りてん堂
TALK
日本絵画の間 250
 

日本絵画に関しては、安土桃山〜江戸時代のものを好んでよく観にいきます。貴族だけのものであった文化が、武士から町人、庶民へと広がり、いろんな人の感性が入り交じり表現が豊かになっていった時代です。

このころの絵画には、日本独特の構図の美しさがあります。
絵師が一つの物を表現するときに、様々なモチーフを一度自分の世界に落とし込み、限られた空間の中に再構成していく、そうして描かれた絵は、普段目にする自然の風景でさえも、一つの物語のように表現されています。
その構成の中で最も重要なところは、メインで描かれている大きく曲がりくねった川の流れや、画面いっぱいにはり出した樹木の枝のしなりなどとは対称的につくられた、何も描かれていない部分です。この「間」があるからこそ、メインのモチーフが強調され、また、見る人が「間」感じとることで、その絵の中にあるストーリーを読み取ることができるのです。

日本人にとって「間」とは、コミュニケーションをとる上でとても重要な部分です。
人に何かを伝えるとき、表現する部分と「間」を読み取ることで本質を伝えることができるのではないかと思います。
この時代によく描かれていた襖絵や屏風絵は、空間を仕切る壁であるとともに、その部屋の世界を作り出すという役割も担っていいました。
ある部屋は静寂であったり、またある部屋は家の主の威厳であったのではないかと思うのです。
そういった空間を創りだすには、その何も描かれていない空気の部分がとても重要な役割を果たしていたのではないかと思います。

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チャンドラー
   
 
   
   
   
   
   

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