、様子を見ながら削ぎ取ってください(中央を残し、左右両側とも)。お腹パーツと胴体パーツの馴染みが格段に良くなります。


シャトを宙に浮かせる場合の軸は、透明ソフトプラ材 3mm丸棒 がお勧めです。
型抜きの都合上、ストレートにささる穴にはできなかったのですが、一応ガイドとなる穴は用意してありますので、穴をきっちりあけてください。
穴後方の傾斜に沿ってドリルを進めると、完成したシャトのお腹に垂直に立った3ミリ棒を差し込んだ時、顔が水平を向くようになっています。
断面図のように3mmピンバイスで内部側から穴を開けてください。製作前から穴が貫通していても、写真のように一度ピンバイスを通しておいてください。この時、進路が左右にブレない様、慎重に進めてください(油断してると結構失敗します)。
宙には浮かさず、「余分な穴はいらねぇ」と言う方はパテ類で埋めてください。

普通の瞬間接着剤を腕パーツの平面部に塗り、胴体に両腕を接合します(WAVEの黒い瞬間接着剤は強度が弱く、接合には不向き)
腕の継目のラインに黒い瞬着を盛り、針ヤスリや紙やすりで、谷になだらかさを残しつつ継目を消します。左右の取付け角度がズレない様、慎重に接着してください。
お腹パーツを胴体に合わせた際、写真左のように、お腹の分割線が片半身のみズレている場合(写真の赤い部分)があります。
その時は、マスキングテープでお腹パーツの接合面をマスキングして保護し、瞬間接着剤やパテで埋めたのち、ヤスリなどで成形してください。

胴体を塗装する際、持ち手がないので、それを作ります。
2mm径ピンバイスで、左写真(2)の様に穴を開けるのですが、何もない所に、写真の様な鋭角度では刺さりません。なので、まず、(1)のような角度で、3mmくらい窪みを穿っておき、(2)の角度でピンバイスします。もちろん、背中側に貫通しない深さにしてください。
ピンバイスの刃先が滑ると大変危ないので、注意してください。
あけた穴に、先を少し切った爪楊枝を刺し、持ち手とします。

持ち手の楊枝を付けると、こんな感じになります。頭部側は、首の接続穴の奥に2mm径ピンバイスを打ちます。
頭は、胴にハメる際、キツくて入らない際は、首の軸をデザインナイフで少しづつ様子を見ながら削るか、頭部側の穴を3〜3.2mm径のドリルで拡幅し、ゆるい際は、瞬着で少しづつ様子を見ながら太らせる…などで対応してください。いずれも、塗装前に仮組みしておくことが大切です。
頭部も、継目消し等の整形を行うのですが、胴体部分ほどは複雑な部分はないでしょう。顔の横の黒い溝の処理も耳も目も、この段階で整えておき、仮組みして様子を見ておいてください。
このあと、表面処理を行います。各パーツにサフ(サーフェイサー)噴きます。ヤスリ傷や見えなかった気泡などが見つかった場合は、瞬着や紙やすりで修正し、再度サフで面を整えてください。このあと、頭部と動部に本体色を塗装します。

さて。本体色を塗りました(ここでは白にしてあります)。次に本家ネコで言う所の「黒手袋」を塗ります。
腕部分の本体色にマスキングが必要なのですが、引き出したままのマスキングテープでは曲率の関係で上手く巻けません。
そこで、オルファのカッターコンパスでマスキングテープを切ります。針とナイフの幅をだいたい14mm(直径28mm)にしてマスキングテープを切り、弧にえぐられた方のテープを腕の上腕に巻きます。

大きめの紙に8mm径皮ポンチで、穴をあけ、そこに腕を通しラッカー系の黒色をエアブラシで塗装します。紙と腕の隙間から、本体色に黒い色が飛ばない様、紙とマスキングテープの上からさらにマスキングを補強するとより安全です。
最初に切った尻尾用のマスキングテープを貼って、ピンク(塗装済み完成品ではガイアノーツのブリリアントピンク/16番を使用)尻尾のラインを塗ります。写真のように、溝(最終的に黒帯になる所)部分にはみ出しても構いません。

