彼女が嘆きもがき苦しんでいる時
彼はいたたまれず彼女を慰めた。
彼が嘔吐しもがき苦しんでいる時、
彼女はいたたまれず哀愁のカルナバルだ。
エドガー・アラン・ポーもこれにはお手上げだ。
もともとエチカなんてこの世にないのだ。
すべては行動に規定され現象する。
幻は幻である限りにおいて幻ではないのだ。
飢え死にした狐が、野原いっぱいに横たわっている。
ある一匹は目を見開いたまま。
また、ある一匹は目をつむったまま。
はたまた涙のような水滴が、乾いた毛皮に流れている。
狐色に染まった野原いっぱいに、
雲一つない空から太陽が降りそそぎ、
ただ静寂と微かな風が充たしている。
いったい何がおこったのか。
ずっと在ると思っているすきに、
別れが死を連れ去ったのだ。





2002年 4月30日



 Da La la

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あこがれ