メイキング
 
グフワルキューレ
(グフレディVer.2.0)
(GOUF WALKÜRE/GOUF VALKYRIE)

(2016年・2019年作/スクラッチビルド)
 
模型誌コンテスト参加作品 1/6スケール 全高30cm レジン製


5年ぶりのオラザク復帰作です。

2016年に千葉しぼり展示会の会場コンテスト用に作った「グフレディ」。自分ではお気に入りでしたが、まだオラザクには出してないし出してみたい。完成しているのでそのまま出してもいいのだけど、もともと千葉しぼり展示会の為に!って作ったものだし、月日が経って、気になるところも出てきたしテコ入れしたい。

前作のグフ子さん(ver.1.5)はボクの現在の女性の好み(色黒スレンダー筋肉女子)を正直に形にしたものだけど、あまりに自分の趣味に走りすぎて、雑誌のガンプラコンテストに向いているとも思えない。アニメのキャラはどうしてもティーンネィジャーが主役みたいだし。

そこで前作のグフ子さんのデータを改造して、スーパーモデル体型をトランジスタな女の子に縮小。工期節約に既存のグフ子さんから使える部位はキャリーオーバーしつつの2ヶ月短期集中製作です。(結局作ってみたら、武器と腰蓑以外は、ほぼ新規造形に(汗))。


ミスコピーの裏に書いた最初のイメージイラスト。なんか酷い絵ですが、公開するつもりで書いてなかったので、ご勘弁を。そもそも、完成品と全然違うし(笑)。

前作からの変更点として、髪の毛がメットで完全に隠れるのは女性的魅力が半減するし、ひさしで顔に影が落ちて目が暗くなる…との反省から、グフヘッドは、ベレー帽くらいの被り物に縮小することに決定。
中の人の最初のビジョンは「ドイツのわがまま姫」でした(前回はプエルトリコ系の女性のイメージ)。前回はワイルド系だったので、今回は高貴系にしようかと。

髪の毛は苦戦しそうだなという事で、丸坊主でCADモデリングし、髪はウイッグを現物合わせで作るという計画。というのも、肩アーマーはMGグフから持ってきての磁石接続なので、計算通りの位置には恐らくならずCADデータ通りの髪では何らかの不具合は確実。さらには、この不安定な接続の肩アーマーに宙に浮いたマントがくっつくから、後半の作業、確実に荒れる(笑)。波乱を起さぬ事は出来ませんが、察知は経験で出来るようになりました(笑)。

結局、この危惧はどんぴしゃり。絵のように肩アーマーが都合よく納まる訳がありません。生の肩を作ると、接続パーツなどの厚みで、肩アーマーは随分上に上がってしまいます。本体が実体仮組みまで進んだ際、やっぱりソバージュは肩アーマーとケンカ。よく考えたら、この絵を描いた地点でロングヘアと背中にたなびくマントをどう共存させるつもりだったのか?(答:後ろのことまで考えてない)

さて、ここから髪型流転の旅が始まります。要件は、ショート、高貴、顔と合わせた時あまり既存のアニメキャラに被ってないの3点。

ネットでアニメヒロインの画像(出来れば3面図が欲しい)を探すも、ロングはいくらでもあるのに、ショートの見本は思った以上に少ない。やっぱり世の男は髪の長い娘が好きなんだねぇ。実写の女性ではショート画像もあるけど、フィギュアの参考にはアニメの方が、髪を束単位で書いてあるので、出来ればそちらが楽で良い。
ロングは諦めたけど、「高貴設定」は残したいので、庶民っぽくならないようにだけは留意。髪を結ぶと長髪のまま肩アーマーを解決出来るけど、高貴っぽくなくなる。女の子として魅力的でも、これ元気っ娘、これ取り巻きタイプ…ってなって全然決まらない。

塾考の末、最終的ビジョンが「白い綿菓子頭に紅い瞳」という線に落ち着く。

高貴さは微妙だけど、庶民っぽくないって点はクリアしてる。なにより、あまりアニメヒロインで見ない髪型でイイ。初期コンセプトのロングソバージュよりいいかも。ボンヤリしたイメージは出来たけど、髪の流れが自分で考えられないので、引き続きアニメキャラからショートヘアの見本探し。

苦労の末、鉱脈を発見。「アンサンブルスーターズ」という男子アイドルいっぱいのアニメ。公式サイトに3面図まで用意してある。しかもクセっ気ショートの宝庫。アニメ視聴は1話切りしてしまったけど、資料として最高だよ。そうか、女の子である必要なかったんだ。数名のアンスタメンバーのヘアスタイルを参考に現在のグフ子さん2ヘアーに。