ピンク色が乾いたら、基本色とピンクの中間の溝部分にタミヤのエナメル塗料XF-1(艶消し黒)を筆で塗ります。筆幅は溝幅に近い物を使用すれば、筆ムラが少なく仕上がります。本体色や、ピンク部分にハミ出した黒色はエナメル溶剤を含ませたティッシュなどで拭き取ります。

墨入れを拭き取る時より、塗料が濃いので、基本色が艶消し塗装の場合、塗料のザラツキに入り込んだ黒色が抜けきらない時があります。出来るだけはみ出しは少なく、拭き取りは狭い範囲で済むよう心掛けてください。

頭部も、本体色の塗装を済ませた後、黒い部分を塗ります。口、目の横の帯とも塗装済み完成品ではすべてマスキングによるスプレー塗装をしております
耳が刺さる頭頂部2か所の窪みも黒で塗装する方が、印象が引き締まります。エナメルで筆塗りしてもマスキングしてもエアブラシしても良いのですが、ここではマスキングの方をご紹介します。

左写真は、張ったマスキングテープを分かりやすいよう色分けして解説していますが、黄、緑、青部分は引き出したままのマスキングテープを貼っています。赤部分のみ、腕の黒手袋のマスキング方法と同じく、コンパスカッターで切った物を使用します。今回のコンパス幅は約26mmです。

最後に、紋章なんですが、塗装済み完成品では、ガイアノーツのブリリアントピンク(16番)と純色マゼンダ(34番)を5:5にブレンドした色を使用しています。

マスキングは、いろいろ方法を試したんですが、結局、紋章の1パーツづつ地道にマスキングしてエアブラシ吹きするのが、最終的にキレイでした。写真はマスキングテープの分割が分かりやすいよう線を引いてます。

なお、本来は、「ラッカー地に対し拭き取りが利くエナメル塗料」を使いたかったんですが、タミヤエナメルには「マゼンダ色」がなく、混色でも「ショッキングピンク」は作れずに使用を断念しました(赤に白を足すと魚肉ソーセージ的なピンクになり、紫を足すと黒ずみます)。タミヤエナメルにCMYの純色、出ないかなぁ。

目のレンズパーツは、切り出した後、裏面にラピーテープ(ミラーシルバーの装飾用テープ)を貼ります。レンズを通して糊面が表に見える事になりますが、影響はなく、シルバー系塗料では得られない仕上りが得られます(糊面への指紋と埃の付着だけ要注意)。このあと、収縮や経年変化による白濁を避けるため、全体にクリアーを吹き付けます(お薦めはフィニッシャーズのAUTOクリアーとピュアシンナー)
目の周りの黒い部分は、エナメルによる筆塗りでもよいですが、ラッカーによる吹き付けの方がキレイです。目のマスキングは、マスキングテープを4mm径のポンチで抜いたものを貼り付けます。レンズ状なので、密着しづらいですが、浮いた部分を精密ピンセットでつまんでやると、やんわり馴染んできます。
耳については、三角板(耳のピンク部分になるパーツ)を一度全てピンク(ガイアノーツの16番)に塗装、根元の黒くなる部分以外をマスキングして黒をエアブラシ。黒に全塗装した耳本体に、三角板を接着。三角板と耳本体パーツの黒い部分同志の継目は消さなくて問題ないと思います。
耳、お腹、目の本体への接着は、瞬着より、ポリマー系のボンド(透明の糸を引くやつ)の方が、耐衝撃性があって良いかもしれません。ポリマーボンドのハミ出しは、乾く前だと、エナメル溶剤でそこそこ取れます。
構成がシンプルなので、完成は早いと思います。うまく行かなかったら、「薄め液風呂」でリセットして再塗装しても、それほど遠周りではないので、納得のいくまで挑戦して、あなただけの仔シャトを完成させてください。(^^)

  
 
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