『奄美・沖縄エッセイ』013
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.06.14 ■ ■■◇■ ◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ No0013 ■ =========================================================== +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ =========================================================== ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- □◆□◆□▼ 人を癒す歌 ▼□◆□◆□ ハイサイ、みなさん、お元気ですか。 Coccoの歌の続きです。「初花凛々」(前回「初夏凛々」と書いて しまいました)、みなさん、もうお聴きになりましたか。前に書き 忘れましたが、このディスク、初回限定版のみ、プロモーションビ デオ他の映像の入ったDVDまでついて1100円で、お買い得です。前回 に書きましたように、現在のCoccoの表情を見ることができるという 意味でも、なかなか貴重です。まだ手に入ると思います。 さて、Coccoは、歌手活動を通して、ずっと自らが作詞作曲した歌 だけを歌ってきました。実は彼女、沖縄に帰って、ゴミゼロ大苦戦 のコンサートのために、ギターの弾き方を覚えるまで、楽器はおろ か、楽譜も読めなかったのです。では、作曲はどうするのかという と、たとえば就寝前に、頭にブワーッと浮かんでくる歌をテープ等 に残し、これを他の人に楽譜に残してもらっていたのです。 このディスクとともに、SINGER SONGERのインタビュー記事が載っ ている『ロッキング・オン・ジャパン』6月号(ロッキングオン)と いう雑誌を買って、これを読みました。6月26日発売予定の『ばらい ろポップ』とというアルバムをバンドのメンバーとレコーディング する過程についてのメンバーへのインタビューでした。そのなかに、 たいへん興味深い逸話を見つけました。 レコーディングの二日目に、中心メンバーの岸田繁が過労で倒れ て二泊三日入院しました。その間に岸田を持ちわびる気持ちを表現 したのが、「初花凛々」という歌だとのこと。Coccoは、岸田が倒れ た原因を、バンドメンバー間、あるいは彼らとCoccoとの間の、曲作 りを含めたコミュニケーションの調整を行ったことに求めています。 その当否はともかく、読みの方向に驚きました。 関係を不調の背景に見るその視線は、まさにカウンセラー的では ないでしょうか。歌手活動をしていた頃、自らの歌について、これ を歌うと「痛い」が「やさしい」に変わると表現していました。歌 により自らを癒す、この方向は、奄美・沖縄では、ユタと呼ばれる シャーマン(巫者)のことを思い起こさせます。Coccoはユタである。 これが私の考えなのです。これつにいては、また、機会があれば、 別の形で詳しく書いてみたいと思っています。 私の考えでは、ユタはまず自らを癒すことに成功した者なのです。 自らの歌によりこれができなくなったことが、Cocco歌手活動の中止 の主因だと、私は思っています。岸田繁という、バンドの中心メン バーを失うことで受けた傷を、まず自ら癒そうとして出来上がった 歌、これが「初花凛々」だと、私は思うのです。それは、岸田の次 のような言葉が、逆に証明しているような気がします。 「(岸田)“初花凛々”。看護婦さんよりも全然この弱った身体 を癒してくれた。最初にCoccoに“初花凛々”のメロディー歌っても らつて、コードをとって。それで、結構、もう、なんていうんかな ……『おっしゃあ』って、人の匂いのする音楽になるなあって感じ た。」(48p)ついでに書いておきますが、付録のDVDには、Coccoの 歌にギターでコードを付ける岸田の、たいへん貴重な映像も収めら れています。 おそらく、この歌は、二人だけではなく、バンドのメンバーたち をも癒したのではないでしょうか。そして、すでにできていたアル バムの曲ではなく、この曲をシングルとして先に出すことになった のです。最初にこれを聞いたとき、私は強く惹かれるものを感じ たのですが、それはこの歌がメンバーを癒したことによるものでは ないでしょうか。繰り返せば、シャーマンは、まず自らを癒すこと に成功した者なのです。 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- ■◇■ あとがき ■◇■ こうなると、アルバム『ばらいろポップ』が楽しみになります。C occcoのことは、これからも、機会があれば、取り上げたいと思い ます。 =========================================================== ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆ 電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □----◆ 発行人:末次 智 (すえつぐ さとし) □--◆ E-mail:suetsugu@kyoto-seika.ac.jp □◆ 配信の解除URL:http://www.kyoto.zaq.ne.jp/suetsugu/ ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




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