『奄美・沖縄エッセイ』018
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.08.31 ■ ■■◇■ ◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ No0018 ■ =========================================================== +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ =========================================================== ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- □◆□◆□▼ アダンとクワガタ ▼□◆□◆□ ハイタイ(奄美風です)、みなさま、お元気ですか。 前の号にも書きましたように、奄美旅行記の続きです。私たち家 族が宿泊したのが、笠利町土盛にある、 レスト&ロッジ『翔』です。 http://www.fenyworld.com/syou/ 土盛海岸を、ほとんどプライベートビーチとする位置にある、レ ストランを兼ねたロッジでした。ツインの幾部屋かと共に、二つの ロッジがあり、家族連れでも宿泊できます。 前回は、とても奥深い奄美の森のお話でしたが、今回は身近な自 然についての話題です。私たちが泊まったものとは別のもう一つの ロッジに、やはり子ども連れの家族が泊まっていました。その男の 子が集めたらしい虫、一見カブト虫やクワガタとわかる虫を入れた 透明の容器が、宿の外に並べられていました。福岡の田舎育ちの私 は、夏になると、虫取りというイメージは今でも抱いていて、機会 があれば、まだ小学生の子どもを連れて、いそいそと虫取りに出掛 けることがあります。そんなですから、その容器に入った虫に興味 津々で、いったいどこで捕まえたのだろうと思って眺めていました。 宿の周りは他に民家はなく、少しの芝生の外は、木が生えて、海 岸に連なる林になっていました。ふと見ると、ロッジの横の木の側 に、おそらく地元からの宿泊客である子どもたちが集まり、長い木 切れを持って、林の端に生えている木をたたいています。大人げな い私は、いそいそとそこに近づき、子どもがたたいている木を見て、 驚きました。それは、奄美や沖縄を訪れた人ならよく知っている、 アダンでした。『沖縄大百科事典』には「タコノキ科の匍匐(ほふ く)性常緑樹小高木。3〜5mに達する。トカラ列島の口之島が北限で、 (沖縄)県内の各島に広く分布する」とあるのがアダンです。これ よりも、パイナップルに似たオレンジ色の実がなっている木、とい った方がわかりやすいてしょうか。 子どもたちがたたいているのは、アダンの実なのです。パイナ ップルに似ているため、食用になるかと思われがちですが、人はこ れを食べることはありません。でも、近づくと、とても甘い香りが あたりに漂っています。そうです、この実に、じつに多くの虫が付 いているのでした。それは、一見して多数のカナブンだと知れまし た。熟した実がが出す果汁を食するために、多くのカナブンが群が っているのです。本州でも、カブトムシやクワガタを取りに行った 経験がある人ならすぐにわかると思うのですが、カナブンが集まる ドングリの木には、カブトやクワガタが居る可能性が高いのです。 その木から、甘い香りの樹液が出ているからです。 完熟した実に食らいついたカナブンの数は、尋常ではないのです。 おそらく、一つの実に百匹以上のカナブンが付いているのです。だ から、こどもたちがたたく度に、多くのカナブンが飛び立ち、そこ ら辺一帯は、子どもの悲鳴と歓声に包まれることになります。これ に大人げなく興奮した私は、「おじちゃんに木をかしてごらん」と 言って、子どもたちに混じってアダンをたたきはじめました。アダ ンの実に虫が寄ってくるというののを、はじめて知ったのでした。 たたくだひに、飛び交い、実から落ちるカナブン。そして、甘酸っ ぱい臭い。そこは、まさに夏の虫取りの場と化しました(ちょっと おおげさですが)。 しかし、残念ながら、山ほど降ってくるカナブンの群れの中に、 カブトムシやクワガタを見つけることはできませんでした。子ども たちがあきらめて去ったあとも、ひとりこっそりと木をたたき続け ましたが、ついぞ獲物をみつけることはできませんでした。ところ が、次の日の朝、やはり翔の部屋の方に泊まっていたと思われる家 族連れのお父さんが、「おーっ」という声と共に、そのアダンの木 の下に落ちていたクワガタをなんと2匹も見つけていました。やはり、 居たのです。アダンのことはよく見かけていましたが、その実がク ワガタやカブトムシの集まる場所になろうとは。これは、とても新 鮮な発見でした。 結果的には、アダンの木からカブトやクワガタを見つけられなか った私ですが、夜に翔の周りを散歩しながら、街灯の下で目をこら していると、居ました、居ました。一匹は、カブト虫のメス、そし て、もう一匹は、クワガタ虫の立派なオスでした。おそらく、アダ ンの木に群がっていたのが、街灯の灯りにひかれたものと思われま す。カブト虫は少し頭がへこんだ、本州ではあまり見ないかたちで したが、いずれも子どもの希望で次の朝逃がしたので、残念ながら 正確な種類がわからずじまいでしたが。前号に登場してもらった、 あまみ屋のひろぞうさんにこのことを話しましたら、奄美大島では 当たり前のことなのだそうです。 いや、大人げなく、つい興奮してしまいました。でも、カナブンで 半分以上は黒く見えるアダンの実の写真をみなさんにお見せした いくらいです。カナブンは、その実をガリガリと食べており、そう して、オレンジの出っ張り(果実部分)を地面に落としてしまうの で、最終的には白い芯だけになってしまうのです。 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- ■◇■ あとがき ■◇■ さて、今日で8月も終わり、子どもたちはまた、学校が始まり、虫 取りどころではなくなりますね。翔で出会った可愛い子どもたちも、 土盛の海で真っ黒になって、元気に学校に出掛けていることと思い ます。では、また。 =========================================================== ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆ 電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □----◆ 発行人:末次 智 (すえつぐ さとし) □--◆ E-mail:suetsugu@kyoto-seika.ac.jp □◆ 配信の解除URL:http://www.kyoto.zaq.ne.jp/suetsugu/ ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




前ペ−ジに戻る

SuetsuguHOMEに戻る