『奄美・沖縄エッセイ』045
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2008.08.31 ■
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◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■
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    □◆□◆□▼ チルアウトということ ▼□◆□◆□

ハイサイ。夏も盛りを過ぎたというのに、まだまだ暑さが続いていま
す。みなさん、いかがお過ごしですか。

さて、雑誌を買うのが好きです。大きな書店に行くとさまざまな雑誌
が並んでいますが、これを眺めているのも好きです。そして、これぞ
というのを見つけると、買い求めます。とくに、奄美や沖縄を特集し
ている雑誌を見つけると、買いたくなります。夏前、観光シーズンを
睨んで、そういった特集が増えます。しかし、最近ネタ切れなのか、
どうも紋切り型の特集が目立ちます。

しかし、一方で、そういった傾向を破ろうと、なかなか面白い特集を
組む雑誌もあります。そいったのを見つけると、嬉しくなって買い求
めます。今回ご紹介するのは、少し前の雑誌になりますが、マガジン
ハウスの『BRUTUS』645号(08/15)です。表紙には、湖の向こう雲の上
に浮かぶ富士山の写真の下に「心を静める旅、本、音楽。」という文
が、書かれています。これだけでも、じゅうぶん魅力的でしょう。欲
しくなりませんか。

実は、私もそれで手に取ったのですが、ところが、よく見ると、富士
山の上に小さい文字で「chill out」と書かれています。チルアウト
…、???どういう意味だろうと思いながら、その雑誌を買い求めま
した。650円でした。表紙には、他にも「スローでメローなニッポン
の名景60」とか、「『CHILL OUT BIBLE』心地よくチルするために、
知っておきたい7つのこと。」とか書かれています。「チルする」っ
ていう動詞まであるのだと、知りました。さっそく、ウィキペディア
を引いてみましょう(最近、ネットの辞書を抵抗無く引くようになり
ましたねぇ(^_^;))。

▽チルアウトは、電子音楽の作曲者により生み出された、比較的陽気
でスローテンポなさまざまな形式の音楽を表す包括的な言葉である。
発祥は1990年代前中期で、くつろぐことを促す俗語から来ている。△

と、あります。そして、これに続く「概要」は、次の通りです。

▽チルアウトはジャンル名であると同時に、ダンスフロアにいる客た
ちにダンスで火照った体を休め、落ち着かせる機会を与えるためダン
スフロアの端にしつらえた冷たい(Chill)部屋で流される音楽から
も来ている。この部屋には寝椅子、気持ちのよい枕があり、また陶酔
に誘うサイケな照明、そして音楽による演出がなされており、その音
楽は(特に数歩先にあるダンスフロアの音楽と比べると)明らかにダ
ウンテンポなものである。△

つまり、元はダンスを中心とした音楽用語なのです。KLFという電子
音楽グループに同名のアルバムがあり、これがチルアウトという語を
一般化したともいいます(目下、注文中)。さらに、goo英和辞典には
、米語の俗語として、「落ち着く, 頭を冷やす」とも出ています。『
BLUTUS』では、後者の意味として、広く用いています。つまり、旅や
本までもチルアウトなものとして、捉えているのです。さてさて、辞
書ばっかり引いてますが、それでも、ちょっと読みたくなってきたで
しょう。

実は、偶然なのですが、『STUDIO VOICE』392号(07/06、INFASパブ
リケーションズ)でも、「アンビエント&チルアウト」という特集を
組んでます。これも、音楽の特集で、こちらはもっとよく知られた、
アンビエントミュージック、つまり環境音楽との関わりで、チルアウ
トが取り上げられています。まあ、俗に言えば、暑い夏なので、音楽
で体と頭を冷やそう、ということでしょう。

『BRUTUS』特集巻頭で、脳科学者の茂木健一郎は「『チルアウト』っ
て何だろう」という文章で、これをさらに掘り下げています。「チル
アウトは、休息自体が目的なのではなく、生活や仕事が輝いていた、
その時間の意味を自分の中で腑に落とす、落ち着き所を見つけるため
のものだと思うんです」そして、そのような場として、自らの体験か
ら、ウィスキーの貯蔵庫、京都郊外の山中などを挙げています。さら
に、「携帯電話の電源を切ること(笑い)」。そして、「宇宙につい
て思いを巡らすこと」が、茂木にとっての最大のチルアウトだとも述
べています。

さて、ここら辺で、奄美と沖縄に戻らなくてはなりませんね(^_^;)こ
こまで読まれたら、もう予想がつかれていると思うのですが、そうで
す。チルアウトする場が、南の島なのです。『BRUTUS』では、さまざ
まなチルアウトする場、方法の最初に、奄美大島を取り上げています
。最初は、奄美諸島、加計呂麻島、そこの渡連(どれん)という集落
の海辺にあるペンション「来来夏ハウス」、その前の浜で、経営者籾
(もみ)さんのおじいさんと、お孫さんがシマウタの練習をしていま
す。自然に囲まれた人口1600人ほどの島と、シマウタ。チルアウトす
る場と音楽です。

偶然なのですが、このペンションに先日泊まってきました。家族で三
度目の3年ぶりの奄美、これまでに宿泊したことのない場所にしたい
と、奄美の知人、あまみ屋の安田ひろぞうさん(本マガジン、no17参
照)に相談したところ、ここを紹介してくれたのでした。前回の本島
土盛海岸でいいという家族に抵抗し、南の加計呂麻島を選んだのでし
たが、これは正解でした。そのときの天気のせいで、とても涼しい奄
美で、これは私たちも意外でしたが、雨も含めて、地元の人には恵み
なのだと聞かされました。透明度の高い海に浮かんだことはもちろん
ですが、涼しい渡連の桟橋で、釣竿を垂れながら、本島との間に横た
わる大島海峡を通り過ぎる雨雲を眺めて、チルアウトしてきました。
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           ■◇■ あとがき ■◇■

チルアウトという言葉を知ったことが嬉しくて、そちらに比重が移っ
てしまいましたが、『BRUTUS』では、6ページにわたって奄美を紹介
しています。さらに、巻末では「奄美な絆」として、大島本島嘉徳出
身の元ちとせ(メルマガ『歌謡(うた)つれづれ』no055参照)と、お
笑い芸人でもある「ぐっさん」こと山口智允が紹介されています。ぐ
っさんの母親は奄美の人間なのだそうです。

みなさんも、チルアウトということを少し意識してみませんか。この
文章を聞きながら聴いている、中島ノブユキの『エテパルマ 夏の印
象』(ewe records)というアルバムは、雑誌の中で紹介されている
たくさんのCDのなから選んで買ってみました。来来夏ハウスのテラス
で夜聴いてみたい音楽です。
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