ココヲオサエテカシコクツクリタイ
 編集していく上で重要だなあと思ったいろんなこと
 その14・脳味噌は誰にでもついている(00.11.13)

 注)アン関西版編集スタッフに普段伝えていることをまとめたものなので
 求人情報誌に関連することがほとんどですが(今後もそういう内容になります)、
 一般誌の制作についてもココだけ知っていれば大きな顔ができるポイントかと
 思いますので、参考にできるところだけ参考にしてください。
 なお、このページの記事の無断転載・抜粋は禁じます。


●脳味噌は誰にでもついている

 最初に一言。今回はボヤキます。不愉快な思いをされる方もおられるかもしれないので、そんな予感のする方は読まないでくださいませ。

 若い編集者や編集希望者と話す機会は多い。で、すっごく不思議なのが、とにかくみんな似たような企画をやりたいと話してくれること。しかも、まずいことに、それは決して目新しいことではなくて、どこかで何度も目にしてきたような企画ばかりなのだ。で、そこでたいていの場合、一応少しだけ具体的に話を聞いてみる。と、これまた驚くのは、みんな大してネタを持っていない。思いつきに毛がはえた程度で、頭の中でだけ考えている。また、具体例はあっても、そのニュースソースがテレビ番組だったりして、どっちもどっちって感じ。勉強不足!と一刀両断するのは簡単なのだが、そうもいかないことが多かったりして、そこが辛いところなのだなあ。
 これは何もアンに限ったことでなく、いろいろ聞いているかぎりでは、こと「企画」とか「制作」とか言われる世界ではよくあることのようで、たいていの新人は、鬼軍曹みたいな人から最初にガツーンとやられてしごかれる、か、相手にされずに放っておかれ本人の万が一の覚醒を待つ、という、どちらにしても本人にはあんまり嬉しくない進路を辿る運命のようです。
「白鳥は優雅に泳いでいるように見えても水面下では…」じゃないけど、プロでいっぱしになってる人ってのは、とにかくいっぱい考えているし…。というような話は前に書いたのでここではよすとして、とにかく自分の現状を認識することの大切さということを考えてほしいのだなあ。
 最初に言った企画の話にしたって、まともに受け答えしてくれる友達が周りにいれば「そんなんどこでもやってる企画やん」ってことを言ってくれるはず。そういうこと言ってくれないのはたぶん友達じゃないのだね。「やなこと言ってくれる人を大事にしなさい」ってのは、昔からいろんな本に書いてあるのだけどね。
 で、そこで何を考え行動するかってとこで、その人の企画者としての価値が決まると思うのだ。全然誰も考えつかなかった企画を追い求める人は作家にでもなればいいのだけど、その段階から具体的なネタを積み上げて(できれば自分の足やネットワークで)いける人なら、雑誌の編集者として成功する望みはある。これが簡単そうで難しいのだねえ。店を紹介する記事を作るときに、まずよその雑誌チェックするってのがゴロゴロいるからねえ。せめてよく食べ歩いてる知り合いや、よく行く店のスタッフに聞く、ぐらいのところから始めてほしいものだ(もちろん自分の足で探すってのが一番)。インターネットのクチコミ系ってのは、今ならギリギリセーフかな(あと数年でそれも珍しくはなくなるだろうけど)。
 いずれにせよ、誰の頭にも脳味噌はあって、早いか遅いかの違いだけで、似たような企画ってのは誰もが考える。しかも不特定多数にうける企画となればなおさらのこと。その似たような企画の中でいかに自分らしさを出すかってとこで勝負が決まるってことをよく知っておいてほしい。「どこにでもある企画やん」のセリフの次に勝負どころがあるってことを。

 今回は「こうした方がいいよ」ということでなく、自分で「どうしたら成功できるのか」考えてほしいなあ、という回でした。公共の場でボヤイてまことにすみません。



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