「オウ!シット!俺としたことがナイスな忘れ物しちまったぜ!!」
「おいおい、何やってんだよジョージ。ところで忘れた物ってなんだい?」
今日も今日とて変なノリをしている秀信と葛島。
ちなみに今回のテーマは深夜の怪しげな通販番組らしい。
「ああトム、実はさ、家賃を5ヶ月連続で忘れちまってるのはいつもの事だけどさ、大家さんに毎月渡している山吹色の菓子を渡すのを忘れちまったのさ」
秀信は自分の額をペチっと軽く叩きながらやちまったぜという顔をしていた。
「ジョージ、それって毎月ちゃんと家賃払っているじゃないか」
「おお!そういえばそうだ!こいつは一本取られちまったぜ!」
「「HAHAHAHAHA!!!」」
相変わらずアメチックにやりながら笑っている二人。
教室の中でこの漫才もどきは敢行されているが大半がこれをスルーしているのは日常である。
つまりは無視されてる。
「おいおい、ノリが悪いぞヤングメン」
「これだから二次元はなぁ…?」
(((((てめぇらもヤングメンだし二次元だろうが……)))))
教室内全員の心の声である。


数分後…。


キィっという音を立てながら教室の戸が開かれた。
なぜキィっという音がする理由については全教室共通でノブがついている戸といえばわかると思われる。
「よう、先生おはよう」
「おお、今日はちょいと遅かったな先生」
戸の近くで話をしていた二人の男子生徒が戸を開けた人物―――先生と言われた人物に気安く挨拶をした。
「おう、おはよう。昨日にちょいと仕事が入っちまってね」
その先生と言われた人物はいかにもな着流しを着ており、腰に刀を差した浪人風の男であった。
「ああ、そういえば先生ってバイトしてたっけ」
「そうそう、で、なにしてたっけ?」
二人の男子生徒うちの一人が先生に質問をした。
「某Mマークのファーストフードや某Kのおじさんのが有名な揚げ鳥のファーストフード、他多数の外食店で働いているぞ。ちなみにエブリデイスマイルでレジに立ってるぞ」
「「へぇ〜」」
ちなみに先生はなかなか渋い声の上に顔に斜めに切り傷が付いている。


この数分後…。


「新聞〜」
その声と同時に窓ガラスを突き破って新聞紙が投げ込まれてきた。
「きょあ!!今日腐新聞よ!!」
一番新聞の近くに居た女子生徒が鼻を抑えながら新聞紙から急いで離れた。
「うわ…これって昨日の新聞だぜ…?」
「どうやって腐らせたんだよ…」
「というよりたかが新聞紙で、しかも腐った新聞紙でどうやって防弾ガラスの窓を突き破ったんだよ…」
この新聞紙はこのクラス特有の現象であり、毎朝起きる。
ちなみに日付は昨日で、しかも腐っていて、窓を突き破ってくるのはデフォルトである。
さらにこの新聞の掃除は教室の掃除当番がするのも固定。


さらに数分後…。


突然教室の前の戸がものすごい勢いで吹き飛んだ。
「出て来いやぁ!!渡口ぃぃぃぃぃ!!!」
戸を吹き飛ばして叫び声を上げたのはみんなの苦労人橋沢君である。
「なんだ…騒がしいじゃないか橋沢」
気だるげ橋沢の方を向いた秀信。
「てめぇ、分かってていってんのか!?なに人の登校進路に対人地雷なんて置いてやがんだぁぁぁぁぁ!!!???」
「ああ、アレか。ちゃんと注意しただろ?」
「もしかしなくても、てめぇが某メタルギアもどきの警告を俺の携帯にしてきたのか!?」
「そうだ、だから言っただろ地雷探知機を「持ってねぇよ!!」…文句の多いやつめ…」
「一回しか言ってねぇし!てか、てめぇが仕掛けたんだろ!?」
「愚問だな」
「殺す!!」
このまま教室を巻き込んだ戦闘に移行。


また数分後…。


一人の女性教師が教室に顔を出した。
そしてそのまま恐る恐るといった感じに教室の中に入って教卓の所まできた。
「うは〜、いつもながら凄まじいわねぇ…」
先の起こっていつの間にか終了した秀信と橋沢の戦闘により教室は嵐が通ったような状態だった。
こんな状態でも生徒たちは席に着いているのも凄いところではあるが。
「渚先生〜、武貴野先生は?やっぱり今日も?」
教卓の一番近くの席にいる女子生徒が先生に聞いた。
「渚じゃなくて渚っちて呼んでよ。まあ、むきっちはいつも通り元気良く人間不信してるわよ〜」
軽く日常の受け答えのように答える渚。
武貴野とは、このクラスの担任である先生で渚はその副担任である。
一応これでも、渚と武貴野は夫婦でもある。
渚の容姿については生徒達から信頼が高い人物が「上の上ですね」と批評してたの聞けば予想がつくと思われる。
武貴野については同人物が「中の………中?」と言っていた。
要は容姿だけを言えば凡人。
ちなみにこれと武貴野が先生をしていることについては学校八百不思議の一つに数えられている。
「それじゃあ、HRはじめるわよ〜」
こうして鎌津羅市の高校の非常識な日常が始まるのだった…。
「連絡事項は特に無し、HR終わり、それじゃ」
出席も取らずに十秒ほどで渚が教室を出て行くのも日常の一つである。