下北山(奈良県)、大台ヶ原ツーリング

1995.5.19〜5.20

5.19

 ゴールデンウィークになると一段と春らしくなってくる。これまではまだ風の冷たさが感じられたが、これからは本格的なツーリングの季節を迎えることになる。
 さて、今回もU氏とのアベックツーリングとなった。というのも、職場で顔を会わせると、
暖かくなってきたし、どこか行こか?
「そうやな、日本海は天気があてにならんし、西向きはもうあまり面白いところはないし、迷った時の奈良、和歌山にしよか」という会話になって、とりあえずの目標を和歌山の川湯温泉にして、9時に阪名道路の針インターで待ち合わせることにした。  朝が早いのは苦にならない。今朝も6時には目が覚める。それからツーリングの時はいつもそうするように自分で朝食を作って、1人黙々と食べる。パッキングは夕べのうちに済ませておいたので、忘れ物がないか点検する。そうこうしていると嫁はんが起きてきたが、もう出発の時間だ。ヨメはんの安全祈願の声に見送られて、荷物をバイクをおいてある地下駐車場に運ぶ。たかだか1泊のツーリングだが、この荷物が結構重いのだ。まっ、必要ないものも入っているのだろうが、心配性なので仕方ないか。

 7:35出発。まあ1時間半もあれば針には着くだろう。いつものコース、中縦、近畿自動車道、西名阪自動車道を経て阪名道路に入る。相変わらず近畿道の松原料金所は混んでいるが、バイクの特権、すり抜けで先頭に立つ。しかしこれはあまり多用はできないし、またいかにも堂々といった風でやってはいけない。延々と待っている車列を抜け手前に出ていくのだから、さも申し訳なさそうな雰囲気で、前に出るときは手を挙げて挨拶するのがこつである。また料金所の手前で路肩走行を取り締まっていることもあるので、これも気をつけること。

 ここを抜けると堰を切ったように車の流れが良くなる。都市部での高速道の混雑はこの料金所がネックとなっているのがほとんどだ。これを解消するには、料金所でスルーパスできるカードシステムが必要だろう。既に一部の高速道では試験的に行われているように聞くが、21世紀までには実用化されているだろうか?

 9:08針着。ちょっと遅れた。けどU氏の姿はない。渋滞に巻き込まれたか、寝坊したか、いずれにしても来るまで待つしかあるまい。30分経過、だいたい定刻には現れるのにちょっとおかしいな。自宅に電話してU氏の自宅の電話番号を聞き掛けてみると、お袋さんが出てきて既に出たとのこと。おかしいな〜、1時間経過。まだ現れない。不測の事態があったのか。もう一度電話してみるが、自宅にも連絡が入っていないようだ。しかしこちらとしてはどうしようもないので、1人でこのままツーリングを続けることに決めた。

 さて、1人となると行き先を川湯から変更して、これまで行っていないキャンプ場にする。和歌山に下りるには168号、169号、そして高野龍神スカイラインの3本しかない。高野龍神は以前通った、川湯温泉をやめるとなると大台ヶ原方面169号しかない。よし決定!榛原から大宇陀町を経て吉野町へ。そこから169号を南下する。169号は東熊野街道と言うそうな。ツーリングマップを見ると、大迫ダムから奥に行ったところに入之波温泉が記されている。これは「しおのは」と読むのが正解。国道を左折しダム湖沿いに5kmほど走ると、ひなびた温泉宿が見えた。温泉はこの旅館の中にある。玄関で500円を払って階段をずんずんと下りると、あるある!露天風呂が。お湯は透明、やや塩分を含む。鉄分も含むのか湯船が茶色に染まっている。いやいや、結構いける温泉だ。やっぱり熊野路は温泉だね。

 温泉で体もほぐれてきた。元来た道を引き返し、169号へ乗る。今回のツーリングはのんびりツーリングにしようという気になって、今夜の宿営をそこから一番近い池原ダムサイトの下北山スポーツ公園に決めた。1時間ばかり走ると大きなダム湖が見えてきた。

 13:30キャンプ場着。まだ昼過ぎだ。こんなに早くキャンプ場に着いたのはかつてない。キャンパーもまばら、とはいえ早くも来ている人がいるのだ。下北山スポーツ公園はダムの下にあって、突き当たりはダムの大きなコンクリートの壁になっている。この壁が壊れることはないが、一方が壁に遮られているのはどうも気分的にいまいちだ。まあいい。ここに決めた。管理棟で受付を済ませ、気になっていたU氏の自宅に電話を入れてみた。すると子供が出てきて、「おとうさんは帰ってきたけど、また出ていって今はいません」という。無事だったんだ、何かのアクシデントがあって続行を断念したのだろう。詳細はまた夜にでも電話しよう。いずれにしても無事であることがわかってホッとした。

