『奄美・沖縄エッセイ』015
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.07.12 ■ ■■◇■ ◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ No0015 ■ =========================================================== +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ =========================================================== ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- □◆□◆□▼ トップランナーの故郷 ▼□◆□◆□ ハイサイ、みなさん、お元気ですか。 さて、皆さんは、大島保克(おおしまやすかつ)という唄者(ウ タシャ、歌い手)をご存じでしょうか。八重山諸島を代表する唄者 です。オフィシャルサイトから、大島について簡単に紹介いたしま すと、次のようになります。「1969年生れ。沖縄県石垣島白保出身。 代々「ひばり」の屋号で呼ばれるほど村の歌い手として知られた生 家で、うたと三線に囲まれて育つ。 1987年、高校卒業後、沖縄本島、 那覇で生活。八重山芸能集団『ゆらてぃく組』結成。沖縄ジァンジ ァンなどで公演。 1989年、上京。仕事を転々としながら、徐々に音 楽活動が中心になる。1993年、本格的にソロ活動スタート。」 (流星群 http://www.ryuseygun.com/ 参照) 八重山を中心に、琉球弧全域の伝統的なシマウタを数多くレパー トリーに持ち、さらに、オリジナルのシマウタの作曲を手掛けてい ます。後者は、たとえば、BIGINのウタのようにポップスに流れるこ とはありません。(BIGINはBIGINでよいのですが。BIGIN、そういえ ば活動を休止し、ソロ活動を開始しましたね。)、シマウタの世界 に留まりながらも、新鮮味あふれるシマウタを作り上げています。 現代において、これはスゴイことだと思います。もし、中江裕司監 督『白百合クラブ東京へ行く』を観た方なら、白百合クラブのメン バーのなかで、三線を弾いていたのが、彼の父です。 その彼が、先日、トップランナーというNHKの若者向けのトーク番 組に出ていました。といいながら、じつはこの番組、私、終わりの 15分しか観ていないのですが。そこで、再放送を録画するつもり だったのですが、レコーダーのHDの残量がゼロであることに気付か ず、録画に失敗しました。ということで、あまり偉そうなことは言 えないのですが、NHKに一つ言いたいことがあるのです。 録画映像が無いので断片的な記憶なのですが、大島の発言を受け る形で、画面の右下に要約されたタイトルが出ます。そのなかで、 彼が「シマ」と発言したことを受けて表示されるタイトルが「島」 となっていました。たしかに、彼の代表的な作品、アルバム『島時 間』(2002.4.24、ビクターエンタテインメント)、最新作『島めぐ り』(2005.4.21、ビクターエンタテインメント)では、「島」と書 かれ、サブタイトルでは、Islandと訳されています。 でも、大島が「私のシマ」というとき、それは産まれ育った石垣 島でもあるのですが、そのなかの白保という集落なのです。アルバ ムに収められているウタを見てみると、たとえば『島時間』に収録 された大島のオリジナル「真砂の道」について「大島の生まれた白 保村は珊瑚礁に囲まれた砂地の上にある。……浜へ続く真砂の道は 夕涼みに来る島の人の憩いの場所」と注が付いています。ここにあ る「島の人」は正確には、白保の人という意味で「シマの人」であ るべきてじょう。 トップランナーでの大島の発言には「シマ」というニュアンスが 強かったと思うのですが、これに「島」という字を充てるとき、NHK 側はその微妙な意味の揺れに気付いていないように思いました。お そらく石垣島という意味で「島」を充てていたのだと思います。し かし、奄美・沖縄の人にとって、シマとはまず自己の生活の基盤で ある集落のことだと思うのです。奄美発祥であるというシマウタ (島唄)は、シマに根ざす歌なのです。そのシマジマが独立性を保 ちつつ、数多くのウタの存在を支えているというのが、シマウタの 大事なところではないでしょうか。 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- ■◇■ あとがき ■◇■ シマについて書いていて、ふと、islandにシマ(集落)という意 味が無いのか気になって、ウェブ上の辞書(新英和中辞典 第6版 、 研究社)で引いてみますと、islandの原義は「水に囲まれた土地」と いう意味で、そこから「孤立したもの[場所,集団]」の意味がある ようです。シマと似ているようですが、陸地の一部であるシマとは 異なりますね。こちらはもっと積極的な意味で用いられます。 奄美・沖縄は、梅雨明けしましたね。今年も例年のごとく、容赦 なくカーッと照りつける太陽のもと、海の色がコバルトブルーに輝 いていることでしょう。読者の皆さんは、この夏にも、奄美や沖縄 に、赴かれるのでしょうか。 私もできれば、奄美や沖縄に行きたいと考えています。 =========================================================== ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆ 電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □----◆ 発行人:末次 智 (すえつぐ さとし) □--◆ E-mail:suetsugu@kyoto-seika.ac.jp □◆ 配信の解除URL:http://www.kyoto.zaq.ne.jp/suetsugu/ ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




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