Love your body
ふわふわと意識が浮上した。ゆっくり目を開けると、辺りはまだ暗かった。だけど眠りについたときには日付変更線をすでに越えていたはずだから、夜明けはそんなに遠くないだろう。
背後に人の気配がする。
誰だ、と考えるまでもなくコンラッドなんだけど。
それにしても、こいつはホントに、全くもう。
「コンラッドって、ホントおれの体好きだよね……」
「おや、起こしてしまいましたか」
起こしてしまいましたか、じゃねーよ。とっくに気づいてたくせに。
さっきからずっとコンラッドの唇と舌が背中を這っている。
おれが眠ってしまっても、というか気を失ってしまってもと言ったほうが正しいことの方が多いんだけど、コンラッドはおれの体を好き勝手に弄ぶ。さすがに寝てるのに致してしまったりはしないけど。……してないはずなんだけどなぁ。断言できない気がしてきた。
おれが起きたのをいいことに、遠慮なく後ろからがっちり抱きしめて、おれの後ろ頭に顔をつっこんですんすん匂いをかいだりしてる。
「大好きなんです。ユーリの体が」
大きな掌がおれの胸を撫でたり腹筋をたどったり腰骨の線をなぞったりしてるけど、寝る前にしてたコトとはどこか違ってて、おれの体は熱くなったりはしなかった。
「あなたのことはとても愛していて、そばにいられるだけで満足でしたし、遠くに離れて会えなかったときも、あなたを想うだけでいつも温かい気持ちになれました。でも本当はずっとあなたに触れたいと思っていたし、こんな風に過ごしたいと願っていた」
二人で夜を過ごすようになって、もうずいぶん経つのに。時々コンラッドはこんなことを言って、おれを良い気にさせる。
「心の距離を誰よりも近づけたら、いつかあなたに触れることができるんじゃないかと、実はずっと昔から企んでいたんです」
「ひどいなぁ。おれの体目当てだったんだな。もしかして名付け親になったのも?」
「さすがにそこまでは」
そう言っておれの首筋に額を押しつけてクスクス笑う。
「心と体と、ユーリの全てを愛してます」
女の子の体とは違って柔らかくも優しくもない、間違いなく男のおれの体。好きになってもらえるなんて思ってもいなかったんだ。体目当てでもいいよ。むしろ嬉しいくらいだ。
「ヒドイっ。アタシのカラダが目当てだったのねッ」
真っ昼間の執務室に悲鳴がこだまする。
「その通りだ。お前以上の適任者がどこにいる。潜入対象の国は兵士が全て屈強な女性という今まで眞魔国が応対したことのないタイプの国だから、事前の調査は必須だろう。まあ、男だとバレたらちょっと大変な目に遭うかもしれないが、グウェンからはすでに了承を得ている。さっさと行け」
「隊長の鬼ーーーッ!」
昨日任務から帰ってきて今日から休暇の予定だったヨザックに、女装での潜入指令を下したのが、その夜が明けて朝一番のコンラッドの仕事だった。
一日に二回も「体目当てだったのね」って言われるなんて、さすが夜の帝王コンラッド、なのかなぁ。
『holly』の柊さまから拙宅の二周年のお祝いに頂戴致しました!
大好物の大人コンユでございます!
その上オマケにヨザまで付いて超嬉しい!
素敵なお話ありがとうございました!!
okan
(2012/02/26)
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