『奄美・沖縄エッセイ』017
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.08.17 ■ ■■◇■ ◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ No0017 ■ =========================================================== +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ =========================================================== ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- □◆□◆□▼ 奄美の森「夜のおさんぽ」 ▼□◆□◆□ ハイタイ(奄美風です)、みなさま、お元気ですか。 前の号にも書きましたように、まずお盆前に、家族と一緒に、奄 美大島本島を訪れてきました。家族で訪れるのは2度目、5年ぶり のこととなります。目的は、かねてからそこに身を浸してみたいと 考えていました、本島北部、笠利町の土盛(ともり)海岸を訪れる ことでした。海岸は、予想通り素晴らしく、とくにその変化に富ん だ海岸線は、海の中を泳ぐさまざまな魚とともに、たいへん素晴ら しいものでした。 さて、今回ここで取り上げたいのは、奄美の自然についてです。 奄美には、シマウタ等のすぐれた文化があるのですが、今回はあえ てそれに近づかなかったからでもあります。私は、奄美大島本島の すばらしさは、自然の深さでもあると、前回の家族との訪問で感じ ました(一人で訪れると、主に文化が対象となります)。今回は、 これを再認識することになりました。それは、土盛海岸そのものの 素晴らしさが、証明してくれたことでもありますが。 でも、ここでは、それよりももつと自然を感じさせてくれた体験 について書きたいと思います。奄美大島本島の、とくに中南部は山 地です。本島最高峰の湯湾岳は、標高694.6メートル。他の山々も、 300〜500メートルです。そこは、ほとんど人間の住まない深い森に なっています。本島の自然の深さは、この森の深さと通じています。 もちろん、素人が、とくに外の人間が入ってすぐに、その深さをど れほど感じることができるかは、疑問です。 そこで、頼りになるのが、ツアーガイドです。これを、前回と同 じく、知人でもある「あまみ屋」の安田ひろぞうさんにお願いしま した。とくに今回は、夜の森のガイドを再びお願いしました。土盛 の宿を7時頃に出て、車で走ること2時間、住用村の夜の森に到着し ました。そこで、まず森に入る儀式がありました。トイレ休憩で止 めた場所で、ひろぞうさんは、われわれ家族に手渡したコップに少 しずつ焼酎を注ぎ、これからの森との出会いが無事であるようにみ んなで簡単にお祈りしました。ガイドとしての自然に対するひろぞ うさんのこのような謙虚な気持ちに、私は惹かれています。 そして、トンネルができたことで、車がほとんど走らなくなった 峠の道や、車一台がやっと通り抜けられるかどうかの林道を、奄美 の森を知り抜いたひろぞうさんは、ゆっくりと車を走らせます。車 のライトだけが照らし出す、夜の森。そして、オープンされている 車のサンルーフから見える満点の星。これだけでも、家族は息をの んでいます。まるで、森の濃厚な息づかいを身近に感じているかの ようです。そのとき、遠くから、シャー(正確ではありません)と いう鳴き声、これがリュウキュウコノハズクの幼鳥の鳴き声である ことを、ひろぞうさんは、教えてくれます。 窓の外には、一筋の光が。灯りが明滅しないスジボタルです。そ して、静かに車が止まるたび、ひろぞうさんが指摘する場所をよー く見ると、そのハンドライトの先に、生き物たちが浮かび上がるの でした。ルリカケス、リュウキュウアカショウビン、キジバト、オ ットンガエル、ハナサキガエル、そして、ひろぞうさんが「神さま」 の敬称を付けて敬う、ハブ等々。まさに、息をのむ固有種、希少動 物たちです。実は、ハブ捕りだという車(生体だと公共機関が4200 円で引き取ってくれるそうです)に途中何度か追い抜かれましたが、 ハブに会えるのは、まれなことだそうです。 そして、そして、今回のツアーの一つの目的であったのが、これ こそ、奄美の象徴の一つ、特別天然記念物アマミノクロウサギです。 前回はフンを見ただけでした。今回も、なかなか会えません。フン を見かけたりはしたのですが。車が道無き道へ入っていきます。帰 りの時間を考えても、もうダメかなーと思った瞬間でした。車のラ イトに向かってピョンピョンと跳ねてくる小さな動物が目に入りま した。アマミノクロウサギです。すぐに、180度転換して森の中に走 り去ったのは、車のライトのせいではなく、「ウサギ道」を間違え 引き返したたからだと、ひろぞうさんが説明してくれました。 私たちは、幸運でした。ひろぞうさんの経験に裏打ちされたガイ ドと、幸運に恵まれ、ハブ神さまやアマミノクロウサギ等、夜の奄 美の森で暮らす生き物たちに出会うことができました。ほんのつか の間、しかも主に車の中からでしかありませんでしたが、奄美の森 に、その自然の深さの一端に触れることのできた、幸福な、でもゾ クゾクする体験でした。土盛の宿への帰り道、子どもたちは後ろの 席で眠り込んでいました。そこに、とても真夏だとは思えない、涼 しい風が吹き込んでいました。 以下に、ひろぞうさんの「あまみ屋」のURLを記しておきます。 http://www.amami-ya.com/main.html ひろぞうさんは、ガイドではなく、あえて「おさんぽ」と称してい ます。 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- ■◇■ あとがき ■◇■ 今回は、かなり長くなりました。でも、もう一回ほど、奄美滞在 の話題を取り上げたいと思います。 =========================================================== ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆ 電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □----◆ 発行人:末次 智 (すえつぐ さとし) □--◆ E-mail:suetsugu@kyoto-seika.ac.jp □◆ 配信の解除URL:http://www.kyoto.zaq.ne.jp/suetsugu/ ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




前ペ−ジに戻る

SuetsuguHOMEに戻る