ココヲオサエテカシコクツクリタイ
 編集していく上で重要だなあと思ったいろんなこと
 その9・雑誌の隠れポリシー(00.7.10)

 注)アン関西版編集スタッフに普段伝えていることをまとめたものなので
 求人情報誌に関連することがほとんどですが(今後もそういう内容になります)、
 一般誌の制作についてもココだけ知っていれば大きな顔ができるポイントかと
 思いますので、参考にできるところだけ参考にしてください。
 なお、このページの記事の無断転載・抜粋は禁じます。


●手前味噌で誠に失礼ながら、アンの記事制作ポリシーの話

 1980年代の始め頃の話。大学サークルで知り合った同い年の女の子がこう言った。「どうせすぐ人類は滅びるから、私は結婚もしないし、子供も生まないの。だって生まれた子供がかわいそうやもん」。彼女はあからさまに本気の目つき。驚いた。確かに「ノストラダムスの大予言」が大ブームを起こした後だったし、世界中で戦争は行われていたし、米ソの冷戦のただ中で水爆がじゃんじゃん作られてた頃ではあった。
 そして1990年代の始め頃、雑誌やテレビで、小学生たちが「近い将来地球が滅亡する」と思っている率が軽く過半数を超えているというレポートがチラチラ出始める。これがけっこう真剣な話で、「未来がよくなる」と考えている小学生となると、これが殆どいない。それでいいのか? せめて子供には「未来は必ずよくなる」と感じていてほしい。そのためには、やっぱ大人が何かしないとなあ、と思う。

 長くなったが、「いい世の中を作ろう」、それがアン関西版記事作りの隠れたるポリシーである。みんながそれぞれの持ち場でちゃんと考えて行動すること。アルバイトを通じて、自己中心の世界から脱却し世間を知ること。稼ぐ大変さや、立場の違いなどを通じて、親や諸先輩、老人に対する尊敬を新たにすること。もちろん、稼ぐ楽しさや、自分が何らかの役に立てる人間であることの確認、その喜びを知るのも大事だが。
 そんなこんなで社会経験値が上がり、パートナーである旦那を子供の前でバカ呼ばわりする母親がいなくなり、老人を邪魔者扱いする大人がいなくなり、いろんな場面でちょっとずつ「ちゃんと」していけば、それだけで子供は未来を信じるのじゃないかなあ。大人になりたくないのは、つまり大人をバカにしているのだ。大人がちゃんとすれば、子供は健全に育ち、社会は良き未来に向かう。まことに単純ながら、ホントにそう信じている。

 アルバイトという経験を通じて、お客や他のスタッフに気配りができるようになった青年たちは、自分が一番という根拠のないプライドを脱ぎ捨てた人たちだ。 「客商売はバカではできない。かと言って利口ではなおさらできない」。ある店長の受け売りだが、真理だと思う。

 と、まあこんな風に、制作するには何か拠り所があった方がいいと思う。拠り所は何でもいい。「人気を取る!」「女性の立場向上を目指す」「真の情報共有」とか、たいていの雑誌が何らかのポリシーを持ちながら作られている(雑誌もただ読むだけじゃなく、裏の意図とか読みとるように眺めてみると、これはこれで楽しい)。問題はそのポリシーと自分のポリシーがどこまで近付けるかだろうね。(ちょっと偉そうすぎるかなあ、この回・・・)



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