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 編集していく上で重要だなあと思ったいろんなこと
 その7・アン関西版の校正ルール(00.6.20)

 注)アン関西版編集スタッフに普段伝えていることをまとめたものなので
 求人情報誌に関連することがほとんどですが(今後もそういう内容になります)、
 一般誌の制作についてもココだけ知っていれば大きな顔ができるポイントかと
 思いますので、参考にできるところだけ参考にしてください。
 なお、このページの記事の無断転載・抜粋は禁じます。


●編集者の第一歩「校正」の基本ルール

 編集の初歩といえばやはり「校正」。「校正紙」という(ゲラともいう)、要するに入稿した原稿がレイアウトされた状態のものと元の原稿とを照らし合わせ、間違いを訂正する作業なわけだが、よく「てにをは」と言われる文章の流れのおかしいところを指摘したり、前にこのページで書いた法律上の誤りを指摘したり、場合によっては事実関係の間違いを指摘したり調べて確認したり、編集部毎にいろいろ決まっている文字運用上のルールに従って使用されている文字を統一したり、店名や商品名、人名などの固有名詞を確認したり(・のあるなしとか、これがけっこう細かい。よく知られているのでは「キャノン」ではなく「キヤノン」が正解とか「富士写真フィルム」でなく「富士写真フイルム」が正解とか)、電話番号や料金や営業時間、住所などを確認したり、やたらと仕事はある。最初はだいたい1頁の校正に30分から1時間はかかってしまう。
 ちょっと長くなったが、参考までにアン関西版での文字運用のルールをまとめてみたので、ちょっと見てちょうだい。こんな風に編集部毎にいろいろルールがあって、これが明文化されてなくって、先輩から口伝えで教わったりするもんだからなかなかに大変なのだ。(共同通信社の編集ガイドブックのルールとか各新聞社のルールとか、講談社ルールとか、創刊時の編集長の出身によっていろいろ決まるみたい。ちなみにアンは講談社プラス産経新聞社ルールであるらしい)

●アン関西版の文字運用ルール(一部抜粋)
よく「よく見かける」など、頻度を表す場合は平仮名(平仮名を使うことを「ひらく」と言ったりする。「開いとこかあ」みたいに言われる)
良い「悪い」の反対語の場合は漢字
ため「為」という漢字を編集長が「古くさい」といって嫌ってるので
こと一般誌では「事」を使う雑誌は少ない・・・らしい
なぜ「何故」って書かれると読めない人もいたりするので
いう「というように」「いうふうに」など意味が「言う(話す)」とは違う場合は平仮名
言う意味が「言う(話す)」の場合は漢字
ような(に)「様な」も古くさいので
気を遣う「気遣い」も同じ。「使う」より思いやりがあるっぽいので
一所懸命一生懸命は国語的に間違い(残念ながら見落とす場合もよくある)
とき「〜したとき、」の場合、「時」だと固い感じがするので
ほとんど「殆ど」だと古くさいので
コンピュータ「コンピューター」とは雑誌ではあんまり書かない。コンピュータ雑誌とかで「ー」をつけるとそればっかりになるので省きだしたのが始まりという説あり。アンでは「オペレーター」とか、人を表す場合は「ー」をつけている
いく・行く「食べていく」「見ていく」など「行く」の意味がゆるい場合は平仮名。逆に「行く」意味がはっきりしてる場合は漢字
見せるよその雑誌ではひらがなを使っているケースも多いが、アンでは漢字
見る・観る映画や絵画など鑑賞する意味合いがある場合は「観る」
聞く・聴く・訊く音楽など鑑賞する意味合いの場合は「聴く」。尋問、問い合わせの意味合いなら「訊く」
答える/答小学校の現行指導要領では「名詞の場合、一文字の送り仮名はなくていい」ことになっているので名詞の場合「答え」とは書かない
話す/話同上
パーティこれも雑誌では「ー」のないのが普通
ヘア/エアこれも雑誌では「ー」のないのが普通。カタカナ名詞では最後の音引きを省くことが多いのだ
1年ぶり「1年振り」とは書かない
ずつ「ひとつずつ」などの場合、もともとが「宛(ずつ)」という漢字を当てていたということで「づつ」とはしない。新仮名遣いでは「づ」とか「ぢ」とか「ダ行」の文字は嫌われてるってのもあるけど
ほど「程」と書くと古くさいので
オススメ(ケースバイケース)「おすすめ」「お薦め」「お勧め」「お奨め」「おススメ」といろんな書き方があるけど、アンでは片仮名を使うことが多い。前の文章に片仮名が多かったりする場合は平仮名を使うこともある。漢字を使うとしたら、漢字を使うことで指定の文字量に収まる場合ぐらい
etc.最後の「.」まで含めての慣用句なので
交代「代理で務める」の意
交替「制度としての入れ替わり」
一度「一度は〜してみたい」「一生に一度」など、「2度は」「3度は」と数えていかない場合は漢字で「一」と表記。逆に数えていける場合は「1」を使う


 雑誌でも書籍でも、段落の最後の1行が1文字とか2文字しかないってのは嫌われる。ということで、その調整のためにあえて平仮名にしたり「ー」を付けたり、逆に漢字にしたりといった調整もあるので、絶対ルールではないんだけどね。



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