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琉歌(りゅうか)詞華集−006 2000/06/15 (週刊)
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■■■ 『榕樹』の琉歌 ■■■
ずっと送っていただいている、財団法人兵庫沖縄協会発行の月刊新
聞『榕樹』は、関西に住む私などのような者には、イベントなどの
関西における沖縄関連情報を知る上で、とても役にたちます。
最新の6月7日号では、たとえば、14日まで阪神百貨店で開かれてい
た「めんそーれ沖縄−味と技展」の情報が載っています。また、大
阪浪速区の大阪人権博物館(リバティ大阪)で開催された「博覧館
−文明化から植民地文化」展(11日まで)図録からは、明治36年の
第5回内国勧業博覧会の「余興」として、台湾、朝鮮、ジャワ、ア
イヌの人たちとともに、沖縄の人が生きたまま「陳列(!?)」され
た「人類館」の一部が写っている、当時の興味深い写真が紹介され
ています。
また、「榕樹 琉歌壇」のコーナーがあり、たとえば今度の号では
投稿された11首が載っています。そこには、現代的な課題から、古
典に素材を得たうたまで、さまざまな琉歌が紹介されています。琉
歌はこのように現在でも作り続けられています。このような琉歌が
紹介される場所は、地元沖縄はもちろん、沖縄の人たちがかつて移
住したハワイなどにもあると、聞いています。
ちなみに、上記『榕樹』は、一部40円で、1年(1000円、郵送料込み
)です。本メルマガ読者の皆さんの中で購読してみたいと思われる
方のために、下に連絡先を書いておきます。基本的に会員の方の新
聞だと思うのですが、そうでなくても購読は可能だと思います。
〒660-0881 兵庫県尼崎市昭和通2丁目12-8 三協グランドビル7F
(財)兵庫沖縄協会 TEL 06-6487-0535 / 06-6487-0545
FAX 06-6482-4048
郵便振替口座 01180-9-28742
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▼△▼ 蜻蛉羽の衣の琉歌(本文・読み・共通語訳) ▼△▼
◇昔田名節(ンカシダナブシ)
◎473番
里があかいづ羽 サトゥガ アケズバニ
御衣すらんともて ンス スィラン トモテ
けふのよかる日に キュヌ ユカルフィニ
かせよかけら カシュ カキラ
○わが恋人に上げる蜻蛉の羽のような美しい
着物を作るため、
今日の吉日に
経糸をかけよう。
(島袋盛敏・翁長俊郎『評音・評釈琉歌全集』武蔵野書院 1968)
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▲▽▲ 解説など ▲▽▲
「里」は「恋しい人」で、女性から男性を呼ぶときに用いられます
。「あかいづ」は蜻蛉で、トンボのこと。ヤマトゥの古語にも「あ
きづ」とあることが知られています。琉歌ではほかにも用例があり
ます。トンボの羽のように美しい衣の意味ですが、具体的にはどの
ようなトンボなのでしょうか。
「すらん」は、着物を「染め草で擦りつけて染める」というほどの
意味から、着物を作るの意味に転化していると思われます。和歌に
影響を受けたと思われる976番には、「摺衣(すりごろも)」の例が
あります。
「かせ」は経(たて)糸のことで、布を織るときにある長さの糸を
まとめて、かせ木(工型の道具)にかけて経に整えます。このうた
を見ると、右手にかせ木を持ち、右片袖抜きの出で立ちで優雅に踊
られる、琉球古典舞踊の女踊のひとつ「かせかけ」を、私は思い出
します。
好きな人のための美しい衣を織りはじめるのを吉日にしようという
うたです。『おもろさうし』巻13の874番には、「聞ゑあけしの」と
いう神女が聖地斎場ウタキで「あけずみそ(蜻蛉御衣)」をまとっ
て、祭祀に望んでいる様子がうたわれています。美しさの背景に、
神女の神聖なイメージがあるのかも知れません。おっと、また聖な
る世界に入ってしまった。琉歌は基本的には叙情歌で、その多くは
やはり恋の歌だと思います。
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▼ ひとこと ▼
前回にも書いたように、学会の発表を控えているにもかかわらず、
書き始めるとつい長くなってしまいます。スミマセン。
『榕樹』の件ですが、ここに紹介させていただいたのは、頼まれた
からというようなことではありませんので、念のため。
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