『奄美・沖縄エッセイ』003
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 2005.01.18 ■ ■■◇■ ◆■■ ------ ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 0003 ■ ++++++ melma!で読者登録された方へ送信しています。+++++++++ +++++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++++++++ ■□■ 奄美・沖縄、なんでも話題、メールマガジンです。■□■ □◆□ ご挨拶 □◆□ 読者のみなさん、私が生活する京都は、なかなか寒いです。皆さ んの生活する地域は、いかがですか。 いま奄美に滞在している知人によれば、「霰(あられ)」が降った とのこと。雪は降らないと聞いているのですが、よほど寒かったの でしょう。 □◆□ 王家とキングシーサー □◆□ さて、前号に引き続いて、もう一発、キングシーサー・ネタです。 『ゴジラ対メカゴジラ』では、キングシーサーは、安豆味王族の 守り神として登場しました。シーサーは、現在でも、とくに沖縄諸 島以南の島々では、民家の軒先や、屋根の上に見られるものです。 それは、魔除けなのですが、これが琉球諸島で民間にまで広まった のは、それほど古い時代ではないと言われています。 たとえば、琉球王府の最後の王統、第二尚王家の陵墓である、 「玉陵(タマウドゥン)」には、石に刻まれた二体の獅子があるこ とが知られています。シーサーは、本州弧の神社に見られる獅子と 元は同じもので、ライオンや犬など、聖なる場所を守護する伝説の 動物の一つです。 『ゴジラ対メカゴジラ』では、キングシーサーを目覚めさせる獅 子の置物が、安豆城跡の祠に納められていますが、守り神としての シーサーそのものが、祠の中に納められるということは、基本的に はありません。上記に書きましたように、守り神としのシーサーは、 外の世界と聖域の境界で、聖域への魔物の侵入を防ぐのが役目だか らです。 『ゴジラ対メカゴジラ』では、守り神としてのシーサーが、ある 意味で、王家の血統の源にあるかのごとく、描かれているため、シ ーサーの置物が祠に納められることになります。つまり、安豆味王 族の始祖としての動物、がシーサーということになるわけです。こ のような結び付きは、未開社会では、トーテムと呼ばれ、個人、あ るいは団体が特定の動物と結びつくことです。 実際の、尚王家では、そのトーテムは、シーサーではありません。 これは、王家の居城である首里城を訪れたことがある方々はよくお わかりだと思いますが、王を象徴する動物は、龍なのです。首里城 は、正殿正面の一対の龍柱、正殿の屋根飾り、また王の衣装をはじ めとして、多くの龍の意匠で飾られています。これは、中国でも天 子、皇帝の象徴です。それ自体が、大きなテーマなのですが、ここ では詳しく触れません。 天子がなぜ龍なのかといえば、龍は水の神として、雨水を司るこ とができるからです。天子は、自らが治める国土に雨水をもたらし、 穀物の実りを豊穣にすることが求められたからです。雨水をもたら すものこそが王であるという信仰は、ひろく東アジアに認められま した。よって、それゆえに雨をもたらさない王は殺されたと、たと えば、琉球の伝説は伝えています。 現実の首里王城のシーサーは、王の権力のこのような生臭さの外 にあくまで位置して、外からの魔物の侵入を防ぐ役目をしていまし た。よって、キングシーサーも、自ら攻撃する武器を持たないので す。守り神として、安豆味王国、つまり、(映画における)現在の 沖縄を侵すものから、国土を、王族を守る、受け身な存在なのです。 やはり、キングシーサーは、平和の守り神なのです。 だから、『FINAL WARS』などに登場させるべきではなかったと、 私は思います。といいながら、映画の公開に合わせて売り出された、 食玩のキングシーサーを集めているのは私でした‥‥ □◆□ あとがき □◆□ どうも、『FINAL WARS』は、興行収入で苦戦しているようです。 当然です。それは、キングシーサーの呪いだから、いや、平和の使 者がそんなことをするはすがない‥‥。 キングシーサーねたは今回で終わり、のはず‥‥。 それでは、また。 ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆melma ID:129047 □----◆発行人:レキオ □--◆電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □◆ E-mail:suesato@mbox.kyoto-inet.or.jp ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




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