『奄美・沖縄エッセイ』002
■■■■■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆2005.01.03 ■ ■■◇■ ◆■■ ------ ■ 奄美・沖縄エッセイ ■◇ ■■ ■>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>◆ 0002 ■ +++ melma!で読者登録された方へ送信しています。+++ ++ 等幅フォントによってレイアウトされています。++ ■□■■□■ □◆□ ご挨拶、再び □◆□ 読者のみなさん、あけましておめでとうございます。 そして、はじめまして。 (melma!による内容審査のために)すでに配信した前 号では、登録者がゼロでしたので、実質的には、これ が最初のご挨拶になります。Melma!のHPでわざわざ見 ていただき、そのうえ、ご登録いただき、ほんとうに ありがとうございます。前号に書きましたように、か なりわがままなマガジンですが、なにとぞよろしくお 付き合い下さい。 □◆□ 新生、キングシーサー □◆□ 前号で予告しましたように、昨年末、息子ともに「ゴ ジラ FINAL WARS」を観てきました。東映の怪獣映画と いう予想に反して、たいへん刺激的な映像で、まるで ハリウッドのSF作品を観ているようでした。雑誌など でも話題になっていましたが、その後、予想通りにヒ ットしているようです。 さて、ストーリーの詳細は映画を観ていただくとして、 地球を支配すべく、X星人の操る怪獣が地球上に現れ ます。これらは、それまでの東映の怪獣シリーズに登 場したモンスターたちで、よく知られたラドン、アン ギラス、モスラ、ガイガンなど、ゴジラ映画の最後を 飾るにふさわしい陣容となっています。 なかには、アメリカ版ゴジラも、ジラという名前で登 場し、あっけなく今回のゴジラにやられてしまうので すが、そのとき、X星人の統制官が「マグロなんか食 べているからだ」というようなこと(うろ覚えですが) を、吐き捨てるように言います。初代ゴジラが持って いた「反核」という社会的なメッセージをなどまった く無視し、単なる巨大なイグアナと化したアメリカ版 ゴジラに、強い違和感を感じていた私は、その演出に 思わず拍手しました。 本命のキングシーサーですが、モスラのふるさと、イ ンファント島からやってきた小美人の予言を受けて、 世界中に現れる怪獣の一つとして、沖縄にまず現れま す。ここで、注目されるのは、キングシーサーを除き、 世界中に現れた怪獣たちは、出現する場所との結びつ きは、これまでのストーリーには基本的には見られな いことです。 怪獣を操るX星人にとって、問題は、地球そのもので あって、その中の特定の地域にはとりあえず意味が無 いからです。X星人の視点は、当然ながらグローバル なのです。だが、キングシーサーは、違いました。シ リーズに登場した数ある怪獣からキングシーサーを選 んだのは、制作側(北村龍平監督、あるいは、脚本家 の三村渉、桐山勲、でしょうか?)に思い入れがあるか らでしょう。そして、それはやはり沖縄との結びつい たキングシーサーという存在に対してだと思います。 だから、まず沖縄に出現させた、と考えられます。 つまり、キングシーサーは、沖縄というローカルな要 素を抜きにして考えられない怪獣なのです。日本列島 の一地域とこれほど強く結びついた怪獣は他にはいま せん。息子にせがまれて、という理由で、大喜びで手 に入れた『ゴジラ大辞典』によれば(これ、なかなか よく出来ています)、キングシーサーは、「身長:50m、 体重:3万t、武器:プリズム眼球」とあります。プリズ ム眼球とは、「片目で相手の光線を受け、もう片方の 目で10倍にして撃ち返す」眼球のことです。 新生キングシーサーでは、映画パンフレットによれば、 「体長:100m、体重5t、主要武器:タックルブレイク(体 当たり)、フライングシーサーアタック」とあります。 巨大化は、新しいゴジラ映画の設定上仕方ないとして、 問題は武器です。初代はゴジラとともに、やはり宇宙人 が地球にもたらしたメカゴジラと戦いますが、上記のプ リズム眼球以外には、ゴジラの背後の岩に隠れるばかり です。つまり、自ら攻撃する武器を持たないのです。 このようなキングシーサーの性質は、新生キングシーサ ーにも受け継がれました。沖縄に現れたあと、ラドン、 アンギラスとともに、富士の裾野でゴジラと戦うさいに は、上記にあるような、つまり、自らの肉(獣)体を使 った技しか繰り出しません。かつて、ウェーブというメ ーカーより発売されていたゴジラシリーズ映画「大怪獣 総進撃」のゴジラメタルキットのなかの、キングシーサ ーの箱には「正義の怪獣」と記されています。宇宙人に 操られなければ、キングシーサーは自ら戦う怪獣ではな いのです。 沖縄は「平和の島」だという認識があります。第二次世 界大戦において、過酷な地上戦を体験し、沖縄本島南部 の摩文仁の丘の「平和の礎」に刻まれた多くの人々が命 を落とした沖縄の人々の願いが、「平和」であることは 言うまでもありません。そして、歴史的には、現在の奄 美諸島と沖縄諸島を含む琉球王国はかつて武器を保持せ ず、戦いをしない国だという認識が今でもあります。厳 密に言えば(これについては別の機会に述べることにな ると思います)、「武器を持たな」くはなかったのです が、その歴史から見て、戦いを好まない人々の島だった ことは間違いありません。 キングシーサーは、琉球-沖縄の平和思想を体現する怪獣 として、今回のゴジラ映画にも登場しているのです。X 星人という、地球の外の的に対することで、グローバル 化したゴジラの中でも、唯一、わずかのシーンではあり ましたが、沖縄本島に出現したキングシーサーは、地域 主義の最後の星として、確かに輝きを放っていました。 (参考文献) ■野村宏平編『ゴジラ大辞典』笠倉出版社、2005.12.05 ■『ゴジラファイナルウォーズ』パンフレット、 東宝(株)出版、2004.12.04 □◆□ あとがき □◆□ のっけから、長くなってしまいました。実は、まだ書き 足りないことがあるのですが。以前に配信していたこと のあるメルマガでも、とくに最初は長くなる傾向があり ました。少しずつ調整していきますので、ご容赦下さい。 ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■ □------◆melma ID:129047 □----◆発行人:レキオ □--◆電子メールマガジン:「奄美・沖縄エッセイ」 □◆ E-mail:suesato@mbox.kyoto-inet.or.jp ■<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<■




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