『奄美・沖縄エッセイ』009
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.04.19 ■ ■■◇■ ◆■■ ---------- ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇■ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ No009 ■ =========================================================== +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ =========================================================== ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- □◆□◆□▼ 南島の「春」▼□◆□◆□ ハイサイ、みなさん、お元気ですか。 さて、まず訂正ですが、前号でご紹介しました、京都市青少年科 学センターの下記HPについててです。 http://www.edu.city.kyoto.jp/science/ 上記URLを開くと、フロントページしか開きません。この、左にあ るアイコン「屋外園」→「チョウの家」と、クリックして下さい。 そこで、オオゴマダラを見ることができます。ここで、訂正いたし ます。 さて、私が生活する京都では、先々週の土日、サクラの花が文字 通り満開でした。今年の気候のせいか、ほんとうに一斉に咲いて、 サクラの名所の一つ、賀茂川の堤は、しだれ桜も含めて、まさに満 開でした。京都で生活を始めて15年以上経ちますが、今年ほどの桜 の開花を見たのははじめてのような気がします。そして、古都にも、 本格的な春がやってきました。 先週の日曜日には、琵琶湖の南西にある仰木町というところに、 ツクシを採りに、子どもとでかけました。九州の田舎育ちの私は、 春になるとツクシを見たくなります。普通は、京都市内伏見区の自 宅近くを流れる琵琶湖疎水の南向きの堤に生える、ひょろ長いわず かなツクシで満足しています。 でも、今年は仰木に自宅がある学生が「採り頃だよ」とメールを くれたので、ドライブがてら出掛けました。遠くに琵琶湖を望む棚 田の高台に車を止めると、そのまわりにいっぱいのツクシが生えて いて、これをたくさん採って帰り、袴を取って、ゆでてあく抜きを してから、卵でとじて食べました。嬉しくて採り過ぎて量が多すぎ ましたが、まさに春の味でした。 さてさて、前置きが長くなりましたが、今回は、「南島の春」に ついてです。前に、このメルマガで取り上げた「雪」のことを読ん で頂いてもおわかりのように、奄美や沖縄は、九州以北とは気候が 大きく異なります。これは、そこに行かれた皆さんなら、よくご存 じのことと思います。では、奄美や沖縄の「春」とは、どういった ものなんでしょうか。ここでちょっと辞書を引いてみましょう。 まず、奄美諸島について、長田須磨、須山名保子、藤井美佐子氏 が編集された大著『奄美方言分類辞典』下巻(1980、笠間書院、こ れ、辞典の主要部はなんと「手書き!」なんです。)には「春。暦の 上では、本土と同じに、3・4・5月(太陽暦で)を春と呼ぶが、本土 のようなはっきりした季節変化は見られない。」とあります。この 項目の最後には「サクラは普及していない。大和浜では神社の境内 に2本ばかりあるのを見たくらいだった。」ともあります。 続いて、那覇市の首里方言を主に記した、『沖縄語辞典』(1971、 国立国語研究所)です。「[文]春。huwaruとも発音される。春の季 節感がないので、口語ではあまり用いない」とあります。つまり、 奄美、沖縄とも、ハル(春)とは、本州から入ってきた、文章上の 語なのです。これは、「雪」と同じです。このような語は、歌語と して使われることが多いです。 琉球王国の第二尚王統第18代の王、尚育(在位1835-47)の歌を引 きます。8、8、8、6の音で区切ります。 ときはなる松の 空に春風の うれしおとずれや 千代のひびき 内容はわかりやすいと思います。たとえば、こういったように「春」 は使われます。ただ、王が春を歌うことの意味は、よく考えなくては ならない点がありますが、今回は歌のご紹介に留めておきます。 沖縄では、「春」に当たる語に、よく知られたウリジン(うりず ん)というのが、あります。「[文]旧暦2〜3月、麦の穂の出るころ のこと」と『沖縄語辞典』には、あります。こちらも文語なのです が、若夏と訳されることがあり、泡盛というお酒の名前や、店の名 前などに現在も使われ、よく知られています。 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- ■◇■ あとがき ■◇■ 八重山諸島では、そろそろ海開きです。春を飛び越して、夏が始 まります。梅雨前の夏、本格的な夏の前の夏、「若夏」という語が、 まさにぴったりの季節に、南島は入ります。 =========================================================== ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆ 電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □----◆ 発行人:末次 智 (すえつぐ さとし) □--◆ E-mail:suetsugu@kyoto-seika.ac.jp □◆ 配信の解除URL:http://www.kyoto.zaq.ne.jp/suetsugu/ ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




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