顔デザインも髪形に合わせて変化し、ずいぶん柔和に。髪の毛の選定で相当疲れたので、もう、わがまま姫設定要らない。
しかし、実際作りだすと大問題が。この綿菓子頭って、CADでもパテでも全然再現できない。上手い人は出来るかもだけど、いや…技術以前に立体でどう表現すればそうなるか思い浮かびすらしない。ストレートロングやポニーテールは、長い流れのある塊としてレジンやパテの無垢でも作れそうだけど、ふわふわってホントに難しい。仕方ないので、ふわふわは諦めて、基本ストレートのちょっとクセっ毛の混じったショートボブみたいに。で、いい感じを探してまとめていくと…。

「綾波レイじゃん。」

既存キャラを避けようと散々考えて行き着いた先が、国民的アニメキャラだったとは…。

実際に画像を見比べたら全然似てないんだけど、うろ覚えビジョンでは完全に綾波レイ。瞳の色を変えたら回避できるけど、それはダメだ。キャラが死ぬ。もうボクの中で、この綾波レイちっくな彼女がグフ子さん2になってしまったので断行。TV見ながら「最近のアニメ、顔一緒なの多過ぎ」とか言ってました。ごめんなさい(^^;


今回も製作はSHADEとMODELA。ギャラリーの方でも描きましたが、等身が違うので肉体部分はグフ子さんから完全新造。但し、Ver.1.5の基礎形状を伸ばしたり縮めたりだけで済んだので、工期は大幅に短縮出来ました。
(切削出力後の実製作より、いつも、このPCでのバランスの練り込みに時間が掛かるのです)
髪の毛は当初、丸坊主でモデリングし、エポパテでソバージュをカツラ的に作ろうとしましたが、前述の理由で頓挫。綿菓子頭なら、周囲との干渉を気にしなくていいので、PCでアンコを製作、これを元にエポパテで補正しました。

剣、鞭、胸の黒い板、鎧は腰蓑はVer.1.5の物をそのまま流用。原型の流用ではなく、完成部品をそのまま利用。なので、グフ子さん1と2を同時に並べることは出来ません。シリコン型あるから複製作れるけど、もう一体分色塗るの、もうしんどい(笑)。
胸のベストの様な部分も先代と同じ物に見えるけど先代が意外におっぱい大きかったり、背中が厚かったりで、今回のコンセプトには合わなかったので、データから作り直し。

肩アーマーも前作の旧1/100グフ製のがそのまま使えるかなぁと思ったのですが、グフ子さん2には大きかった。んで、MGグフ1.0の物を使用。今回も前後スパイクだけ切り取って使用しました。

体のバランスについては、前回のグフ子さん(9頭身)を、頭を大きくして手足を短くすれば済むと思ったんだけど、MODELAで削り出してみたら、キン肉マン消しゴムのようなガッシリ感(実体組んだら左CG以上にムチムチだった)。

目指したのはオーソドックスなヒロイン体型。確かに筋肉は残したけど、腰はくびれてるのになぁ。なぜ?…原因は9頭身グフ子さんそのままの肩幅でした。そっかぁ、女の子っぽさって肩幅も影響あるんだ。データから直すのは大変なので、1次原型をヤスリでガリガリ削って、幅詰め完了。あと、上腕が短くて下腕が長いみたい。上腕を真ん中ぐらい両断、プラ板を挟んでで延長、下腕をノコで短縮(コワイ響き)。左掌は画像のは前作グフ子さんの物持ち用だったので、エポパテの手作りで広げたポーズのを作りました。

ブーツはこのままの形(上記CG)でMODELA切削…してみたら、こちらもゴム長感ハンパない。PC段階でうすうす感じてたけど、もっとちゃんとブーツ調べてディテール足してから切削出力すればよかった。結局後から、女性ブーツのデザインを調べ、このゴム長ブーツに、エポパテとプラ板で繋ぎ目やベルトを加飾。CAD段階で刻印しとけば高効率だったけど、ベルトは別部品なので、立体感はモールドよりずっといいものになりました。


今回のグフ子さん2は、オラザクの他に、SGRさんの展示会で催される「マントコンペ」への出場作もかねており、マントを装着しております。形状はジオン兵のマントの意匠。中央に大胆なジオン紋章を奢りました。

