『奄美・沖縄エッセイ』011
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.05.17 ■ ■■◇■ ◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ No0011 ■ =========================================================== +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ =========================================================== ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- □◆□◆□▼ 幻のパナリ ▼□◆□◆□ ハイサイ、みなさん、お元気ですか。 前回は、八重山諸島新城島のパナリという土器との出会いについ て書きました。今回は、その続きです。 ある日、職場の同僚の先生とお話ししているとき、パナリの話題 が出ました。その方は、東洋美術史を教えておられる方で、自らも 骨董を集めておられました。私のパナリの話を聞いて、パナリは良 いし、自分も持っていると、言われたのです。どこで買われたかお 聞きすると、沖縄本島の那覇市にある骨董店だというのです。店の 名前は「観宝堂」といいます。焼き物で有名な、那覇市の壺屋あた りを歩いて、焼き物を売っている店を覗いたことはあった私ですが、 沖縄では(京都でもそうなのですが)、本格的な骨董店には、思い 当たりませんでした。 それで、別の仕事で那覇を訪れた際、タクシーを飛ばして、その 観宝堂を訪ねました。那覇市の松山にあるその店は、ジーパンにTシ ャツという私の服装にはおよそ似つかわしくない、本格的な骨董店 でした。おそるおそる店に入ってみると、いかにも値段の高そうな 器の類が整然と並べてられています。その中に一つありました。パ ナリの壺でした。直径が30センチにも満たない、かわいい、素朴な 壺でした。それに見入っている私を見て、店のご主人が「パナリ」 をお探しですか。と聞いていきました。そうですと言って、おそる おそる値段を尋ねると、たしか25万円ほど!!でした。 当然、私が買える値段ではありません。その壺を眺めながら、店 主と話しているうちに、同僚の先生の話となりました。その方は、 観宝堂をよく利用されているようで、お知り合いならとのことで、 店の奥で、お茶までいたただきながら、他にも二つほど、パナリの 壺をみせていただきました。一つは、土器の表面を布などでこすっ たらしく、すべすべしていましたが、これには、わたしはあまり惹 かれませんでした。もう一つは、店の奥から出してこられた大柄の 壺で、値段もさらに10万円ほど高かったのですが、どうも気に入り ませんでした。私は、店頭に飾っている小ぶりの壺に惹かれていま した。が、これを買うことをあきらめて、店を後にしたことは、言 うまでもありません。 同僚の先生の知り合いということでいただいた、観宝堂刊の『沖 縄の古陶』という、平成14年に浦添美術館で開かれた展覧会のカタ ログによりますと、パナリには、壺だけではなく、他の生活の器も あります。ほんらいは、日常的に用いられた、ごく素朴な器なので す。これに魅せられ、パナリの復興を試みられている方も居られる、 とのことですが、やはりなかなかむずかしいとのことでした。地元 では、当時普通に使われていた器が、時空を経て、特別の価値を見 いだされることがある、骨董という世界。ほんの少しだけでしたが、 その世界をかいま見たような気がしました。 その後、同僚の先生にお宅で、骨董の世界を代表する器のコレク ションをみせていただいたとき、その中にお話にお聞きしていた一 つのパナリの壺がありました。その方がやはり観宝堂で購入されて、 飛行機の客席でも抱きかかえて帰られたというその壺は、たいへん 素晴らしく、その先生のお言葉をお借りすれば、骨董の世界を代表 する名器の中でも、その壺は、一つだけでも超然として、突き抜け た世界を持っていました。目の前にある、この素晴らしい壺を、私 が眺め続けていたことは、いうまでもありません。 パナリは、やはり私には幻でした(^_^;)でも、骨董好きの方のみ ならず、奄美や沖縄がお好きなこのメルマガの読者の方なら、機会 があれば、ぜひ一度パナリに接してみて下さい。まさに土器そのま まの姿は、沖縄の太陽と海を強くイメージさせてくれるはずです。 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- ■◇■ あとがき ■◇■ 5月の始め、沖縄が梅雨入りしたと、ニュースが伝えていました。 これが明けると沖縄は、本格的な夏に入ります。 この時期になると、沖縄に行くことに心がはやります。 =========================================================== ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆ 電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □----◆ 発行人:末次 智 (すえつぐ さとし) □--◆ E-mail:suetsugu@kyoto-seika.ac.jp □◆ 配信の解除URL:http://www.kyoto.zaq.ne.jp/suetsugu/ ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




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