ココヲオサエテカシコクツクリタイ
 編集していく上で重要だなあと思ったいろんなこと
 その13・編集のいろはの「い」(00.9.26)

 注)アン関西版編集スタッフに普段伝えていることをまとめたものなので
 求人情報誌に関連することがほとんどですが(今後もそういう内容になります)、
 一般誌の制作についてもココだけ知っていれば大きな顔ができるポイントかと
 思いますので、参考にできるところだけ参考にしてください。
 なお、このページの記事の無断転載・抜粋は禁じます。


●データは絶対間違えない心意気が大事

 編集として仕事をし始めて最初に自覚したことで、今も最も重視していること。それは、間違えないということ。読者に何らかの情報を提供して代償を得ている身としては、その情報が間違っていてはお話にならない。少し前に新聞等で報道されたが、某情報誌にいたっては掲載電話番号を間違えたがために何億円もの賠償を求めて裁判沙汰になったこともあるぐらいで(実際に認定されて、1億円以上支払うことになった)、意識の問題だけでは済まされない部分もある。
 間違えない、ということで最も初歩的な注意点が「データ」である。感想や意見なら間違っていたところで大した問題ではないかもしれないが、例えば社名や店名、人名、電話番号、住所などが間違っていてはお話にならないだろう。
 例えば「富士フィルム」じゃなくて「富士写真フイルム」(イが大きい)だし、「キャノン」じゃなくて「キヤノン」だし、「ユニバーサルスタジオジャパン」じゃなくて「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(・(ナカグロと呼ぶ)のあるなしも大事)だし、といった具合で普段の思いこみだけで仕事してるととんでもない目に遭う。また、株式会社や有限会社をつける場合、社名の前についたり(まえかぶと呼ぶ)後ろについたり(こちらは、うしろかぶ)ってのも間違ってはならない。
 他にも商品名とか、枚挙に暇がないくらい固有名詞ってのはあるし、営業時間、従業員数、価格、席数など、数字にまつわるデータ類も常に出てくるので、その全てについて確実に押さえていく、というのが編集のいろはの「い」である。
 また、複数の会社を紹介する記事などの場合、表記は合っていても写真が入れ替わってしまってた、なんてのも同じことだ。DTPになってからこの写真の入れ替わりってのも増えてきた。他社の求人情報誌で初めてDTP編集を採用した号が見てて気の毒なほど写真の入れ替わってたなんてこともあった。
 簡単なことのように思うだろうが、これができない人が意外に多くて、どこの編集部でも困っているのではなかろうか。要は意識の問題で、自分がいかに責任の大きな仕事をしているかって自覚ができない人はマスコミの仕事なんかしちゃあダメなのだろうなあと思う。そこがプロと呼ばれるための最低レベルの基準になるだろう。

 話がずいぶん堅くなったので、一番驚いた固有名詞の確認事例をひとつ。うちの編集者があるコンテストの審査員の表記を確認していたときの話。「デーモン小暮さんなのですが、小暮の小は…。え?」。先方が何か言った模様。「デーモン小暮閣下ですか?」困って編集長に確認しにくる。「敬称は使えないといったのですが、どうしてもデーモン小暮閣下と入れてくれというのですが…」「そんなことしたら結局みんな敬称つけないかんようになるやん」編集氏、しぶしぶ再び電話に。「え? デーモン小暮閣下ってのが芸名!?」慌ててタレント名鑑(こういうのが各編集部に必ずある。最近はインターネットでも調べられるけどね)をめくる。「編集長!ほんとです。閣下までが芸名です。どうしましょう?」
 結果は当然のごとく、閣下までありがたく掲載させていただいた。賢いタレントさんだなと思う。



一番最近の過去ログへ(その12・若いうちにすべきこと)

過去ログの一覧へ

HOME