このジオン紋章はデカールではなく、カッティングプロッター「シルエットカメオ」で切ったマスキングテープを使い、金のラッカーで塗装してあります。(シルエットカメオ、マジサイコー)

マント自体の素材は0.5mm塩ビ。調理用の電熱器であぶりながら熱いのを我慢して手で加工。プラ板は、熱が入ると、柔らかいのをすぐ通り越し、薄くなって溶けてしまいますが、塩ビは、熱が入って柔らかくなっても厚みが変わらず、イジって変な形になっても、熱し続ければ元の形に戻り、数回ならトライ&エラーすら出来ます(あんまり繰り返すと表面が荒れてきます)。ハサミでも切れるので、模型のマントや旗表現にお勧めです。なお素材的に塗装は非推奨みたいですが、普通にラッカーで塗れました(経年劣化するか否かは分からないので、ご利用の際は自己責任でお願いします)。

なお、このマント、飛行装備の設定です。

●エレズム/コントリズムマント

ガンプラバトルでは宇宙、地上、水中のバトルステージがランダムで決まるため、推進装置などの科学装備を持たない少女フィギュアでは戦いが進められない。これを補う目的で付与された装備が、エレズム/コントリズムマントである(以下ECマント)。

ECマントは、グフワルキューレに宇宙と重力下の空間移動能力を付与する。内容的には「ヒーローの飛行マント」だが、ガンプラバトルでガンダムの世界観にない超能力を設定しても、プラフスキー粒子は反応しない。そのため、この装備ではガンダム世界に存在する「思想」を利用している。

装備名にある「エレズム/コントリズム」とは、ガンダム世界に於ける重要な思想である。
エレズムは「人類は母なる地球を破壊しつくす前に禁足地化し、全てが宇宙に巣立つべき」と言う思想であり、地球連邦政府の宇宙移民政策の動機となっている(結果的に為政者はこの思想を以って民衆を宇宙に棄民し、環境負荷が下がったとして自らは地球に居座ったわけだが)。コントリズムは「スペースノイドは地球本星の支援がなくとも自活可能であり、スペースノイドが産んだ富はスペースノイドのために使うべき」という思想である(この思想に基づく独立運動が後の1年戦争へと繋がる)。

ECマントは、プラフスキー粒子でこれらの思想を「摂理化」、機動に利用する。使い方は簡単で、マントの黒い面を表にすればエレズムモードとなり、重力下での飛行(但し一定の制限あり)が可能に。赤い面を表にすればコントリズムモードとなり、宇宙航行が可能になる。

重力下の飛行時は「人間は地球から離れる」というエレズムの摂理力で重力から解き放たれて上昇。前方への推進力はないので、一定高度で摂理力をカットし、急降下しながら梶を取り、グライダーのように滑空する。
宇宙空間ではシンプルに「人間は宇宙でも自活できる」というコントリズムの摂理力で「空飛ぶ円盤」の様な折れ線的な無慣性移動が可能。最高速度は平凡ながら、慣性を自在に操る超機動は格闘戦ユニットにおいてこれ以上ない武器となる。

なお、これら思想摂理変換機能は、「思想」ゆえにメカ模型では発動できず、意志のあるフィギュア模型のみに使用できる。加えて地球連邦ユニットは重力に魂を引かれて自らが提唱した思想を体現できないため、発動出来ない。真に高潔なスペースノイドの魂を持つジオンユニットのみが使用できる…とされている。

…なんてね。笑ってやってください(笑)。


武装は完全キャリーオーバー。だけど、グフ子さん1のように左手で鞭を持つ事はできないので、束ねた鞭(この形から可動しません)が余りました。
もう投稿のための撮影に入っていたけど、グフと言えば鞭のイメージだし、使わないまでも何とか装備はしておきたい。そこで、左腰の動力パイプに通してみたら、インディージョーンズみたいで、かっこいい。これはいい感じです。

ただ、動力パイプに引っ掛ける…は、急場しのぎで見栄えが良くない。腰装甲からマウントを出したいけど、グフ子さん1に戻せるよう腰装甲の表面に加工はしたくないし、締切まで時間もない。

そこで、黒革調の壁紙シールの粘着面を張り合わせて、薄い合皮風ベルトを作り、腰装甲の内側からこの合皮ベルトの輪っかを生やして鞭を束ねるラッチとしました(様子はギャラリーで確認してね)。

これはナイスアイデアでした。

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