『奄美・沖縄エッセイ』066
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2012.08.26 ■
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◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■
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     □◆□◆□▼ ボラヴェン ▼□◆□◆□

ハイタイ。ついに、前号から4ヶ月を過ぎてしまいました。配信を
登録していただいているみなさまには、いつものわがままで、たい
へん失礼いたしております。さて、久しぶりの今回は、久しぶりに
も関わらず、いつもと違うライヴ形式でお送りします。

実は、私は今現在、沖縄の那覇のホテルに滞在しています。久しぶ
りの沖縄での資料調査と、このメルマガNo51にも登場した、私の学
生時代の恩師・関根賢司氏の「トゥシビーを祝う会」という催しに
出席するためにです。沖縄では、12年に1度巡って来る、生まれた
干支の年を生まれ年といって、祝う慣わしがあります。この祝いを
「生年祝い」といい、方言で「トゥシビー」といいます。恩師は、
今年数え年で73歳を迎えるため、これに当たります。それを理由に
、恩師の久しぶりの沖縄来訪を迎えて祝おうというのです。

実は、恩師は沖縄の出身ではありませんし、仕事を定年退職し、今
は関東に住んでいます。その恩師が琉球大学の教員をしていた時の
、私は教え子なのです。といっても、ゼミの教員としてではなく、
学年担任としてなのですが(私の出身学科にはこういう役目の教員
がいしまた)。沖縄で18年を過ごした恩師は、関西の短大を経て、
静岡大学の教員として定年を迎えました。これを、沖縄時代の教え
子たちが、久しぶりに恩師を沖縄に迎える会で、これをトゥシビー
と呼んでみたのです。沖縄で学生に教える一方で、地元の多くの文
化人たちとふかく交わり、多くの仕事と、深い印象を残していった
恩師が、久しぶりに沖縄を訪れることを機会に、教え子たちと、文
化人たちで迎えようというものでした。

その時の様子は、別の機会に書く機会もあるかと思います。前振り
しておいて、肩すかしで申し訳ありません。今回は、そんな理由で
訪れた沖縄で、これを書いている今、私が体験していることを少し
書いてみようと思っています。今、沖縄は台風に見舞われています
。台風15号、名前をボラヴェンといいます。8月26日15:00現在の勢
力は、910ヘクトパスカルで、非常に強い台風です。北西に15メー
トルで進んでおり、あと数時間で、沖縄本島を横切る予定です。最
大風速は50メートル。最大瞬間風速は70メートルに達するとされて
います。テレビでは、沖縄がこの60年で体験した台風では、もっと
も強いものだと強調しています。そして、もう少し南には、先に発
生していた台風14号が、15号の影響で台湾あたりから、再び北上し
てきています。二つの台風がこのように影響しあうことを、藤原効
果というそうです。

私が滞在するホテルは、那覇市内の西側を走る国道58線、久茂地交
差点のすぐそばにあります。その9階に滞在しています。部屋の窓
からは、遠くに東シナ海が少しだけ見えます。部屋の一面を占める
窓には、朝から風雨が吹き付けています。それがだんだん強くなっ
ていきます。雨も強くなって、遠くがかすんできています。今は、
時折、ゴーッという音とともに、窓が揺れ、それとともに部屋も揺
れているような感覚にとらわれます。5年間(!)学生として生活
していた沖縄では、かなり強い台風に遭ったことも何度かあります
。また、その後も一年に一度は訪れている沖縄でも、強い台風に出
遭ったこともあります。しかし、どうも、この台風は、それとはど
うも様子が違うようです。

まさか、ホテルの窓ガラスが割れることはないでしょうが、窓が、
部屋が、揺れるたびに、ビクッとします。そのような中、私はパソ
コンに向かっています。関西を発つ前、台風が来ることを天気予報
で知っていたので、ホテルに閉じ込められた時のために、ノートパ
ソコンを持ち込んでいるのです。そのキーポードに向かっています
。そして、画面の中の天気図には、中心に目を持つ、二つの大きな
雲の渦が映っています。一方で、同じブラウザで、Twitterと、Fac
ebookを立ち上げ、何人かの人とやり取りをしているのです。その
うちの一人は、このマガジンの前号で取り上げさせていただいた、
今沖縄で話題の怪談ライター、あるいは、私の職場で担当する現役
ゼミ学生や卒業生などです。そこに、私が直接は知りませんが、そ
れぞれのメンバーの知り合いがからんできます。

今まで体験したことのほどの強い台風と、そして、これにより吹き
荒れる風雨と窓カラス一枚隔てた部屋の中での、ネット上での最近
身につけた交流。画面上でやり取りをする人たちは、あるいは、私
と同じく沖縄に居ながら台風について語り、あるいは、離れていて
もすでに台風の影響が出ている奄美大島本島から仕事を本日の終え
たことを知らせ、あるいは、残暑が厳しい関西に居る学生達は、猛
暑の中、街でうどんを食べようか、などとつぶやいています。エア
コンが動くホテルの部屋の中で、そういうやり取りをしていると、
とても奇妙な気持ちになってきます。小さい頃、九州福岡の片田舎
で、台風が来たときの古い感情と、画面の向こうで、残暑の中、台
風の「情報」を読んで反応している人たちへの思いが複雑にからん
でいきます。

琉球列島の人たちは、海の彼方に理想郷があると信じていました(
います)が、海の彼方から訪れる巨大な力である台風と、ネットを
通してやはりその空間の彼方からもたらされる人々のつぶやき、投
稿。そして、私の学制時代に大きな影響を受けた恩師と久方ぶりの
出会い。このような、初めての状況の交錯は、どうも私にこの世な
らざる気持ちをもたらしているようなのです。こうして書いている
2時間ほどの間にも、台風は近づき、風雨が強まっていきます。そ
して、もう少しで、沖縄本島上空をボラヴェンが通過していきます
。
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           ■◇■ あとがき ■◇■

さて、なんのオチもなく、何を書いているのよくかわからない文章
になってしまいました。台風に誘われるままに、キーポードに向か
ったのですが、読者の皆さんには、失礼なことになったかも知れま
せん。そうであれば、なにとぞご容赦下さい。

私としては、この台風がもたらす被害ができるだけ小さくなること
を祈るだけです。

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