 テントを設営した後、昼飯がまだだったので、家から持参したアルミ鍋のうどんを作って人心地着いた。キャンプ場に早く着いてくつろげるというのは心も体も休まる。早く出て早く着く、キャンプはこうありたいものだ。
 夕食の買い出しを兼ねて近場を巡ってみることにする。このキャンプ場のすぐ近くに数棟のコテージを備えた立派なキャンプ場ができている。コテージは完成まで後少しの常態だが、利用を見込んでの建設なのだろうか?立地から考えてあまりうまい話では無いような気がするが。

 さて買い出し、1人分の野菜などはほんの少量で足るのだが、普通はビニール袋にたくさん入っている。「トマト1個とネギを2本ほど分けてくんない?」「ほんとはこんなのしたくないけど、残りはうちが引き取るわ」と言って、袋を裂いて分けてくれた。里の人情を有り難く頂戴した(T-T)。

 夕食は湯豆腐、炭による焼き魚、トマトそしてビールと焼酎のお湯割り。夜ともなるとやはり冷えてくるので、そんな時は定番のこのメニューが一番!ほろ酔いのところでU氏宅に電話すると、本人曰く、阪神高速でパンクして諦めざるを得なくなったということ。バイクを乗せる台車が来るまで路肩で1時間以上待たされ(車はすり抜けができない!)、運送費と修理代で3万5円もかかったと嘆いていた。それにしても事故でなくでなによりなにより(^^;。

キャンプサイトにて
緑多い下北山スポーツ公園キャンプ場(まだ正気ですHi)

                        本日の走行距離 238km



5.20

 6:30起床。キャンパーが少ないせいか、静かな朝である。定番のパンとドリップコーヒーで朝食。自然に囲まれたなかで飲む上等のコーヒーは格別である。
 さて、今日のルートは何処にしようか、1人だと行き先を決めるのも簡単だ。昨日のルートを引き返し大台ヶ原へ行ってみる。国道169号を左折し展望所へ向かう。早い時間にもかかわらず、下りてくる車と何台もすれ違う。彼らはいったい何時から登っていたのだろう。このあたりは道路が狭くて渋滞するから、それを見込んで早めに行動しているのだろう。カーブの連続を登っていく。もう5月というのに風が冷たい。

 少し曇り気味のせいか?大方15kmほど走ったか、曲がりくねった道はさほどの距離でも長く感じられる。やっと広い駐車場に出た。休憩所と土産物屋、それに大台ヶ原の資料館があって、日曜日のせいか結構人だかりである。大台ヶ原の登山はそこから徒歩で始まる。登山時間によっていくつかのルートがあって、1時間コースを選んで入山する。こういう場合ライダーブーツは歩きにくい。本来歩行のためのものではないから、当たり前か。歩き出してすぐに豆ができてしまった。豆を気にしながらも、白樺やブナ林の森林浴は気持ちがよい。頂上までの最後の斜面は急勾配の崖面。所々ロープが流してあって、それに掴まり登っていく。

 頂上はたくさんの人。やや霞んでいたが、それでも遥か彼方見通しの良い日は富士山が見えるという。今日は見えず。年輩の女性が多くほとんどがグループで来ている。おいしそうにおにぎりをほおばっている姿を見ると、おなかが空いてくる。こちらは1人寂しく記念撮影(T-T;

大台ヶ原にて
大台ヶ原山上付近で(寂しい〜(T_T))

 汗が引いたところで、引き返すことにする。帰りは下りだから楽だ。すれ違う人と挨拶を交わしながら最初の駐車場に戻った。山登りではこのように見ず知らずの人でも挨拶するのが礼儀だと思う。声に出すのは一文も要らぬ、受けた方は気分がいい。逆もまた真なり。

 11:35大台ヶ原を出発。
 次は帰りのコースの途上にある橿原神宮に寄ってみる。それにしても広い!隣接した敷地には博物館や考古学研究施設があって、町全体が歴史の雰囲気に包まれている。休憩所でコンビニで買った鍋焼きうどんを作って遅い昼飯とする。夫婦のライダーと挨拶を交わす。14:30橿原神宮を発つ。いつものコース、大和高田から香芝インターへ、後は味気ない高速道、西名阪から近畿道、チャイナを経由して17:20家族の待つ自宅へゴールイン!

                  本日の走行距離  233km