ココヲオサエテカシコクツクリタイ
 編集していく上で重要だなあと思ったいろんなこと
 その11・雑誌の部数にまつわる話(00.8.3)

 注)アン関西版編集スタッフに普段伝えていることをまとめたものなので
 求人情報誌に関連することがほとんどですが(今後もそういう内容になります)、
 一般誌の制作についてもココだけ知っていれば大きな顔ができるポイントかと
 思いますので、参考にできるところだけ参考にしてください。
 なお、このページの記事の無断転載・抜粋は禁じます。


●雑誌の発行部数に関するあれこれ

 某誌編集長が以前、「マスコミ」について面白いことを言っていたのを思い出したので、今回はそこから書く。

 簡単にいうとマスコミの力とやりがい、責任といったあたりの話になる。
 ある会社の超やり手の営業マンで、「俺は毎日最低10人の人と名刺交換するんだ!」って決意でもって連日連夜いろんな人に会いまくっている人がいたとする。この人は、1ヶ月で300人、1年では3600人に会うことになる。新人研修の席上だったので、編集長はそのとき会場にいた人にこれをどう思うか質問した。すると、大半の人は「それはすごいですねえ」と答えたわけだ。・・・で、ここからが本題。
 では、雑誌はどうだろう、という話になって、雑誌と言うからには1発行当たり最低1万部は出てるでしょうというような当たり前の認識にたどりつく。人として生まれて普通に暮らして、一生で1万人の人と話せるかどうか。
 これがマスコミの力なのだ。それだけ多くの相手にたどりつけ、何か伝えることができる凄さというのはやはり大したものではないか、という話だ。それだけにやりがいもあるし、喜びもある。当然責任も大きい。近所の友達と喋るのと同じ次元で、不確かなことを面白おかしく話すといったことではまずいだろう。

 で、ここからは部数の話。よくベストセラーとかって聞くけど、あれって何部くらいからを言うのだろう。最近の大ベストセラー「五体不満足」だと400万部以上売れたというが、ミリオンセラーという言葉もあるし、100万部くらいをイメージする人が多いのではなかろうか。「少年ジャンプ」が一時600万部とか言われてたし、新聞とかで見かける数字はどれもミリオンが単位にはなっているようだ。
 ところが、これが大きな誤解で、ジャンルによってベストセラーの基準も違ってくる。また、総合売り上げと週間、全国と一エリア(場合によっては一書店)といったカウントする単位によっても当然違う。私事だが、以前単行本を出したことがあって、これがベストセラー扱いされたこともあるのだが、その発行部数はわずかに1万部だった。実用書として出したのでそんなことになったのだけど、実は、本というのは8000部程度発行すればけっこう全国津々浦々に出回ったりする。先の編集長の論理からいけば、1万部って実はけっこう凄い数字かも、とも思うのだけどどうだろう。

 出版界の習慣から、正確な発行部数というのは世に出なくて、目にするのは公称部数(たいていは実際の発行部数をちょっと水増ししてる)ばかりだけど、いろいろな情報を総合すると、関西で一番売れてるのは「関西ウォーカー」で、いいときは1号あたり30万部近く出てたらしい。コンビニとかの売り上げベストを見ていると、一番売れるのが漫画雑誌、次にウォーカー、その次がテレビ雑誌かアルバイト情報誌なのだとか。ウォーカー以外の情報誌がその後ろにあり、ファッション誌とかはまだ下になる。書店とか駅売店を含めると多少の変動はあるのだろうけど、大きな違いはないのではないかと想像する(なんせ、部数というのはデリケートなもので、出版社のメンツとか、部数が広告料金に直結してたりとかで、正確なところは当人以外はわからないのだ)。手前味噌ながら、そんなわけで、アンも実は部数でいうとかなり上位に来る雑誌でして、「アルバイト情報誌だからって軽く見るんじゃないわよ」って感じ。もちろん、日々その責任は痛感しつつ本づくりをさせていただいておりますです。はい。
(出版業界の皆様、データに何か間違いがありましたら訂正しますのでアン編集長までお知らせください) 



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